XORの便利な使い方

先日、PDF比較アプリ『XOR』をリリースしました。

XORは二つのPDFをビジュアル的に重ねて差異を見つける方式を採用しているので、比較結果としては「どこが変わったか」だけを表示します。Acrobat DCやProof Checker PROのようにPDFのデータ構造を解析して「どこがどのように変わったか」といった親切なリポートはできません。

よってXORの最も効果的な使い方はこれでしょう。

  • 冊子制作において、変化がなかったページを洗い出して確認対象から除外する

例えばAcrobatによるPDF比較では、ときおり差異の見落としが起きるので参考程度に留め、さらに目視で全ページを見比べていた方もおられたかと。

でも、XORの比較にかければ差異がある箇所が100%検出されます。ならば差異が無いページを洗い出すのも容易なので、それらを確認対象から除外すれば作業時間を削減できます。

ただし、中には「必要な修正がなされていない」というケースもあり得るので、単純に変化がないページは確認不要とはいかないのですが。

XORはなぜ必要?

先日、Macアプリ『XOR』をリリースしました。

なぜ私がこれを作ろうと思ったかというと、必要に迫られたから。

通常、商用ドキュメントの制作では作って一発OKということはなく、校正(検証)と修正を何度か繰り返して完成させます。取扱説明書の場合は製品のマイナーチェンジに合わせて改版が入ることもしばしば。よって新旧のPDFを見比べる機会が多々あります。印刷後にミスが見つかれば刷り直しの費用が発生したり納期が遅れて責任問題にもなりかねないので、できるだけ頼れるツールを用いたいところです。

新旧PDF比較の目的で最も有名なツールはAcrobat DCでしょう。業界人ならほとんどが持っているので追加コスト無しに使えるものの、残念ながら比較の精度があまり高くありません。完璧な比較結果を出してくれることも多いけど、そうでないときもあるといった具合です。

もう1つのスタンダード品がProof Checker PRO。こちらはAcrobatよりも精度が高い比較を実現していて業界人からの信頼が厚いものの、1ライセンスが100万円を超えるので、大きな組織なら導入できても中小零細業者やフリーランスの個人にはとても手が出ません。

そう、私も大手の制作会社に勤めていた頃はProof Checker PROが使えたけど、離職した今はどうにも

そんな中、ある日ふと思いました。「以前、自身が作ったPhotoshopプラグインをアプリにすればそこそこ売れるのでは?何より、自身が楽になるぞ」と。

それから紆余曲折があったけど、見込みよりも数ヶ月遅れでようやくMac版だけ先にリリースできました。

XORによる比較のコンセプト

先日、Macアプリ『XOR』をリリースしました。

XORは二つのPDFの対になるページどうしを重ねてビジュアル的に比較します。イメージ的にはこんな感じです。

xor concept animation
普遍箇所はグレー、差異は青や赤で表示されます。

商用ドキュメンテーションの業界では昔から「アオリ」というテクニックが使われてきました。見比べたい2枚の校正紙をぴったり重ねて端っこを押さえ、上の一枚だけをペラペラとめくったり戻したりを素早く繰り返して残像の違和感で差異を見つける技法です。業界内で信頼の厚いデジタル校正ソフトウェアProof Checker PROにもこれを再現した機能が搭載されていて非常に便利です。

ただし、アオリは違いがありそうな場所が特定できていれば効果的ですが、ページの全域から微細な違いを見つける用途には不向きです。

それに、せっかくソフトウェアで再現するならデジタルならではの利点を活かしたいところ。そうして研究した結果、着色技術をうまく使うことで、上のGIFアニメのような比較を実現できました。

XORをリリース

本日、Macアプリ『XOR』をリリースしました。

XORは商用のドキュメンテーション分野に向けたユーティリティで、簡単に言えば「間違い探しアプリ」です。修正前と後のPDFを重ねて微細な差異を100%の精度で検出します。

xor concept animation
XORの比較イメージ

以前、XOR.atnというPhotoshopプラグインを公開したけど、これだと1ページずつの比較になってしまい冊子ものには向かないし、作業の手間も多かったので、その課題を解決すべく単体のアプリとして実現しました。

サブスクリプション方式ですが30日の試用期間があるので、よかったら試してみてください。テストデータはこちらをどうぞ。

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サンプルPDF(zip)

使い方はPDFを二つ選んで表示させたらスペースキーを押すだけです。詳しくはサポートサイトでご確認ください。