アオリ表示を追加!

ついに緊急事態宣言が発令されました。改めて在宅勤務が推奨され外出自粛が強く求められます。ならば印刷業界でもテレワークが普及するのでしょうか。スーパーのチラシの類は自粛が求められているらしいけど。「食品などの買い占めを促さないように」と。

さて、このたびXOR for Windows Version 1.2をリリースしました。新機能は「アオリ表示」です。

使い方は例によってシンプル。アプリを起動して比較したい二つのPDFを指定し、両ページが並んで表示されたらスペースキーを二回押下です。するとこの通り、違いの箇所が瞬くように表示されます。

XORのアオリ表示

まあ、他社製のPDF比較アプリをお使いの方にはお馴染みの機能かもしれません。そう、アオリは特に革新的ではないものの、それはXOR自体がそうだから。XORの基本コンセプトは「最小限の機能だけを少コストで提供する」というもの。今回はその最小限の基準を少しだけ上げた感じですね。

なお、Mac版に関しては近日中に同じ機能を搭載予定です。今しばらくお待ちください。

App icon of the XOR

Microsoft Store Badge

重ねた状態で書き出せる?

先日、XORに対して「両PDFのページを重ねた状態でプリントアウトやPDF書き出しできるか?」というお問い合わせをいただきました。ありがとうございます。

でも、答えは残念ながら「No」。プリントアウト/PDF書き出しでは両ページが並んだ状態になります。

ただし、マーキングの機能があり、両ページを重ねて表示させた際に見つかった差分(色付き箇所)に赤い囲み線をつけたり、差異が見つからなかった箇所を白い四角形でマスクできます。

Result of comparison by xor
囲みを付けてPDFに書き出した例(クリックで拡大)

実はページを重ねた状態のプリントアウト/PDF書き出しも設計段階では検討したのですが、最終的に現在の仕様に落ち着きました。というのも、重ねた状態のページをプリントアウト/PDF化してから差異を探すより、重ねて表示した状態で差異にマーキングする方が多少効率的に思えたからです。

いや、でもプリントアウトしてのペン入れはともかく、PDFに書き出せばAcrobat Readerのアノテーション機能を使ってコメントを付与できるか。そうすれば、そのまま再修正用のDTP原稿として使えますね。だったら重ねた状態のPDF書き出し機能は有意義かも。

とはいえXORのコンセプトは「最小限の機能を少ないコストで提供」であり、開発の予算も限られていました。

でも、XORの契約数が増えればもちろん追加開発できるし、欲しい機能のアイディアもたくさんあるので、どうかご協力をよろしくお願いします。

微妙な差の検証には向いていません

先日の page2020で弊社ブースに立ち寄られた方の中に「このアプリは画像が10μ移動したことを検出できるか?」とお尋ねになった方がおられました。答えは残念ながら「No」です。目指すところが違うのですよね。XORは主に「新旧PDFで無用な変更が生じていないか?」を確認するためのPDF比較ツールなので、描画要素の精度を検証する目的には他のアプリをお求めいただく必要があるでしょう。

さて、XORは10μの移動はもちろん微妙な差異の検出には向いていません。例えばこちらの二つのPDF紙面。

フチ無し

フチあり

両者の違いは白い矢印の黒フチの有無です。下の絵では矢印を少しくっきりさせました。

この二つのPDFをXORで比較するとこうなります。

比較結果

全体がグレー、つまり一見すると同じですね。

これを拡大表示させるとこうです。

比較結果のズーム

かろうじて赤や青が見て取れるけど、見過ごす可能性は大でしょう。

よってXORはこの手の微妙な差を探す用途には不向きです。機械的に比較しているので赤や青の発色はあるものの差が少なければ人の目ではなかなか認識できません。モニタの性能にも左右されるでしょう。

これはこのアプリの限界であり、既知の課題ながら諦めた部分です。「そもそも人が見過ごすような変化なら大きな問題になることもないだろう」と割り切って開発しました。

赤や青のピクセルを自動検出する機能をつければ解決しますが、現時点における優先度の都合からそのような機能はまだ搭載されていません。

改行したらどうなる?

XORにおけるPDF比較に対して時おり訊ねられるのが「例えばページの途中で改行があった場合、どうなるか?」というもの。「”改行された(それ以降は内容が変わらずに移動された)”と知らせてくれる」といった答えを期待してのものでしょうが、残念ながらそうはなりません。XORの比較はページを画像として比べるので改行が発生した箇所以降はすべて差分として表示されます。たまたまピッタリ合致した箇所を除いては。

よって「どこがどのように変わったか?」を望むのであれば、PDFを解析して比較するProof Checker ProのようなPDF比較アプリ(デジタル校正ツール)が相応しいでしょう。あるいはAcrobat Proか。

対してXORは「どこが変わったか?」だけを示します。これは私が制作者として働いていた際にそれでも十分有益だと確信したためです。「どこが変わったか?」は裏を返せば「どこが変わっていないかを特定できる」ということです。初校→再校→三校と段階的に完成を目指す制作では「どこかに無用な変更が生じていないか?」を簡単に確かめられるだけでも疑心暗鬼のストレスから解放され、時間短縮・コストカットに繋がります。

それに、もしアプリが「どのように変わったか」まで示してくれても、それが「その変更は意図した通りか?」は人間が確認してやる必要があります。だったら「どこが変わったか?」だけでもよかろうと。

そもそもPDFのデータを解析して比較するようなアプリの開発には膨大な費用がかかるので、月額2,000円のサブスクリプションで提供するのは到底不可能です。

xor concept animation
XORはPDFのデータを解析せずビジュアル的に比較します

XORによるコストカット

今後印刷業従事者は今まで以上にコストに敏感にならざるを得ないと思います。景気後退が予見されているし、少なくとも五輪特需は終わるので。悪材料はたくさんありますよね。

私が過去にディレクターや編集者、DTPオペレーターなどとしてドキュメント制作に携わった経験からいくと、一連の作業工程の内、工夫によってカットできそうなのは「どこかに紛れ込んだかもしれない無用な変更を探す」だと思います。

Webなどとは違ってページサイズが固定なためDTPではちょっとした修正でもレイアウト変更が発生します。しかも作業のクオリティはスケジュールの切迫度や担当者の体調、関心事などによっても左右されるし、作業量に比例してミスも増えます。DTPオペレータは常に万全の作業を心がけているため先入観が働き、確認は甘くなりがちです。

よって編集者はDTPオペレータからPDFが上がってきたら、原稿の修正指示の箇所以外も広範囲を確認しています。どこかに無用な変更が紛れ込んでいるかも知れないので。ただし、この無用な変更を探す作業には高い集中力とスキルが要求されるため、精度には個人差が出ます。また、長い時間をかけても何も見つからず徒労に終わる可能性もあります。とりわけミスを見逃した後ともなると、疑心暗鬼からどれだけ確認しても安心できずストレスになります。

そこで私はXORを開発することにしました。XORを効果的に使えば「どこかに紛れ込んだかもしれない無用な変更を探す」という工程を省け、時間短縮、つまりコストカットに繋がります。

手順はこうです。

コストカットのためのXORの利用手順

①:校正の最初にXORで新旧のPDFを比較し、片っ端から囲みを付けてしまいます。この作業の意味が判らない方は、こちらの動画の最初の2分間をご視聴ください。

②:DTP原稿の修正指示と囲み箇所を照らし合わせていきます。ただし、修正結果の良し悪しはまだ確認しません。ここで見るのは、それらが対になっているかどうかだけです。

そして修正指示に対応する囲みが見つからなければ修正漏れの可能性があります。逆に修正指示がない箇所に囲みが見つかった場合は無用な変更がなされた可能性があります。オペレータが確信を持ってそう対処した場合もあれば、単なるミスの場合もあるでしょう。それらの妥当性を確認してください。

そうして懸念が解消されたら③に進みます。

③:確認が必要なページや箇所を限定(確認不要なページや箇所を除外)します。

④:すべての修正指示が正しく反映されているかを確認します。

つまり、「どこかに紛れ込んでいるかも知れない無用な変更」を②の段階で洗い出してしまうわけです。

XORのようなPDF比較アプリを使わない校正の場合、いきなり④の工程に挑むため、その後に手がかりもない状態で無用な変更を探す必要があり、気が済むまで確認することになってしまいます。