集団免疫計画は悪魔のプラン

新型コロナウイルスのクラスターが北九州市で発生し、東京でもやや再拡大傾向が見られるけど、ひと頃の医療崩壊の危機的状況からすれば、今は一息付けている感じでしょうか。今後、緊急事態宣言のリバウンドが大きく出ないことを願うばかりです。

日本の感染者数は今のところ欧米より少なく済んでいるものの、裏を返せば抗体を獲得した人もまだ少ないということ。秋の第二波も懸念されるし、諸外国との往来もなかなか再開できないでしょうね。

他方で集団免疫は従来言われていた人口の60%に達せずとも40%かそれ以下、20%程度でも成立しそうだという話も聞かれるようになりました。木村もりよさんなんかがそれを提唱しておられます。そうして経済を回すべきだと。意図は解るけどさすがに無茶かと。

例えば39歳までの致死率は非常に低いのでどこかに集めて感染パーティでもやれたらいいけど、若い世代、特に18歳以下は親と同居している可能性が高いですからね。参加者には感染を強いて、PCR検査で陽性が出たら感染力を失うまでホテルの個室に隔離させますか?誰がそれを望みます?まるで徴兵制、いや独房行き懲罰、もしくは人体実験のようにも思えます。若い人でも何らかの健康不安を持っている人は多いし、中には重症化するケースも少なからず出て来るのだから。

また、集団免疫の20%論が正しいと仮定しても日本の人口の20%は約2,500万人。その規模で計画的に抗体獲得を目指すなら毎週10万人ずつ感染させても250週かかります。秋に間に合わせるならその10倍のペースが必要だけど、さすがにPCR検査や抗原検査が追いつかないでしょう。ちなみに感染者数は世界最多のアメリカでも6月1日時点で180万人弱。全世界でも610万人超なのですが…。

 COVID-19 Dashboard by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU) Hun.1.2020

つまるところ、ワクチン以外での抗体獲得による集団免疫は机上の空論の域を出ません。それどころか多くの犠牲を前提とした「悪魔のプラン」とでも言いましょうか。抗体の有効性やそれがいつまで続くかも解っていないし。

よってここは用心しつつもなるべく通常の生活、経済状態に戻しつつ、感染ペースを低く抑えながらワクチンや治療薬の実用化を待つしかないと思います。時間はかかるけど、強毒性に変異したウイルスの拡散を地道に防ぐだけでもウイルスの脅威は減っていきます

もちろん誰かが言っていた「PCR検査を拡充して、陰性者だけで社会を回す」なんてのも論外です。PCR検査の陰性は抗体獲得を意味しないので。

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