XORが目指すところ

XORはPDF比較ツールと呼ばれる分野のアプリです。修正前と後のPDFの差異を見つけます。

PDFの新旧比較は普遍的ニーズなので、この分野には既存製品がたくさんあります。中でも以下の二つが有名です。

  • Adobe Acrobat DC PRO
  • Proof Checker PRO

他にもあるようだけど私は導入事例を知りません。何しろ私が昨年まで勤めていた都内の制作会社でも、その前に勤めていた横浜の制作会社でもProof Checker PROを導入していたこともあり、他のアプリを導入しようという動きがなかったもので。

とはいえProof Checker PROは中小規模の制作会社ではおいそれと導入できないハイエンドアプリ。ましてやフリーランスの個人ともなるとまったく手が届かないので市場に開拓余地は残されているはずです。

よってXORはそれらに次ぐ「第三の選択肢」のポジションを狙っています。Mac版しかない現状ではアピールが難しいけど、Windows版をリリースできたらいよいよ本格的にレースに参入です。

ライバルは多い方がいい

私は「ライバルは多い方がいい」と考えています。それはアプリ市場においても。

特定分野のユーザを独占できれば素晴らしいけど、そこそこ規模のある市場では不可能だし。

もちろん他社製品のターゲットや利用目的、課題解決へのアプローチなどが自身のアプリとぴったり重なれば拙いけど、幾分違いも見て取れるなら、それらはライバルでもあると同時に共闘者でもあります。

例えば私のアプリが「A社のニーズには合うがB社には合わない」とう状況で、他社のアプリが「B社のニーズには合うがA社には合わない」なら、ちょうど補完しあえるわけだから。

幸いPDF比較アプリという分野では、XORは他とは少し毛色が違っているので、各社のアプリとも共存共栄できていくのではないかと。

Araxis Merge

Araxis Merge 2019のアイコン

Araxis Merge 2019というソフトウェアの存在を知りました。主な機能は以下の通りとのこと。

  • ファイルの比較とマージ
  • フォルダー比較と同期化
  • バイナリ ファイル比較
  • イメージ ファイル比較
  • レポート出力

どうやらPDFの比較もできるそうな。しかもWindows版だけではなくMac版もあるのですね。

そうなるとXORとも用途が重なる上に、XORよりも多機能です。しかもStandard Editionが27,000円と安価。これは強敵かも。

ということで早速評価版を申し込んで試してみました。もしPDFの比較機能がXORとそっくりだったらXORを勧めづらくなりかねないので。

でも、結果は取り越し苦労でした。XORとは目指すところが完全に違うようです。

Araxis Merge 2019に対する私の印象は「diffの技術を基に各種便利機能を実現したアプリ」です。とりわけテキストの比較に多大な効果を発揮してくれそうです。

Windows環境の優位点

私はMac派なのだけど、時折Windows環境が羨ましく思うこともあります。その理由の一つが互換性の維持。Macは新しいOSの投入とともに古いAPIをバッサリ切り捨てることがあるのでアプリが新OS上では動かなくなる可能性もあります。そう、Appleは互換性よりも革新が優先なのですよね。そして古いものは放置せずに捨てるという。

一方でWindowsは互換性が重要視されていますよね。それがビジネスシーンでWindowsが好まれる理由の一つなのでしょう。

さしあたりMicrosoftはWindows 10が最終バージョンと宣言しています。ということはこの先も大きなAPI変更はないのでしょう。つまり一旦完成させたアプリは、今後もずっと動作し続けるはずです。

Windows版がないことには

XOR Version 1.1のプレスリリースを出してしばらく経ったものの大きな反響はまだ得られていません。無理もないけど。

PDF比較アプリであるXORのターゲットは商用ドキュメンテーション分野。もっと絞るとメインは以下になろうかと。

  • 取扱説明書の制作を請け負う制作会社、もしくは個人事業主
  • 取扱説明書の制作を発注する製造業企業
  • 自社製品の取扱説明書を内製する製造業企業

この中でMacを使っていそうなのは個人事業主ぐらいかと。何しろ私が昨年まで在籍した都内の大手制作会社や以前在籍した横浜の大手制作会社もWindowsが圧倒的だったし。ましてや製造業企業ともなるとほぼ例外なくWindowsでしょう。

よってWindows版を先に出せばよかったのだけど、Mac版を先行開発した方がアプリの仕様を固めやすかったもので。Macの方がGUIがこなれている上、PDF関連のAPIも標準開発環境に含まれているし。

よって周知や売り上げの面ではもうしばらく我慢の時期が続きそうです。