今後印刷業従事者は今まで以上にコストに敏感にならざるを得ないと思います。景気後退が予見されているし、少なくとも五輪特需は終わるので。悪材料はたくさんありますよね。
私が過去にディレクターや編集者、DTPオペレーターなどとしてドキュメント制作に携わった経験からいくと、一連の作業工程の内、工夫によってカットできそうなのは「どこかに紛れ込んだかもしれない無用な変更を探す」だと思います。
Webなどとは違ってページサイズが固定なためDTPではちょっとした修正でもレイアウト変更が発生します。しかも作業のクオリティはスケジュールの切迫度や担当者の体調、関心事などによっても左右されるし、作業量に比例してミスも増えます。DTPオペレータは常に万全の作業を心がけているため先入観が働き、確認は甘くなりがちです。
よって編集者はDTPオペレータからPDFが上がってきたら、原稿の修正指示の箇所以外も広範囲を確認しています。どこかに無用な変更が紛れ込んでいるかも知れないので。ただし、この無用な変更を探す作業には高い集中力とスキルが要求されるため、精度には個人差が出ます。また、長い時間をかけても何も見つからず徒労に終わる可能性もあります。とりわけミスを見逃した後ともなると、疑心暗鬼からどれだけ確認しても安心できずストレスになります。
そこで私はXORを開発することにしました。XORを効果的に使えば「どこかに紛れ込んだかもしれない無用な変更を探す」という工程を省け、時間短縮、つまりコストカットに繋がります。
手順はこうです。
①:校正の最初にXORで新旧のPDFを比較し、片っ端から囲みを付けてしまいます。この作業の意味が判らない方は、こちらの動画の最初の2分間をご視聴ください。
②:DTP原稿の修正指示と囲み箇所を照らし合わせていきます。ただし、修正結果の良し悪しはまだ確認しません。ここで見るのは、それらが対になっているかどうかだけです。
そして修正指示に対応する囲みが見つからなければ修正漏れの可能性があります。逆に修正指示がない箇所に囲みが見つかった場合は無用な変更がなされた可能性があります。オペレータが確信を持ってそう対処した場合もあれば、単なるミスの場合もあるでしょう。それらの妥当性を確認してください。
そうして懸念が解消されたら③に進みます。
③:確認が必要なページや箇所を限定(確認不要なページや箇所を除外)します。
④:すべての修正指示が正しく反映されているかを確認します。
つまり、「どこかに紛れ込んでいるかも知れない無用な変更」を②の段階で洗い出してしまうわけです。
XORのようなPDF比較アプリを使わない校正の場合、いきなり④の工程に挑むため、その後に手がかりもない状態で無用な変更を探す必要があり、気が済むまで確認することになってしまいます。