サブスクリプションには苦労したなぁ

XORのMac版は1月中にリリースする予定で開発を進めていました。でも実際にリリースできたのは4月の頭。約2ヶ月遅れてしまった形です。

こうなった理由はひとえに私のミス。XORの開発を発注した際に必要な機能やUI案などの要件を伝えたものの「XORはサブスクリプション形式でリリースする」という点を伝えていなかったためです。

その頃の私はサブスクリプションも買い切りの有料アプリも仕組み的に大差ないと思い込んでいました。リリースの段階でAppleが用意した価格リストから「月額2,000円」を選ぶだけで勝手にサブスクリプション対応になると。

でも実際のところ、iOS向けのApp StoreやMac App Storeでサブスクリプションに対応するには、アプリ側にそのためのUIやAppleが用意したサーバとのやり取りをする仕組みが必要がだったのですよね。

XOR Subscription dialog
サブスクリプション対応にはこのようなUIを盛り込み、かつAppleのプロトコルに対応する必要があります

考えてみれば当然です。例えばMicrosoft Word、Excel、PowerPointなどもMac App Storeでサブスクリプションとして提供されているけど、ストア上に「Subscribe」なんてボタンはないわけだから。

よって現有機能が完成した段階で残機能を後回しにしてサブスクリプション対応機能を盛り込むことにしたものの、これに手こずってしまい、リリーズが2ヶ月押してしまいました。

イラストファイルのNG

制作時、1個のドキュメントで使う複数のイラスト類を一枚の.aiファイル内に描く人がいますよね。こんな風に。

NGなイラストファイルの例

そしてInDesignに貼る際はそれぞれ読み込む座標を変えて、各箇所に配置するという。

これ、一見効率的に思えても、やらない方がいいと思います。NGです。理由は再利用性が悪くなるから。

例えば後日、別の案件でカクレクマノミのイラストが必要になったとします。その際、「カクレクマノミ.ai」なんて名前で保存されていれば、ファイル検索ですぐに見つかります。

でも、「海の仲間1.ai」といった大雑把な名前だと、ファイル検索では目当てのイラストを探せません。

TCシンポジウム2019の参加費用

8月27日(火)と28日(水)にテクニカルコミュニケーションシンポジウム2019というイベントがあります。いわゆる取扱説明書の制作に関連した業界イベントですね。

JAGAT(一般財団法人テクニカルコミュニケータ協会)のロゴ

そこでXORを紹介させてもらおうかと思ったのですが、案内を見て怯んでしまいました。というのも以下の項目を見つけたので。

TC関連商品紹介発表&展示会の開催単位での参加料金
法人会員 : 90,000円(非課税)
個人会員 : 120,000円(非課税)
非会員 : 200,000円(消費税別)

非会員は馬鹿げているので個人会員登録すべきだろうけど、それでも12万円。加えて入会金10,000円、年会費10,000円も必要です。

これが3万円くらいなら払ってもいいかなと思うけど、計14万円はちょっと考えてしまいます。今どき展示会ってのもなんだし、その他の特典は会報誌にイベントの報告として製品紹介が載るくらいかと。

というか私は大手制作会社に勤めているときに、このイベントに参加した話を聞いたことはなかったのですよね。業界の同窓会みたいな趣のイベントだったら出展効果が薄いかもしれないし。

ともかく応募締め切りは2019年5月10日(金)だそうだから、もうしばらく考えてみることにします。

でも、その14万円を別のパブリシティ費用に回した方が良いかな。主要メディアに広告を出すとか。それなら8月末まで待つ必要もないし。

XORの弱点

XORは二つのPDFの違いを100%見つけるという触れ込みですが、弱点もあります。それは「あまりに微妙な違いは見つけにくい」です。

例えばこちらの二つのテキストを比較する場合。

比較したいテキスト
比較テキスト1
比較したいテキスト
比較テキスト2

これをXORで比較するとこうなります。

比較結果のテキスト
XORによる比較結果

一見、差はなさそうですが拡大して見れば1行目の「プ」と「ブ」、2行目の「バ」と「パ」の箇所にうっすらと赤や青がにじんでいます。

とはいえ濁点と半濁点の違いは微妙なのでビジュアル的に比較しても差はわずか。人によっては見逃してしまうかも。XORの将来バージョンでは比較結果のコントラストを上げる機能を搭載するべきでしょうね。

もっとも、実際の制作におけるテキスト修正では文字数や文字の並びも変更されることが多いので、差異はもっと見つけやすいかと。

ちなみに、こちらの二つの画像を比べる場合も微妙です。

比較したい写真
比較したい写真1
比較したい写真
比較したい写真2

XORによる比較結果はこうなります。魚の色がやや青みがかっていますね。

XORによる比較結果の画像
XORによる比較結果の画像

ただし、そもそも元の画像で色味が違うのは一目瞭然だし、XORの比較結果がもっと微妙なら、それは比較する両画像の差も僅かということ。そのまま世に送り出しても問題にはならないのではないかと

色味にこだわりがあるデザイナーは肉眼で両者の違いを見比べて確認してください。

「XORなんて…」と思うなら

XORはPDF差異検出ツール、あるいはPDF比較ツールと呼ばれる類いのアプリです。

この分野はそこそこ歴史も長く、多くはないけど既存製品がいくつかありますAdobe Acrobat Pro DCProof Checker PROといった定番アプリの他にもフリーで使えるものも存在しています。

よってXORを知ったところで「無名の有料アプリなんか要らない」と思われる方は多いでしょう。そこで実例をもってXORの有用性をアピールしたいと思います。

例えばこちらの二つのPDF。

NTTの光回線の機械に付属する取扱説明書の新旧バージョンです。特に許可は得ていないものの、公開されているので使わせていただきました。

これをAcrobatで比較するとこんな感じ(クリックで拡大表示)。

Compare result by Acrobat
ハイライトの箇所をクリックすると「画像が置換されました」といった変更内容が表示されます

少なくとも私にとってはこれが見やすい、解りやすい比較結果には思えないのですよね。私の注意が散漫なのかもしれないけど、せっかく差異を見つけてくれても見落としそうになるので。昔のAcrobatでは引出し線付きで図解してくれていて便利だったけど、そのモードは今では無くなったみたいですね。

これに対してXORにおける比較結果はこの通り。

Compare-result-by-Acrobat
青や赤がにじんでいるところはすべて差異です

私にとってはXORの方が既存のどのPDF比較アプリよりも差異の箇所を探しやすいと思うのでですが、いかがでしょう?

というわけで、ぜひ他のお気に入りアプリでも試してみてください。XORよりも良いアプリが見つかるかもしれないけど、XORの方がいいと感じる方もおられるかと思うので。

なお、XORには決定的な弱点があることも把握しています。よって次のバージョンではその点を克服した機能を搭載する予定です。