今日も下版はできません! 第6話

『今日も下版はできません!』という印刷業界漫画が業界に近い人の間で人気ですよね。まったくもってその通りなので経験者の共感を呼ぶのでしょう。『いとしの印刷ボーイズ』にも収録されているのかな。

今さらだけど、その第6話には「めくり合わせ」あるいは「アオリ」と呼ばれるテクニックが取り上げられています。私が以前に所属していた制作現場では「ペラペラ」と呼んでいました。

今日も下版はできません! 第6話/印刷業界では“寄り目”を応用して印刷物をチェックする?
「今日も下版はできません! 第6話/印刷業界では“寄り目”を応用して印刷物をチェックする?」から拝借

そう、その制作現場では、長らくプリントアウトした修正前と後の校正紙を用いて手作業でやっていたものの、とあるPDF比較アプリ(デジタル校正ツール)が導入されてからはPCの画面上でシミュレートできるようにな離ました。

ただし、そのアプリはUSBドングルを刺したPCでしか使えないため順番待ちが発生し(使いたい時に限って、他の人と提出期限が重なりがち)、そんな時はベテラン編集者が優先的に使い、DTPオペレータや外注スタッフは遠慮するのが当然のような空気感も醸成されていました。

まあ、そのアプリには高度な機能も多く搭載されていて開発には莫大な費用がかかっているのだろうから、ドングルによるコピープロテクトは必然です。違法コピー品が出回ろうものなら、とんでもない損害になりましょう。

とはいえ、私がその制作現場を離れてからは当然ながらアプリを使えなくなりました。個人で買おうにも到底手が出せない価格です。

よって代替品としてXORを自身で開発し、リリースすることに。機能は必要最小限ながらドングルなしで使える安価なPDF比較アプリの需要はあるだろうと。とりわけ小規模制作会社やフリーランスの制作者などに。

また、比較的大きな制作現場においても、高性能・多機能なアプリを導入して皆でシェアしながら使うより、XORをスタッフの人数分導入して各人がいつでも存分に使える方が並行作業ができて有利な場合もあろうかと。

ちなみに『今日も下版はできません!』のページには間違い探しの絵(下図)が載っています。これ、全10箇所の違いはXORを使えばあっさり見つかります(左右の画像を別々にPDF化する手間は必要だけど)。

今日も下版はできません! 第6話/印刷業界では“寄り目”を応用して印刷物をチェックする?のおまけ画像(間違い探し)

紹介動画を刷新しました

XORの紹介動画を更新しました。2020年7月版です。

主な変更点はナレーション。前回までは自身の朗読だったものの、声の通らなさと読み上げの下手さに我ながら失望していたのに加えて、苦手な朗読で録り直しが頻繁に発生する作業効率の悪さを改善すべく、株式会社エーアイのかんたん!AITalk®3を導入。朗読のスペシャリストに頼めれば良かったけど、予算はもちろん、後から修正したくなることを考慮して、それが最適解だと判断しました。

ただし、かんたん!AITalk®3にはMac版がないのでWindows版を導入。Macのスピーチ機能で事が足りれば理想的だったけど、Siriの声でも解るようにあまり自然な読み上げとはいかないもので。その点、かんたん!AITalk®3はとても聞き取りやすい発声をしてくれます。

よってWindows側で読み上げ音声を一通り作り、それをMacに持っていってGarageBandで微調整。iMovieで画面キャプチャ動画、Keynoteのプレゼン動画、BGMとともに編集という方法で動画を作っています。

以前の動画を見ていただいた人の中には、私の声が原因で途中までで視聴をやめたり、内容が入ってこなかった方もおられたかと。でも、かんたん!AITalk®3の声は格段に聞きやすくなっていると思います。

動画の内容も少し修正してあるので、ぜひ今一度ご視聴いただければ幸いです。

校正はもっと楽してコストも削減!『XOR』は格安サブスクPDF比較アプリ

XORの新しいYoutube動画を作成して公開しました。

というのもFacebookに広告を出してもリンク先のWebサイトにはなかなか進んでもらえないものの、動画なら見てもらえそうな感触を得たので。無理もないですよね。読書よりもテレビを流し見する方がずっと手軽だし。

相変わらず自身の声の通らなさ、読み上げの下手さには愕然とするものの、まあしかたがありません。先々、経済的に余裕が出たらちゃんとしたナレーターに発注したいと思います。

さて、動画の前半はXORの機能と使い方の紹介で、後半がXORの有用性、有効な使い方の解説です。以前の動画はそれぞれを分けていたけど、それだとどちらかしか見てもらえない可能性があるので一つに繋げました。

動画のタイトルも印刷物の制作者各位に響くよう「校正はもっと楽してコストも削減!『XOR』は格安サブスクPDF比較アプリ」としました。

いまだにプリントアウトした校正紙ベースで校正作業を行っている制作者は多いと聞いています。でも、それには高いスキルと集中力が必要で、時間もかかります。そこでPDF比較アプリを利用すれば経験の浅い人でも変更箇所を簡単に洗い出せるので、スキル不足を補い、負担を軽減してくれます。

「PDF比較アプリ」「デジタル校正ツール」と呼ばれる既存製品はなかなかお値段が張るものの、XORは月額2,000円のサブスクリプションなので個人でも導入できるかと思います。

テレワークは流行らない?

緊急事態宣言が解除され、通常勤務に戻す企業も多いと聞きます。ラッシュアワーの通勤再開を憂鬱に感じている人もいるでしょうね。

他方で、「テレワークなんて流行るはずがない」と得意げに言う人がいるけど、解ってないなぁと思います。事の本質は在宅勤務が主流になるかどうかではなく、この先、テレワークの可否や生産性の高低が企業の競争力に関わってくるということなのに。

テレワークのあるある
テレワークが必ずしも快適、合理的とは限らないけど、だからと手をこまねいていれば同業他社に差をつけられてしまいます

仮に新型コロナの第二波が来なかったとしても、例えば会社員が親の在宅介護を余儀なくされることは大いにあり得ます。その際、勤務先がテレワークに消極的な会社なら、テレワークに理解があって実施実績も豊富な同業他社への移籍を考えるでしょう。

そう、「テレワークは緊急事態の一過性ブーム」などと考えて、事実上の自宅待機程度でしか実施してこなかった会社はいずれ求心力を失う可能性があります。新卒採用でも後れを取るし、手放したくない人材をみすみすライバル会社に差し出した上に、場合によってはその人と懇意だったお客様まで持っていかれかねないという。

よって「テレワークだと効率が上がらない」といったスタンスは命取り。「どうすればテレワークでも生産性を保てるか」や「オフィスワークとテレワークのベストミックスを模索する」に考えを切り替えるべきだろうと思います。

いや、もちろんライバル企業もテレワークに出遅れていれば心配はいらないけど、そんな保証はないですからね。

ちなみに下記リンクは印刷物の制作者のテレワークに向いたPCと周辺機器の一例。できればディスプレイは2台で。

テレワーク制作向けお勧めPC

日本全国で緊急事態制限が解除され、通勤を再開した会社もあれば、テレワーク体制を維持する会社もあるのでしょう。

ただし、新型コロナウイルスが再拡大すればまた外出自粛が求められるし、秋冬には第二波の到来が確実視されているので、テレワークの可否や生産性の良し悪しが同業他社との競争力に関わってくるかもしれません。

そこで印刷物の製作者向けPCを紹介します。

なお、この機種は実はベアボーンモデルで、メモリーとSSDを別途用意して装着する必要があります。言い換えれば、それぞれ好きな容量のものを自分で追加できるわけです。

Mini PC PN60-BB5087MH

Windows機なら私のお勧めはASUS Mini PC PN6D(税別54,364円)です。

サイズはこの通りとてもコンパクト。

ASUS PN60-BB5087MH

そして背面にはHDMIポートが二つあるのでデュアルディスプレイ構成が簡単に構築できます。

ASUS PN60-BB5087MHの背面

テレワーク制作のネックの一つが校正紙の扱い。会社にいるときのようにプリントアウトして赤入れした原稿を他者に渡すことが簡単ではないので、校正紙はPDFに置き換える必要があります。

そのため制作業務においてはデュアルディスプレイが理想です。片方に原稿類を表示して、もう片方でDTPや校正作業を行えば効率が良くなります。