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第29代自民党総裁 高市早苗

自民党総裁選、下馬票を覆して高市早苗氏が勝利。まるで阪神が横浜DeNAを引き離して優勝したセリーグのような結果になりました。彼女の出身地である奈良も阪神圏の外縁部、対して小泉進次郎氏は神奈川出身だし。

第29代自民党総裁-高市早苗

私は右派と左派どちらの政治家も好きではなく、高市新総裁も例外ではないのだけど積極財政論者である点には期待します。

現状、自公は衆参とも過半数割れで野党が団結すれば総理にはなれないけど、まあ野党の足並みは揃わないだろうから、彼女はきっと総理大臣になるはず。

ただし、気になるのが政権基盤の微妙さ。高市色を強く打ち出せば公明党との距離が開き連立が危うくなり、かといって高市色を抑えて中道に寄ってみせれば支持者を落胆させます。

しかも高市氏は総裁選で世話になった麻生派に頭が上がらず、旧安倍派や旧茂木派の面々を閣僚に抜擢すると伝え聞きます。これ、やばいですよね。野党に攻撃ポイントをくれてやるようなものだから。

こうなると野党、例えばもっとも有力とされていた国民民主の連立入りはもちろん、連携もままならなくなろうかと。

野党各党の狙いは次の衆院選で議席を伸ばすことだろうから、高市自民を攻撃しながら自党の政策を通させようとするはず。

結局、高市しが新総理になったとしても、思ったように政策を実現できないまま身動きが取れなくなり、中途半端な短命政権になる気がします。

小泉進次郎氏、来年もまたチャンスが巡ってくるかもね。

賃上げの鍵はセーフティネットの整備

番組では賃上げをテーマにジョブ型雇用の良し悪しや、英国では最低賃金を毎年引き上げ続けたのに失業率に悪影響は出なかったという事例が紹介されました。

ちなみにジョブ型のメリットは「本来業務に専念できること」や「自身の能力や経験値が明確になり、転職が容易なこと」だったかな。逆にデメリットは「そのジョブに見合う働きができなくなれば立場が危うくなる」といった感じでした。

また、英国の最低賃金は今や日本の倍(12.21ポンド、約2,420円)。英国以外でも最賃が大幅に引き上げられても企業の大量倒産に繋がった証拠はほとんどないそうで。

さて、出演者のジョセフ・クラフトさんが強調されていたのは「雇用の流動性向上」及び「セーフティネットの重要性」でした。リスキリングを条件に失業保険の給付を手厚くするとか。まったくもって同感です。

番組では語られなかったけど、中には「雇用の流動性を高めるためには解雇規制の緩和が必要。ダメな社員を辞めさせれば有能な人材を雇用できる」などという人がいます。でも、それは嘘ですね。

まず、会社が誰かを辞めさせても、代わりの社員を雇ったり、浮いた人件費が他の社員の賃上げや設備投資に回される保証はありません。

それどころか残った社員が「自分もいつ切られるかわからない」と感じれば、挑戦や創造性は萎縮し、短期的な自己防衛行動に走りやすくなります。

また、極端な話だと経営者は特定の社員に「クビか賃下げか」を突きつけやすくもなります。

その結果、企業文化は荒廃し、長期的な競争力はむしろ低下するリスクが高いでしょう。

ならば、優秀な人材ほど労働市場で選択肢が多いのだから、わざわざ不安定な企業を選ぶ理由は薄くなります。

よって解雇規制の緩和よりもセーフティネットの整備の方が先です。

セーフティネットが整備された上でなら、解雇規制を緩和しても労働市場が健全に機能するかもしれません。

物流危機と東京の食料品価格

先日、ある場で私が「今後、長距離物流が細れば東京の食料品価格は上昇せざるを得ない」と話したところ、「いや、むしろ地方の方が先に困窮するはずだ」と反論する人がいました。時折こうした「東京が常に優位である」という前提で物事を語る人に出会います。でも、そうやって地方を引き合いに出して否定してみたところで東京が抱えるリスクがなくなるわけではありません。

また、その人は「地方の方が高齢化や人口減少で先に物流ネットワークを維持できなくなる」と主張しました。けれども、もし地方の物流網が弱体化すれば東京への食料出荷そのものが滞り、困るのはむしろ東京側です。つまり、仮に地方の物流が脆弱化しても東京が支えざるを得ない構造です。実際のところ生産地に近い地方では短距離の少量物流だけでも一定の供給を維持できるのだし。

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とりわけ東京の市場に並ぶ魚介類は日本中から届けられているので影響を受けやすくなります

そこで、改めて整理してみます。

大前提

東京の食料自給率はほぼ0%で、地方からの供給なしには成り立ちません。

輸送費の負担構造

地方⇄東京の食料輸送費は往復とも東京側が負担しています。東京は地方に依存しているものの地方は東京に依存しないためです。もし片道分しか負担しなければトラックは戻れず、次回以降の出荷が止まります。

ドライバー不足の現実

長距離ドライバーの約半数は50歳以上で、そのうち約2割は60代です(厚労省統計)。今後数年で大量の引退が見込まれ、若手の参入も期待できないことから輸送力は確実に細ります。

長距離輸送の代替は?

モーダルシフトには限界があり、トラックの自動運転や隊列走行にはラストワンマイルの課題が立ちはだかるため実用化はまだまだ先です。

現実な代替手段は複数のドライバーによる中距離リレー方式しかなく、当然ながら輸送費が上がります。

長距離トラックドライバーの処遇を改善すれば若手の参入があるかもしれないけど、輸送費はやっぱり上がります。

外国人の登用については法的な制約がどうなるか未知数です。在留資格がクリアできても処遇の改善がなければ参入は限られるかもしれません。

よって東京の食品価格の高騰は大型トラックの自動運転が普及し、コスト低減が起こるまで続くと思われます。

競争原理の消失

輸送力が希少化すれば輸送業者間の競争原理が働かなくなるので、これまでのような輸送費の値切り交渉はできなくなり、その分の輸送費が上がります。

消費者価格への転嫁

結局、増える輸送コストは東京の消費者価格に転嫁されます。さもないと東京には遠方からの食料が届かなくなります。

対して地方では、生産地や近隣からの供給で需要の多くを賄えるるため、価格上昇の影響は限定的にとどまる可能性が高いでしょう。

輸入を増やす?

「だったら輸入を増やそう」と言う人が増えるかもしれません。でも、輸入は為替変動、燃料価格、国際的な需要競合、輸出規制といった外的要因に大きく左右されます。供給の安定性や価格の予見可能性はむしろ国内物流より脆弱です。特に世界的な気候変動や地政学リスクが高まる中で、「海外に頼れば解決する」とは言い難いでしょう。

東京の近い未来の姿

「東京は実際のところ不動産以外は高くない。食品は大量仕入れもあって地場産品を除けば地方よりも安いぐらい」という認識を持っている人も多いでしょう。でも、この先は「東京は不動産と食べ物が高い」と言われる日が来ます。それも数年内に。

東京には富裕層や比較的余裕がある人たちも多いけど、その生活を支える低所得のエッセンシャルワーカーも大勢いるわけで、食料品価格の高騰で都市が機能不全を起こさないか、その点こそが最大の懸念です。

減税よリ給付より賃上げ

国会議事堂

先の参院選では与党が敗北、過半数割れし、野党が主張する減税が実現に近づくかと思いきや、石破首相が散々ごねた末に辞任を表明して自民党総裁選に突入のメディアジャック。ガソリン税暫定税率の廃止はもちろん与党が主張した2万円の現金給付すら宙に浮いた形です。

総裁選の立候補者がまだ出揃ってないし、それぞれがどんなことを主張して総裁の座を争うのはかはわからないけど、目下最大の課題は「日本経済の長期停滞の打破」です。経済状況さえ好転すれば物価の上昇に賃金が追いつき、少子化のペースも改善される可能性があります。

減税か給付か?

経済政策として、野党は減税による家計支援を重視する傾向が強く、与党は給付策を打ち出すことが多かったわけだけど、私はどちらにも与しません。

例えば、消費減税が実現すればありがたい気がするものの、仮に5%に戻されたとしても年間100万円消費する人は5万円の軽減にしかなりません。いや、100万円の中には食品が多々含まれているだろうから実際はもっと少ないはず。家賃はそもそも消費税の対象外です。

大型消費を控えている人には消費減税は嬉しいだろうけど、中低所得者の生活支援、そして内需拡大による経済振興には効果が薄いのではないかと。

社会保険料の軽減も財政に負担をかけるようだと結局は自分たちに跳ね返ってきます。

とはいえ現金給付はよく言われるように、使われずに貯蓄やローン返済に回されかねません。加えて行政側の手間と事務コストもかかります。使用期限が決まっている電子マネーなんかで給付すればいいかもしれないけど、そのための仕組みが整っていません。

つまり、当面の負担軽減ではなく永続的に内需を盛り立てたり将来不安を払拭するには、少々の減税や社会保障費の軽減、給付では効果が薄いのではないかと。

賃上げが最適

そこで私が最も妥当に思うのが賃上げです。

具体的には「フルタイム就労者の最低賃金の設定」と「時限的な中小企業への賃上げ補助」をセットで実施することが最適でしょう。

現状では、主に派遣社員のような非正規の低賃金就労者の存在が、中小企業の正社員の賃上げを抑止する要因になっています。正規→非正規の代替性が高く、また正社員が離職した場合に生活基盤を維持しにくいことから企業にとっては「正社員を引き留めるために高い賃金を払う必要性」が低く映ってしまうので。

そこでフルタイム就労者への最低賃金設定(例えばパートタイム向けの1.8倍といった具合の)は正規・非正規を問わず賃金水準の底上げに繋がり、労働市場全体の賃金改善に寄与し、消費拡大や労働移動の円滑化も進んで経済の活性化が期待できます。

加えて、将来不安が和らぐことで出生率改善にもつながる可能性があります。

こうした取り組みは消費税減税や社会保険料負担軽減といった他の選択肢に比べても政治的に実現しやすく、将来不安の軽減や持続的効果も期待できる点で優れていると思います。

非正規フルタイムの賃上げ、責任者は誰?

正社員の賃上げは企業経営者の判断に委ねられています。

一方で、パート・アルバイトなど被扶養者を主な対象とする短時間労働には最低賃金が設けられ、近年は過去最大幅の引き上げも決まりました。つまり責任者は政府です。

では、派遣社員をはじめとする非正規のフルタイム従事者についてはどうでしょう?その大半は筆頭稼ぎ頭でもあるのに、現状、最低賃金さえ上回っていれば合法とされ、低賃金のまま放置されています。その結果、低賃金雇用が固定化し、新たな低賃金層を生み出す悪循環が続いています。

「低賃金労働には応募しなければいい。条件が悪い求人は淘汰される」という声もありますが、経済的な余裕がない人は選り好みができず、働き続けざるを得ません。このままでは、非正規フルタイム従事者の賃金水準は人手不足や物価高の今後においても下がる恐れすらあります。

よって、フルタイム労働者に対しての賃上げも政府の責任であるべきです。社会全体の消費や生活安定に直結する問題であり、放置すれば経済成長や将来の生活基盤にも悪影響が及びます。

その解決策として、最低賃金を「パートタイム(一類)」と「フルタイム(二類)」の二階建てに分けることは必然であり、合理的かつ最もシンプルな手法だと考えます。

富裕層や正社員への恩恵

フルタイム労働者の最低賃金設定と中小企業への時限的賃上げ補助は主に中小企業や非正規の方にメリットをもたらす政策であり、富裕層や大企業の正社員には直接的な恩恵はないでしょう。

でも、経済全体の底上げにつながるため、消費の拡大や企業業績の改善、労働市場の健全化、少子化ペースの改善などを通じて長期的には経済の安定が期待でき、結果として富裕層や大企業正社員にも恩恵があります。

財源

個人が気を回すことではないけど、中小企業への時限的賃上げ補助への財源が気になる人もいるかもしれません。

でも、補助でフルタイム労働者の賃金が上がれば消費が増え、企業の業績も改善して経済全体が活性化すれば、法人税や所得税などの税収増で財政負担をある程度相殺できる可能性があります。

さらに、経産省の過去の賃上げ補助や雇用調整助成金の前例もあり、短期的な財政負担なので、実現可能性のハードルは高くないはずです。

中小企業に求められるもの

これまで低賃金労働に頼ってきた企業は低賃金で雇用されてきた派遣社員や契約社員などのフルタイム労働者に最低賃金以上を支払う必要があるものの、差額は時限的ながら政府補助金として還付されます。

そして、賃上げ補助金を申請する中小企業は補助の期限内に派遣や低賃金フルタイム労働への依存度を下げる経営体制を整備するか、補助後も賃金水準を維持しつつ派遣活用を続けられる収益構造を作る必要があります。

大企業は?

大企業は補助の対象外なので派遣社員などを使い続けるなら人件費が増加しますが、経済全体の底上げによる売上増や業績改善の恩恵を受けやすくなります。

それに、派遣社員が担ってきた業務をAIやRPAで代替することで生産性を上げつつコストを抑えたり、業務をパート・アルバイトで回せるように設計するといった取り組みで乗り切るのもありです。

今や派遣社員の約半数が大企業で働いています。コスト削減は企業の本能だとしても、経営体力のある大企業までが低賃金の非正規雇用に過度に依存すれば、合成の誤謬によって経済全体の活力が損なわれかねません。したがって、低賃金労働力の活用には一定の制約や是正措置が必要であり、非正規フルタイム従事者の賃上げがその有効な手段となるでしょう。

派遣会社は?

派遣会社は派遣社員に最低賃金以上を支払う義務があります。増額分は派遣先企業から上乗せで支払われます。

派遣会社も最低賃金未満で雇っている社員がいれば、その賃上げ分は政府補助の対象です。

ただし、派遣業界では通訳やシステム開発など専門性の高い分野の人材を派遣できる企業を中心に再編や縮小が進むでしょう。通訳にしても一般的な場面はAI翻訳で代替可能になりつつあります。

最低賃金が上がって割安ではなくなったとしても有期雇用の有用性を重視して派遣社員を使い続ける企業はあるはずですが、人を右から左に動かしてマージンを受け取るような業態では生き残れず、多くが淘汰されるでしょう。

将来的にはフリーランサーの仲介者的な役割に移行するなど、従来型モデルからの変容が避けられないかもしれません。

派遣社員は?

派遣社員も一概に報われるわけではないでしょう。待遇改善で低賃金は解消されても、柔軟な働き方を求めて派遣を選んでいた人にとっては選択肢が狭まるかもしれません。

また、派遣→直接雇用の機会は増えても年齢や選考の厳しさで不利になる人は相変わらず出るはずだし、結局はスキルや経験がものを言う場面が増えるかもしれません。

でも、それは本来あるべき姿ですよね。

介護離職者への影響

親の介護で離職し、数年後に再就職しようにも年齢の壁で正社員復帰は叶わず派遣に甘んじて年収を数百万円落とすのは定番です。

2030年には団塊の世代全員が80歳以上となります。80歳時点で4人に1人、85歳では2人に1人が要介護ですが、とりわけ東京では介護人材の成り手が乏しく、大規模施設も建てられないため在宅看護が主流にならざるを得ず、介護離職者が激増する恐れがあります。

加齢は不可避だし要介護の予防も難しいので、せめて介護期間明けの経済的な不安だけは軽減したいところです。

転職希望者は?

転職や生き方を変えたい正社員には「ここで離職しても次の職場でうまくやっていかれるかはわからない」あるいは「住宅ローンや子供の教育費を考えると冒険的なことはできない」といった思惑が働き、なかなか踏み切れない人も多いでしょう。

あるいは会社都合などで離職を余儀なくされた人は否応なく再就職を強いられます。

でも、望む再就職が叶うまで仮に非正規で働いても収入が極端に下がらなければ転職に積極的になれます。

地方への影響

賃金底上げによる消費拡大や人材定着を通じて、地方の地域経済の活性化にもつながる可能性があります。

加えて、地方では住宅環境が子育てに適していても職の選択肢が限られているため、若い人材が東京などに流出しやすい現状がありますが、地方での就業機会が改善されれば、地方から都市への人材流出を抑え、少子化の進行を緩やかにする効果も期待できます。

解雇規制への影響

労働市場の流動性を高めるべく解雇規制の緩和を求める声もあるけど、現状のまま解雇規制を緩和すると経営者側の力が一方的に増します。

仮にそれが法政化され、企業が金銭解雇で従業員を辞めさせたとして、浮いた人件費が新たな人材の確保や他の従業員に還元される保証はなく、企業のスリム化ばかりに寄与してしまう恐れがあります。

また、極端な例だと経営者は特定の従業員に「割り増し退職金を受け取って辞めるか、賃下げを飲むか」という選択を迫ることもできてしまいます。

でも、離職時の経済的なデメリットが軽減されれば解雇規制の緩和など、より柔軟な労働市場改革も現実味を帯びてくるでしょう。

同一賃金同一労働で解決できないか?

中には「同一労働同一賃金を企業に厳守させれば解決するはず」と考える人がいるかもしれないけど、それは無理でしょう。企業は「業務が同じでも責任範囲が同一ではない」といった抜け道を簡単に作れてしまうので。

また、例えば、企業のカスタマーサービス部門で、管理者を正社員が担い、コールセンター業務は派遣社員が務めるといったケースでは同一労働とはみなされません。

つまり、仮に同一労働同一賃金が法制化されたとしても「正社員にカウンターパートがいないから非正規の労働対価は低いままでいい」では課題の解決にはつながりません。

インフレ圧力

賃金が底上げされれば短期的には一定の物価上昇が見込まれるものの、消費拡大に裏打ちされた健全なインフレなので、長年のデフレ停滞を脱し、安定的な成長軌道に乗るためにはむしろ歓迎すべき動きだと言えるでしょう。

低賃金のフルタイム従事者にしてみれば、せっかく賃上げされたのに物価もまた上がるのは残念だろうけど、そこは受け入れて、各々が頑張ってもらうしかないです。

まとめ

以上は私個人が考えた最適な労働・経済政策です。早い話が「一時的な減税や給付よりも、中低所得者の底上げにつながる賃上げの方が高い効果と持続性も期待できるはずだ」と。

次の自民党総裁、そして内閣総理大臣が誰になるかはわからないけど、この案に即した政策が検討されることに期待します。

東京の食品価格はもっと上がる

このところ毎月のように食料品の価格が上がってますよね。でも、これでもまだ頭打ちとは思えません。特に東京を始めとする首都圏では。

東京の弱点の一つは食料自給率がほぼゼロであること。よって首都圏、特に東京は外からの物流に全面的に頼っていて、供給が滞ればすぐに揺らいでしまう構造になっているわけです。私自身も首都圏在住なので、これは他人事ではありません。

もちろん、関東近県からの野菜や乳製品のように中近距離で運べるものは、そう簡単に途絶えることはなさそうだけど、それだけで巨大な首都圏の胃袋を満たすことはできません。例えば、東京の市場に並ぶ魚介の多くが北海道・三陸・日本海・瀬戸内・九州といった遠隔地から来ています。

よって鍵を握るのは長距離輸送だけど、その担い手であるトラックドライバーは深刻な高齢化に直面しています。長距離ドライバーの半数以上はすでに50代以上であり、働き方の厳しさに比べて賃金が見合わないので若手がなかなか入ってきません。したがって、このままでは数年内に高齢ドライバーの引退ラッシュで輸送力が2割ほど減り、その後10年でさらに半減…という事態が予見されます。

そこで期待されるのは自動運転です。すでに高速道路区間を対象にしたレベル4の実証実験は進んでいて成果も出ているとのこと。

自動運転トラックのイメージ

ただし、市街地まで含めた完全自動運転(レベル5)はまだ先の話。当面はこんな運用になろうかと。

  1. 出発地ドライバーがトラックに荷物を積んで、高速道路そばの物流拠点(仮に「Transfer HUB:トラハブ」と呼びます)まで運ぶ
  2. トラハブで出発地ドライバーが降りて、そこからはトラック自身が自動運転で長距離区間を走行
  3. トラックが目的地近くのトラハブに着いたら、到着地のドライバーが乗り込んで街中の配送先へ向かう
  4. 出発地ドライバーはトラハブに到着した別の自動運転トラックに乗り込んで荷下ろし場所まで運転

一見、合理的な仕組みに見えるけど、実現には各地に専用のトラハブを新しく整備する必要があります。土地探しや建設にはどうしても時間がかかるため、その間は「中距離リレー方式」で人が交代しながら運ぶしかありません。当然ながら人件費は増え、それは価格に反映されていくでしょう。

特に生鮮食品のように毎日大量に運ばれるものは影響が大きく、東京のように供給のほとんどを外部に頼る地域は直撃を受けます。一方で、生産地に近い地方での影響は比較的小さいでしょう。もっとも、北海道の食材を九州で手に入れようとすれば、それなりの値段になるのは避けられないけど。その逆も然りですね。

すでに国際相場や円安の影響で食料価格はじわじわ上がっています。そこに国内物流の人手不足が重なれば、東京は他の地域より早く「食の高コスト化」が進む恐れがあります。

鉄道や船への切り替えには限界や課題もあるので、自動運転の導入やトラハブ整備など、解決に向けた取り組みを急がなければならない時期に来ていると思います。

さもないと首都圏では生鮮食品価格の消費者価格が上昇し、飲食店などサービス産業の経営にも直撃します。そして例えば、回転寿司やスーパーのパック寿司なんかも高級食品化しかねないし、「東京は不動産以外にも日常の食べ物が高い」では悪夢ですよね。

東京の“食料脆弱性”は危機的

ふと思ったのでChatGPTに確認してみました。東京の“食料脆弱性”はやはり危機的なようです。

東京は食料自給率が極端に低い地域であり、これが物流の制約や災害リスクと組み合わさることで、深刻な都市脆弱性につながる可能性があります。以下に詳細を整理して解説します。


📉 1. 東京の食料自給率:わずか1%前後(カロリーベース)

  • 東京都のカロリーベース食料自給率は約1%程度(農林水産省「食料需給表」より)。

  • 生産量ベースでも10%未満。米や一部の野菜を除き、ほぼすべてを他県や海外に依存している。


🏙 2. 都市集中と食の「外部依存」

  • 東京は日本最大の消費地でありながら、農業生産に適した土地が極端に少ない

  • しかも、都市開発や人口密度の高さから、農業を営む余地が非常に限られている。

  • つまり、物流が止まると即座に供給が途絶える構造


🚚 3. 働き方改革 × 物流制限 の影響

  • 前述の通り、トラック輸送の時間制限(2024年~)により輸送効率が低下

  • 地方から東京への農産物・食材供給が滞るリスクが高まっており、「食料の安定供給」が揺らぎかねない。


🌪 4. 災害時の“食料孤立”リスク

  • 東京は地震や台風などの災害リスクが高い都市圏。

  • 首都直下地震が起これば、3日~1週間程度で食料供給が崩壊すると想定されている。

  • コンビニ・スーパーの物流は「翌日配送」が前提で成り立っているため、倉庫機能も脆弱


🛒 5. 都民の“フードセキュリティ”意識の希薄さ

  • 都民の多くは食料が「買えばいつでも手に入る」と思っているが、物流や生産地に依存するリスクを意識する人は少ない

  • 災害備蓄や地産地消の動きは広がりつつあるが、全体としては不十分。


✅ 対策と課題

項目 内容
災害備蓄 自治体や家庭による備蓄の推進(都は3日分を推奨)
地産地消の推進 都内農業や都市型農業(屋上農園、ビル農園)を支援
フードロス削減 輸送量に余裕がない中、無駄な廃棄を減らす工夫が重要
広域物流ネットの再編 ドローン輸送や鉄道物流の活用も検討対象に
都市のリスク教育 「食料は常に届くわけではない」という認識の普及

🔍 結論:東京の“食料脆弱性”は危機的

東京は、日本で最も食料供給の持続性が危ぶまれる都市のひとつです。
働き方改革で物流が圧迫される今、「食料の確保と運搬の仕組み」を根本から見直す必要があります。


必要であれば、以下のような追加情報も提供できます:

  • 東京の災害時の食料供給計画(都庁発表資料)

  • 海外の都市型農業の成功事例

  • 食料自給率を高める都市政策モデル

ご希望があれば、お知らせください!

中でも気になるのは『🚚 3. 働き方改革 × 物流制限 の影響』です。大災害の発生は予見できないけど、長距離トラックドライバーには60歳代も多く、数年内にも続々と引退していきます。そして泊まり勤務が当たり前で大して稼げもしない労働条件の悪さから若手の参入も期待できず、長距離物流網は次第に希少化するでしょう。当然、その分、消費者価格に転嫁されます。

現状、東京の食品価格は大量買い付けの効果もあって高くはなく、むしろ生産地以外の地方よりも安いくらいだけど、数年後には輸送費が嵩んで「東京は不動産と食品が高い」と言われているでしょう。

個人の懐を直撃するだけでなく、飲食店も廃業したり、地域別価格を採用するチェーン店も増えるから、さぞ暮らしにくくなるな。

富士山が噴火したら

9月1日は防災の日。懸念される大規模災害の一つが富士山噴火です。何しろ富士山は過去数千年では平均すると約30年に一度程度の頻度で起こっていたのに、最後に噴火したのが1707年で、いつ再噴火してもおかしくないし、規模が大きくなる可能性も否定できません。

そこで「富士山が宝永噴火並みに噴火したら東京や神奈川での生活は継続できるだろうか?」とChatGPTに訊いてみました。なぜ神奈川かというと私が住んでいるから。

いいテーマです。
まず「宝永噴火(1707年)」は、江戸時代に起きた富士山の最後の大噴火で、山体の南東斜面に大きな噴火口を残しました。東京や神奈川でも火山灰が厚く積もり、大きな影響を及ぼしたと記録されています。


🔥 宝永噴火級の富士山噴火が再来した場合の影響

1. 火山灰の降下

  • 東京・神奈川でも数センチ以上の火山灰堆積の可能性が高い。

  • 灰は電気設備のショート、交通の麻痺、飲料水の汚染を引き起こす。

  • 首都圏の空港(羽田・成田)は閉鎖、鉄道・道路も大幅にストップする見通し。

2. ライフラインへの影響

  • 電気:送電網が火山灰で絶縁不良・停電が長期化する恐れ。

  • 水道:取水口に火山灰が流入し濁水 → 浄水機能が停止する恐れ。

  • ガス:比較的強いが、配送・設備点検が滞れば停止も。

  • 通信:基地局やケーブルに灰が積もり、通信障害の可能性。

3. 生活面への影響

  • 数日〜数週間は「外出困難」になるほどの降灰。

  • 呼吸器系リスク(マスク必須)、農作物壊滅的打撃。

  • 物流が止まるため、食料・日用品不足が顕在化。

4. 経済・社会への影響

  • 東京都心は経済活動がほぼ停止。

  • 灰の除去やライフライン復旧に数か月単位かかる可能性。

  • 避難までは必要ないが、日常生活を「普段通り続ける」ことは困難


✅ 結論

  • 「生活がまったくできなくなる」わけではないが、

  • 東京・神奈川での生活は相当な制約下に置かれ、通常の社会活動は継続不能に近い

  • 実際には「最低限の生活はできるが、経済活動・都市機能は壊滅的な停滞に陥る」と考えられます。


ご希望なら、「宝永噴火シナリオに基づいた東京都の被害想定(気象庁や中央防災会議のシミュレーション結果)」を引用して、さらに具体的な数字で示すこともできますが、見てみますか?

なるほど。でも、この回答ではそのまま生活できるのかできないか分かりづらいので、「場所や気象条件によるだろうが、荒廃が多い地域では電気や水道、交通インフラも止まって食料調達にも困り、徒歩で疎開せざるを得ないのではないか?」と聞き返してみたところ、この通り。

ご指摘のとおり、富士山噴火の被害は場所や気象条件(風向きなど)で大きく変わるのですが、荒廃が広範に及んだ場合に「徒歩で疎開」が現実になる可能性は否定できません。


🗾 影響の分布

  • 風向き次第で首都圏のどのエリアが最も降灰するか決まる。

    • 冬型の季節風なら、東京・神奈川〜千葉方面が厚い火山灰に覆われる可能性が高い。

  • 厚さ数 cm 程度でも都市インフラに致命的ダメージ。

    • 例:2〜5cmの火山灰 → 高圧線ショート、変電所停止、道路不通。


⚡ 電気・水道・交通インフラ

  • 電気:火山灰で絶縁不良 → 広域停電が長期化する可能性。

  • 水道:浄水場が機能不全 → 水はすぐに不足。

  • 交通:鉄道はほぼ停止。道路も火山灰や倒木で通行困難。航空路も閉鎖。

👉 結果として「物流が止まり、スーパーやコンビニの棚は数日で空になる」可能性が高い。


🚶 徒歩での疎開の可能性

  • 自動車やバスは火山灰で走行困難になりやすい。エンジン吸気系がやられるため。

  • 電車も止まるため、最終的には徒歩や自転車での移動が頼りになる。

  • 東日本大震災時にも「徒歩帰宅者」が大量に発生したが、火山灰災害では より長距離の避難(疎開) が必要になる恐れあり。

  • 東京や川崎・横浜といった都市部は「生活継続が困難」になり、インフラが比較的無事な地域へ人口が一時的に流出するシナリオは現実的。


✅ まとめ

  • 富士山噴火で広域に火山灰が降れば、電気・水道・交通インフラが壊滅的に止まり、食料や水の調達が不可能になる。

  • 荒廃の度合いが大きい地域では、住民は 徒歩や自転車で疎開せざるを得ない 状況が十分にあり得る。

  • 行政の備蓄・避難計画が想定以上に機能しなければ、大規模な「都市からの避難」が発生するでしょう。


👉 ご希望なら、「中央防災会議の富士山噴火被害想定」で出ている「何日で物流が完全に止まるか」「どれだけの人口が影響を受けるか」の具体的な数字を紹介しましょうか?

やはりそうなるよな。そして、一つ前の回答よりも信憑性が高いかと。

ならば個人的に知りたいのは川崎市麻生区の自宅から私の実家(博多から電車で25分の町)まで疎開するルート。

とても現実的な視点ですね。
川崎市麻生区(新百合ヶ丘周辺)から九州(福岡・佐賀)まで、富士山噴火によって 首都圏の交通が麻痺・早期回復が見込めない という前提だと、通常の「新幹線・飛行機・高速道路」に依存できません。以下のような選択肢と課題が考えられます。


🚧 想定される制約

  • 航空機:羽田・成田は降灰で閉鎖。伊丹・中部も影響の可能性。

  • 新幹線・在来線:送電・信号障害で長期間運休。

  • 高速道路:火山灰や車両故障で通行困難。

  • 自家用車:灰でエンジン吸気系がやられ、走行が長く続かない。

つまり「首都圏から出ること自体が最大の難関」になります。


🛤️ 想定される疎開ルート(現実的順)

1. 徒歩+自転車で鉄道網が生きている西日本へ接続

  • 首都圏を徒歩・自転車で脱出 → 降灰の影響が小さい静岡西部や長野方面まで進む。

  • そこで鉄道や車が再開していれば、それを利用して西へ向かう。

  • 難易度は極めて高いが、実際に「徒歩疎開」が現実的になる可能性。

2. 港から海路で西日本へ

  • 東京湾の港(川崎港・横浜港)からフェリーや自衛隊・災害派遣船を利用。

  • 名古屋・大阪・神戸へ渡れれば、そこから鉄道・バス・飛行機で九州へ。

  • ただし港湾自体が降灰で機能不全なら利用困難。

3. 政府・自衛隊の避難輸送

  • 中央防災会議のシナリオでは、富士山噴火時には 自衛隊による大規模な住民輸送(海路・空路) が検討されている。

  • 麻生区住民であれば、まず川崎市・神奈川県の広域避難計画に従い、指定集合地点へ移動 → 船や臨時輸送で西日本へ。


⛑️ 個人レベルでの備え

  • 徒歩・自転車で移動できる装備:丈夫な靴・雨具・マスク(火山灰対応)・ゴーグル・水筒。

  • 移動先での生活基盤:親戚・知人宅、または自治体の受け入れ施設。

  • 現金と地図:電子決済・通信が止まる可能性大。


✅ 結論

  • 首都圏からの脱出が最大の壁。特に川崎市麻生区は内陸なので徒歩・自転車での移動が主体になる可能性。

  • 実際の疎開ルートは、

    1. 降灰が比較的少ない西方(静岡西部・長野)へ徒歩や自転車で抜ける

    2. 港や自衛隊の避難輸送で西日本へ渡る

    3. 西日本で鉄道や飛行機に再接続し、福岡・佐賀へ到達

  • 個人では困難で、国・自治体の避難輸送に頼るシナリオが現実的


👉 ご希望なら、「中央防災会議が想定している首都圏→西日本への住民避難の具体計画(船舶輸送の数・対象人口)」を調べて整理できますが、確認しますか?

なるほど。私は漠然と公共交通が生きているところまでひたすら徒歩で北上して時間をかけながら九州を目指すことを考えていたけど、それも現実的ではないですよね。火山灰が積もる中で、飲み水と食料を都度調達しながら百km以上も歩くのは。かといって自転車はコンスタントに充電できるか怪しく、そもそも灰まみれの道を走れるか解らないし。

ならば、国・自治体の避難輸送が始まるまでどうにか生き延びるのが鍵か。やはり飲み水と日持ちする食べ物の備蓄、そしてトイレが使えない時の備えが重要ですね。

非正規の増加は腐った雇用習慣の結果

先日、togetterでまとめられている下記のXポストが目に止まりました。

togetterのまとめ:マレーシア在住の社長「日本をダメにしたのは派遣労働だと叫ぶ人がいます。彼らは竹中平蔵悪玉論も訴えます。しかしこの見方は極めて短絡的です」「本当の問題は日本の腐った雇用習慣です」

マレーシア在住の社長「日本をダメにしたのは派遣労働だと叫ぶ人がいます。彼らは竹中平蔵悪玉論も訴えます。しかしこの見方は極めて短絡的です」「本当の問題は日本の腐った雇用習慣です」

タイトルを読んで、またぞろ「派遣労働は自己責任の結果」「努力すればその境遇を抜け出せるはずだから放置していい」「自分たちが納めた税金を就職氷河期世代の支援なんかに使うな」といったクズ意見の記事かと思いきや全然違っていて、冷静な分析が続きます。いわゆる「竹中平蔵悪玉説」に異論を唱えているだけです。

以下、要約。

  1. 人材派遣は70~80年代にかけて整理解雇を巡る裁判が無数に起き、ほぼ全てで企業側が敗訴して正社員の解雇が難しくなった結果、バッファとして生まれた
  2. 日本には2021年時点で42,448社の派遣会社があり、断トツ世界一
  3. 派遣業界の平均利益率は僅か1.2%。派遣会社も儲かってはいない
  4. 解雇規制、特に過去の判例が企業を派遣に走らせたのだから、そこを抜本的に改革すべきで、金銭解雇の法制化などは必須
  5. 日本は世界で最も同一労働同一賃金からかけ離れており、ここが治らない限り日本経済の復活は不可能
  6. 派遣が増えたのは解雇規制の結果だが、解雇規制を緩和すると失業率も海外の様に大幅に上がる
  7. 法令だけ見れば日本の解雇規制は世界でも厳しくない方だが、判例では世界屈指の厳しさ

人材派遣の始まりは古くとも小泉政権下でなされた派遣分野拡大の影響は大きく、竹中平蔵氏が無関係だったとは思えないけど、ここではスルーして、最も重要なのは「5.」でしょう。

かつて派遣労働は価格競争力がある職種だけに認められていたように、派遣社員の存在や働き方が悪いのではなく、問題は現状の「派遣(非正規)労働者≒低賃金」という図式が派遣の当事者のみならず、中小企業の正社員の賃金も抑制している点です。

やはり解雇規制が問題か?

上記の「4.」 には「解雇規制、特に過去の判例が企業を派遣に走らせた」とあり解雇規制の緩和は急務に思えるかもしれないけど、他方で「6.」に「解雇規制を緩和すると失業率も海外の様に大幅に上がる」と書かれている通り、それを先に改革するのは悪手です。

経営者にしてみれば業務のパフォーマンスが不十分な社員を抱え続けたくないのは当然だし、そのような同僚を持つ労働者にも不満はあるだろうけど、正社員を解雇しやすくすればいいかというと、そう単純ではありません。

解雇規制緩和の副作用

解雇規制の緩和、つまり金銭解雇を可能にしたら労働者を繁忙期などに短期雇用してすぐに解雇する経営者が必ず出てきます。正社員の有期雇用化です。

また、特定の社員に対して「割増退職金を受け取って辞めるか、それとも賃下げを飲むか?」と迫る経営者も現れるでしょう。つまり、労働者の立場が弱くなります。

まあ、それらのチート技は法的な罰則次第で防止できるかもしれないけど、そもそも経営者が誰かを解雇しても、代わりの正社員を雇ったり、浮いた人件費で残った他の社員達に還元したり、設備投資に充てる確約はありません。

結局、解雇規制を緩和すると失業者を増やしつつ、多くの企業のスリム化にばかり寄与する可能性があります。それは個々の企業、経営者にとっては合理的でも合成の誤謬で日本全体の経済にはマイナスに働くと。

よって解雇規制を緩和するよりもセーフティネットの充実の方が先です。それは竹中平蔵氏が「派遣分野の解禁自体は正しかったがセーフティネットを張らずにやったのが拙かった」と振り返ったことにも通じます。

戦力外社員はなぜ辞めないのか?

そもそもパフォーマンスが不十分な社員が辞めないのは「今の会社にしがみついた方が有利だから」でしょう。自身の立場が危ういことや居心地が悪い自覚があっても、「今辞めて再就職に難航すれば人生がたちまち不利になるから、できるだけ会社にしがみつこう」という思惑が働いて。住宅ローンや子供の養育費負担があるなら尚更です。

「在職中に転職先を探してから辞めればいい」という声もあるだろうけど、新たな職場が自分に合わなければ、また就活せざるを得なくなるわけで、やはり会社を辞めることを躊躇せざるを得ません。

ならば解は「転職に踏み切りやすい社会にする」です。それがセーフティネットとして機能すると。

今の会社では成果をあげられない人でも、別の会社、あるいは異業種でなら重宝される人材かもしれないし、人生100年時代とも言われる今、いつかは次なるキャリアに踏み出すなら早い方が賢明です。

転職に踏み切りやすい社会とは?

転職に踏み切りやすい社会とするために必要な処置は「派遣(その他の非正規フルタイムワーカーを含む)の賃金水準の底上げ」です。

上記の「5. 日本は世界で最も同一労働同一賃金からかけ離れており、ここが治らない限り日本経済の復活は不可能」という見解の通り、内需を拡大して日本経済を再活性化し、社会保障の永続性を担保するためにもワーキングプアと呼ばれる人達はできるだけ減らす必要があります。

同一労働同一賃金ではなく賃金底上げ

ただし、同一労働同一賃金の追求では解決しません。同じ労働内容でも「正社員と非正規社員では責任範囲が違う」などと言えば骨抜きにできてしまうので。

よって、立法でフルタイムワーカー向け最低賃金を設定するなどして賃金水準を上げる必要があります。正社員を派遣社員に置き換えても人件費の削減にならなくすると。

そうして今の会社を辞めて再就職までしばらく派遣で働いても所得が極端に下がることがなければ、生き方を変えたい正社員は迷わず離職に踏み切れます。

派遣社員がホクホクとはならない

では、賃金水準が上がれば派遣を始めとする非正規フルタイムワーカーが無条件に報われるかというと、そうでもないでしょう。企業側にしてみれば人件費削減の効果が薄れるので派遣労働者の雇用機会は減っていきます。

でも、それこそが狙いです。企業は割安ではなくなっても期間限定で雇える点を重視して派遣社員を使うか、それとも別の雇用形態の労働力を求めるかの選択を迫られるのだから。

派遣社員の代わりに正社員を雇うのか、パートやアルバイトで回せるよう業務を簡略化するのか、それともDXやAIの導入を進めるなどして業務効率を高めるのか。そこは自由です。

結果、優秀な元派遣社員は好条件の雇用にありつける一方、そうでない人は条件が劣る雇用に甘んじることになるでしょう。でも、それって本来の姿ですよね。

派遣労働市場の黄昏

まあ、派遣労働市場は縮小して派遣会社の多くは淘汰されることになるけど本質的に手配師ビジネス。派遣した社員の上前をハネて成り立っている会社がこんなにたくさんあることが不健全です。

それに、労働市場の流動性が高まれば、派遣会社の元社員を含む多くの求職者にとって雇用機会が増えます。派遣会社勤務の経験が労働市場でアピールになるかは分からないけど。

さあ、解雇規制を緩和しようじゃないか

そうやってセーフティネットを張った後であれば解雇規制を緩和しても大丈夫。と言うか、きっとポジティブな効果が得られるでしょう。

ただし、間違っても解雇規制の緩和を先にやってはダメ。それだと阿鼻叫喚、正社員が続々とセーフティネットなしの非正規市場に吸い込まれていきます。

選択的夫婦別姓の代替案

選択的夫婦別姓制度の法案は今の国会での採決が見送られ、継続審議となりました。

でも、あくまでも「選択的」であり、同じ姓を望む人が別姓を強いられるわけではないのだから、さっさと通してしまいたいところです。

選択的夫婦別姓に反対する人の中には「夫の姓と妻の姓、どちらでも選べるのだから男女不平等ではない」と言い張る者もいるけど、婚姻届を提出した夫婦のうち約95%は女性が改姓しているのだから、社会通念や圧力が強く働いています。

それでも夫婦同姓がいいと言うなら、こうしましょう。「婚姻時、夫の姓と妻の姓、どちらを名乗るかはチンチロリンで決める」と。

サイコロ(1・4の半)

役場にはサイコロ2個が常備され、婚姻の夫婦もしくは代理人が振った目が丁なら夫の姓、半なら妻の姓に決定。一回きりの恨みっこなしです。

これなら結果が限りなく半々に近づくので夫婦同姓でも男女不平等ではなくなります。

AIが示す日本の少子化の原因

2024年の出生率が1.15と発表されました。数でいくと68万人。政府予想よりも15年早まったのだそうな。

人口は必ずしも国の豊かさには比例しないものの、急な減少は社会の安定を脅かすので、少子化ペースを少しでも緩めたいところです。

そこでまたChatGPTに少子化の原因を訊いてみました。

AIのイメージ

日本の少子化の主な原因は、複数の社会的・経済的・文化的要因が複雑に絡み合っています。以下に代表的な原因をカテゴリごとに整理します。


🔹 1. 結婚率の低下・晩婚化

  • 日本では「結婚=出産」という価値観が強く、未婚者が子どもを持つケースが少ない

  • 晩婚化が進行し、結果的に出産可能な年齢が短くなる。

  • 生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚していない人の割合)は増加傾向。


🔹 2. 経済的不安・不安定な雇用

  • 若者の非正規雇用や低賃金が増加し、将来への不安から結婚や出産をためらう。

  • 教育費や住宅費、保育費など、子育てコストの高さが重い負担。


🔹 3. 子育て支援の不足

  • 保育園不足、待機児童問題、病児保育の課題など。

  • 働きながら子育てをするインフラが完全に整っていない

  • 地域差が大きく、「子育てしやすい場所」が限られている。


🔹 4. 長時間労働とワークライフバランスの悪さ

  • 特に男性の育児参加が難しく、女性に育児負担が偏る

  • 共働きでも家事・育児の分担が進まず、負担感が重い。

  • 長時間労働文化が、家庭生活との両立を妨げる。


🔹 5. 都市部への人口集中(東京一極集中)

  • 先ほど述べた通り、都市部では生活コスト・住環境・育児支援がネックになりやすい。

  • 地方では若者の流出により、出産世代そのものが減少。


🔹 6. 社会的価値観の変化

  • 「結婚しない自由」や「子どもを持たない人生」が以前より選択肢として受け入れられるように。

  • 子どもにかける理想や期待が高くなり、「完璧な育児」を目指す傾向がプレッシャーに。


🔹 7. 女性の高学歴化・キャリア志向の強まり

  • 教育・キャリア形成に時間がかかるため、出産・育児との両立が困難に

  • 出産後の復職やキャリア維持が難しい現状が、出産意欲の低下に繋がる。


✅ 補足:統計で見る少子化の現状(2024年時点)

  • 合計特殊出生率:1.20(過去最低)

  • 結婚の平均初婚年齢:男性 31歳、女性 29歳前後

  • 生涯未婚率(2020年国勢調査):男性 28%、女性 17%


🔍 要約

日本の少子化は、「結婚しにくい」「出産・育児しにくい」「子どもを持つメリットが感じにくい」という構造的問題の結果です。単一の原因ではなく、社会全体の仕組みと価値観の変化に起因しています。


ご希望があれば、海外と比較した少子化要因や、日本の具体的な対策(成功例・課題)についてもご紹介できます。

なるほど。

この内「🔹 1. 結婚率の低下・晩婚化」は経済状況が好転しないと向上しないかと。

でも「🔹 2. 経済的不安・不安定な雇用」は確かに大きそう。自分が生きるので精一杯なら結婚や出産に積極的になれない人も多いでしょう。

「🔹 3. 子育て支援の不足」は国や自治体があれこれ頑張ってはみたものの今の状況だから、やらないよりはいいけど焼け石に水。他の要因を改善しないことには。

「🔹 4. 長時間労働とワークライフバランスの悪さ」はどうだろうな。いいことばかりではないにせよ労働時間に対する働き方改革もかなり浸透してきたし。

「🔹 5. 都市部への人口集中(東京一極集中)」は、これこそ最大要因でしょうね。理由は後述。

「🔹 6. 社会的価値観の変化」はどうだろうな。もし経済的な不安が薄れて心に余裕ができれば価値観なんて変わりそうです。

「🔹 7. 女性の高学歴化・キャリア志向の強まり」は、そりゃあるかもしれないけど、子供を持つこととの二律背反ではないだろうに。

こうして見ると、諸悪の根源は「🔹 5. 都市部への人口集中(東京一極集中)」に思えてなりません。それに比べれば他の理由はどれもランクが下がるだろうと。

何しろ東京の出生率は全国最低。中央世帯の豊かさでも住居費や通勤を鑑みるとやはり最低です。東京の出生率が低いのは若い女性が流入するからという分析もあるけど、主に住居の問題で東京が子育てに向いていない点に変わりはないのだし。例えば、東京都心に勤めている都民は多いけど、子供を持つために広い住居に引っ越せば通勤がハードになったり、保育園へのお迎えで働き方に制約が出かねないと。

また、中には故郷の就職難と男尊女卑といった因習を嫌って東京に出た女性もいるやに聞くけど、東京に出たら出たで別の形で疲弊するわけです。

といった具合に、子育てに向かない東京に職が集結していて子育てに向いた地方には職の口が少ないというミスマッチ。

だとすると、少子化のペースを緩めるには東京に集結している企業の一部を地方の中核都市に移転させるのが効果的、というか残された唯一の手段だと思います。東京一極化の是正ですね。その他の要因への対策はどれも実施が難しいか、やったところで効果は乏しいだろうと。