AcrobatのPDF比較で痛い目にあった話

まず最初にAdobe Acrobatは素晴らしいアプリであることを断言しておきます。印刷業を含む商用ドキュメンテーションを生業にしている人は誰しも恩恵を受けていることでしょう。もちろん私も愛用しています。

Adobe Acrobat のアイコン

そのAcrobatシリーズの内、Acrobat PRO DCにはPDF比較機能があります。これ、便利だけど残念ながら完璧ではないのですよね。

例えば、以前私がとある冊子ものの取扱説明書を改版したときにこの機能を使ったところ、最終ページに存在した差異を報告してくれないことがありました。

その差異は無用な変更で、改版日の「2017」が「2016」になっているといった類の単純ミス。しかも運悪くダブルチェックをお願いした相手も見過ごしてしまったため、自信を持って提出したら、クライアントから指摘される失態を演じてしまいました。

見過ごした原因は修正原稿に赤字が入っていない箇所だったため。よもや赤字以外の箇所が変更されているとは思いもよらなかったわけです。

加えて、私もAcorobatのPDF比較機能が完璧でないことは承知していたものの、「単純なテキストの差異はすべて見つけてくれたはず」という先入観が働いていたのだと思います。

でも、途中のページまではしっかり差異を検出してくれていたので、何かの拍子にアルゴリズムが最終ページに到達する前に終了してしまったのでしょう。PDFのデータ構造は複雑なので、解析方式による比較ではどうしても相性の良し悪しが出てきます。

ひょっとしたら将来のAcrobatではビッグデータの利用やAI技術などを盛り込んで完璧に近い比較ができるようになるかもしれません。大きく修正された場合でも要素の正確なペアリングを推測するような。でもそれは未来の話。

よって現時点ではXORのようなPDFページをビジュアル的に比較するアプリを併用した方がいいと思います。

XORは「どう変わったか?」は無理だけど「どこが変わったか?」なら100%見つけ出します。

xor concept animation

Microsoft Storeもありがたい

今はまだMac版しかないXORですが、追ってWindows版もリリース予定です。その際、Mac版同様、Microsoft Storeでのサブスクリプションとなるでしょう。

Microsoft Storeのアイコン

零細アプリメーカーにとって、Mac App StoreおよびMicrosoft Storeでサブスクリプションをサポートしてくれたことは、とてもありがたいと思っています。

そうじゃなければ、とてもじゃないけどビジネスモデルを確立できず、XORをアプリ化してリリースしようと思わなかったでしょう。

サブスクリプションがなかったら

Mac App Storeでサブスクリプションが導入されていなければXORの値付けに苦労していたことでしょう。

Mac App Store Icon

一応、業務用アプリだとはいえ、XORを48,000円で売り出しても誰も買ってくれないと思うのですよね。

でも、それを24ヶ月に割って月額2,000円のサブスクリプションなら、ぐっとお手頃感が出るはずです。

しかも繁忙期に増員したらその人数分を契約して、それが終われば解約することもできます。

Mac App Storeって素敵

Mac App Storeって偉大です。Mac App StoreがなければXORをリリースしようとは思わなかったでしょう。

Mac App Store Icon

昔はパソコン用ソフトウェアビジネスといえば、実行ファイルをCD-ROMに焼いて取扱説明書と一緒に箱詰めしてラッピングし、流通網に乗せる必要がありました。当然、箱のデザインや印刷のコストも必要になります。

あるいはVectorのようなオンラインストアで売る手もあるけど、かつてほどの注目度はないのかなと。

それに昔は違法コピー対策も必要でした。1パッケージごとに異なるアクティベーションキーを発行するか、オンライン認証のサーバーを構えて常時稼働させるか。どっちにしてもコストがかかります。

でも、アプリをMac App Storeで売れば、パッケージ化も違法コピー対策も不要です。それでいて世界中に展開できます。

Macの方がいいところ

DTPがMacの独壇場だったのはひと昔以上前のこと。今日ではWindows制作もかなり増えたのではないかと。

でも、いくつかの点から私はまだドキュメントの類はMacで制作する方が有利だと思っています。その一つがmacOS標準のプレビュー機能の存在です。

DTPやWebサイトの制作では大量の画像類を配置しますよね。どのファイルがどんな画像かを素早く把握できるかで制作効率が大きく変わってきます。でも、いちいち中身がわかるファイル名をつけていくわけにもいかないし、表現力に限界もあります。

Macの場合、デスクトップやフォルダ内で画像ファイルのアイコンを選んでキーボードのスペースバーを押すと内容が拡大表示されます。.jpeg、.png、.gifはもちろん .ai(Illustrator)や.psd(Photoshop)のネイティブファイルであっても即座に確認できます。

Finderの画像ファイルのプレビュー表示
リストのファイルを選んでスペースバーを押した状態

あるいは、フォルダ内でプレビューを表示させることもできます。

フォルダ内の画像ファイルのプレビュー表示
フォルダ内で選択ファイルのプレビューを表示させることも可

Windowsでもサードパーティ制の機能拡張類をインストールすれば似た環境を作れるかもしれないけど、おそらくMacほどエレガントには機能しないのではないかと。

それにIT企業ならともかく、ドキュメント制作企業ではIT技術に詳しくない人が多く、OSを拡張して使おうという発想すら浮かばずに不効率な制作が続けられているケースもあるはずです。

よって選択の余地があるならば、ドキュメント制作にはMacをお勧めします。

Proof Checker PROとも併用して

XOR、Proof Checker PROとの併用も考えられますね。例えば在宅勤務の場合など。

Proof Checker Pro 5 LITEの画像

Proof Checker PROはとても素晴らしい最高峰のPDF校正ソフトウェアですが、「ドングル」と呼ばれるUSBメモリーのようなデバイスを挿したパソコンでしか動作しません。当然ですよね。1ライセンス100万円を超えるアプリの違法コピー品が流通しようものならとんでもない損害となるので堅牢なプロテクトは不可欠です。

つまり、Proof Checker PRO導入済みの大手制作企業に所属していても、職場を離れれば利用できなくなります。

もちろん他のスタッフが使わない週末だけなら申請してドングルを持ち帰らせてもらえるかもしれません。金曜日は最終退出者になって持ち帰り、月曜日の朝一に返却するような。でも、平日の在宅勤務などは誰か一人がドングルを独占するわけにもいきません。

そもそも在宅勤務が必要な状況というのは、家族の介護や看病などが主な理由でしょうから週末に限りませんよね。

というわけで、Proof Checker PROが使えない環境で働く場合、代わりのPDF比較アプリを使うのが望ましいでしょう。その場合、1ヶ月単位、月々2,000円で導入できるXORはうってつけだと思います。

例えば、在宅勤務が始まったら導入して、通常勤務ができるようになったら解約するといった契約が可能です。

XORをAcrobatと併用すれば完璧に

XORは二つのPDFをビジュアル的に比較して、差異を100%見つけ出すアプリです。

商用ドキュメントの制作過程で「意図や指示が正しく反映されているか?」はもちろん「余計な変更がなされていないか?」を確かめるために新旧PDFの比較は必要不可欠なので、工数削減のためにもいいアプリを活用したいところです。

XORの理想的な使い方はAdobe Acrobat DCとの併用でしょう。

Adobe Acrobat のアイコン

何度か書いている通り、PDFの品質確保で最も頼れる既存製品はProof Checker PROです。以前からPDF解析による比較精度の高さには定評があったものの、昨年発売されたバージョン5でビットマップ比較モードが追加され、より完璧なデジタル校正ソフトウェア(PDF比較)となりました。

とはいえ、1ライセンス100万円超のこのハイエンドソフトウェアを導入できるのは大きな組織のみ。その他の人たちにとってPDF比較の手段といえばAcrobatにの比較機能になるでしょう。

ただし、PDFを解析して比較するAcrobatではときおり差異の見過ごしが起こります。

そこでXORを併用して補わせるのがいいでしょう。PDFをヴィジュアル的に比較するXORはAcrobatのように「どのように変わったか?」は判断できない替わりに「どこが変わったか?」は確実に検出します。まったく変更されていないページを洗い出すのも簡単です。

各アプリを比較するとこの通り。

解析比較 ヴィジュアル比較
Proof Checker PRO
Acrobat
XOR

AcrobatにはPDFページを画像化して比較するモードがなく、XORにはPDFのデータ構造を解析して比較するモードがありません。

よってこの両者を併用することで、なんとかProof Checker PROに近いところまでキャッチアップできるのではないかと

30日の使用期間があるので、まずはお試しください。

Windows版は追ってリリース予定です。

Mac制作が絶対的に優位な点

かつてDTPといえばMacの独壇場だったけど、15年くらい前にWindows版のAdobe Creative Suiteが登場したことでWindows制作派も増えたかと。

でもドキュメント制作にはいまだにMacの方が断然適していると思います。その理由の一つが「スピーチ」の存在です。テキストを選択してマウスの右クリックで表示されるメニューから呼び出すと、選択中のテキストを読み上げてくれるOSの標準機能です。iOSにも搭載されているのでiPhoneやiPadでも利用できます。

macOSのスピーチ機能

もちろん固有名詞を始め、読み間違いは多いのだけど、それでも「てにをは」や、誤字脱字のチェックには多大な効果を発揮します。

例えば文中に「たけのこご飯」が「たけこのご飯」と書かれていても目視だとスルーしがちだけど、読み上げさせて耳で聞けば簡単に間違いを発見できます。

他にも、コピペでテキストを編集すると「をを、」や「はは、」が紛れ込んだりしがちですよね。これも読み上げさせればあっさり発見できます。ひょっとしてWindowsでもサードパーティ製の何かをインストールすれば同様のことができるようになるかもしれないけど、Windowsは万事がそんな感じ。ちょっと気の利いたことをやるにはカスタマイズが必要なのですよね。ITに疎い人には難しいかもしれません。

ちなみに「スピーチ」は何もしなくても最初から使えるようになっています。読み上げ速度は設定で変更できるけど。

よって、文章を書く機会が多い人なら、この「スピーチ」機能のためだけだとしてもMacを選ぶべきでしょう。

Google広告

XORを広く周知させたいけど私も職人タイプの人間なので営業は不得手です。そこでGoogleに広告を出すことにしました。

XORのGoogle広告
作成したXORのGoogle広告

というのも最近こちらのキャンペーンコードのメールを受け取っていたのを思い出したので。

Googel広告のクーポン
Googel広告のキャンペーン

7,500円だと1日あたりの最低設定額の193円とするなら1ヶ月ちょっと。でも、日額が設定できるということは、多く払わないと露出度が上がらないってことか。

それにGoogle広告の仕組みからして、自身が設定した関連キーワードを誰かが検索してくれないことには表示されないのではないかと。まあ、あまり期待できないかな。

それでもせっかくのキャンペーンだから使うべきだろうし、ささやかでも何か反応があってくれると嬉しいなぁ。

それと、反応がなければサービスの自動更新は忘れずにオフにしないと。

テクニカルコミュニケーションシンポジウム2019

正直なところXORの販促活動には苦労しています。何しろ私の得意分野ではないので。よくある話ですよね。職人タイプの人は営業が苦手という。でも、私が制作者だったからこそ、XORのアイディアを思いついたのだけど。

で、一応、関連がありそうなWebサイトに手当たり次第にコンタクトを取って試用をお願いしているものの、反応は

よって一発でニュースリリースできるドキュメンテーションの業界団体みたいなものがあればいいのだけど、毎年2月にPAGE展を開催しているJAGAT(公益社団法人日本印刷技術協会)は、私のような個人は相手にしてくれないようで。

もう一つ、取扱説明書などの分野でお馴染みのTC協会(一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会)は個別の製品の宣伝活動には与しない方針とのこと。

JAGAT(一般財団法人テクニカルコミュニケータ協会)のロゴ

それでも8月27日(火)と28日(水)にはテクニカルコミュニケーションシンポジウム2019というイベントがあるので、そこでは何らかの活動ができるかな。8月末ならWindows版もリリース済みなはず。これ、申し込んでみようかと思います。受け付けてもらえるかは解らないけど。

でも、4ヶ月も先だし、もう少し早く満足に売り上がる体制を作りたいところです。