XOR for Windowsの必要性

XOR for Windowsを先日、Microsoft Storeでリリースしました。

私はかつて横浜と千代田区の大手ドキュメント制作会社で勤務したことがあります。どちらの会社も主に取扱説明書類の受託制作を行っていたのですが、作業環境はWindowsが主流でした。

ドキュメント制作の用途ではWindowsはMacよりも不向きなのにWindows一色になったのは、Appleがかつて経営危機に陥ったことに加え、調達のしやすさやクライアント企業との付き合い上の理由が大きいのでしょう。「御社の系列の販社からPCを購入しますので、取説のお仕事依頼は弊社にお願いします」といった経緯もあったと推測します。

よって本当はMac版よりも先にWindows版をリリースすべきだったのだけど、私と開発担当者が共にMacユーザーだったことと、Mac版を先にした方がUIの設計等で有利に思えたため、Windows版が後になりました。何しろMac版をもっと早くリリースできると見込んでいたもので。結局、当初の計画よりも半年ほど遅れてしまったのですが。現実はなかなかうまく運ばないものですね。

Microsoftはオワコン?

いわゆるGAFAにMicrosoftは含まれていませんよね。業績はいまだに好調らしいけどスマホでAndroidに出し抜かれて以来、存在感はすっかり薄れました。WindowsやOfficeはもはやインフラのような位置付けなのかも。

さて、PDF比較アプリの『XOR for Windows』をようやくリリースできたので、大手ドキュメント制作会社に勤めるかつての同僚に連絡を取ったところ「当面は導入できない」とのつれない返事。理由は「まだ社内のPCがWindows 7だから」だと。そう、XORのサポートOSはWindows 10のみ。Windows 7にはMicrosoft Storeがなく、対応するには別バージョンを作ったり、流通やコピープロテクトなど面倒なことが多々出てくるので。

App icon of the XOR

XOR

リアルタイムPDF比較ビューワ

2,000円(税込)/月
(サブスクリプション)

  • Download_on_the_Mac_App_Store_Badge_ja
  • Microsoft Store Badge

よってさっさとWindows 10に乗り換えてほしいところ。メーカーから購入したWindows 7搭載PCは今でも無償でWindows 10にアップグレードできるだろうから。ただし、ドキュメント制作会社は印刷業の一部。総じてITには疎くPCの環境にも無頓着な傾向があります。個人で活動されている人には最新技術に敏感な方もおられるのですが。

加えてWindows 7へのMicrosoftのサポートが来年1月14日に終わるとはいえ、マルウェア対策さえ万全ならセキュリティアップデートが提供されなくなっても、使い続けて特に問題がなさそうなのも事実。考えられる不都合といえば、PCが故障して買い換える際はWindows 10搭載機になり、社内のOSが二種類になる点ぐらいかと。

ならばWindows 7はまだまだ延命できそうな気配。つまるところWindows 10に乗り換えさせるだけの魅力がない、もしくは伝わっていないのでしょう。

ちなみにMacの場合、毎年秋にOSの新バージョンが無償で提供され、その度に魅力的な機能が追加されるので、大半のユーザーが遠からず新OSに移行します。例えば、日本語入力一つとっても数年前のものと比べれば格段に進化していて誰もが新OSのメリットを享受しやすいわけです。

その点はMicrosoftにも見習って欲しいけど、難しいのかな。そもそもWindowsは昔から「ユーザが自在にカスタマイズするもの」という世界観で展開されてきたので。

Microsoftは今後もPCの世界では大きな役割を担っていくだろうけど、裏方に徹することになるのかもしれません。

Surface Hubって何?

先日、XOR for WindowsMicrosoft Storeにてリリースしました。

でも、Microsoft Storeのページには気になる点が。対応プラットフォームの欄には「PC」に加えて「Surface Hub」とあるのですよね。アプリ申請時に選んでいないのに。

Microsoft Store上のXOR
Surface Hubなんて知らないから調べてみたけど、ホワイトボードのように使える50インチ液晶スクリーンなのかな。そしてWindows 10が搭載されているのでしょうかね。もしそうならXORも動作するかもしれないけど、テストはしていないので保証はできかねます。まあ、100万円もするこのデバイスでXORを使う人はいないでしょうが。

XORは大画面で使った方が有利だけど、せいぜい32インチの4Kモニタが実用的な最大サイズではないかと。

需要不足

XORに対する反響は、まだ見込んでいたほど得られていません。最大の理由は「Windows版が未リリースだから」でしょうね。メインターゲット層に訴求できていないと。おそらく大きめの制作会社でWindows版が普及し始めたら、そこと付き合いのある他社や下請け制作者がMac版を求めるようになるという順番、流れができてくるのではないかと。

でも、もう一つ以下の懸念があります。

そもそも需要がない

というのも「PDFの仕上がりを検証するのにアプリなんて不要」「有料アプリの導入コストが惜しい」という制作者も少なくないのかもしれないなと。

確かにPDF比較アプリがなくても校正の作業はできます。基本的には修正指示原稿の通りに修正されているかを確認すればいいのだから。特に熟練の編集者などは自分の校正能力に自信を持っていて、やり方を変えたくないかもしれません。でも、その域に達していない私などは、より良いツールが欲しかったのですよね。

ならば、XORを普及させるためには有用性を説き続ける必要がありましょう。昔からの比喩の通り、裸足の民族を前にした靴屋が「靴を履く習慣が無い」と諦めればチャンスを逃すけど「靴をまだ履いていない人たちがこんなにいる」と捉えれば需要を掘り起こせるかもしれないわけです。

靴のセールスマン

XORの導入によって得られるのは品質確保だけでなく、時短によるコストカットです。ベテラン編集者ともなると、校正において修正指示の箇所以外にも広範囲を確認しているはずです。DTPを経たPDFには時として余計な変更がなされていることがあるので。XORで新旧のPDFを比較すれば、そのような作業を省略できます。入念に見渡してどこかに紛れ込んでいるかもしれない余計な変更を探さずとも簡単に洗い出せるからです。結果、作業時間が短縮できればコストカットに繋がります。

パパ・ママのお手伝いにもXORを

「家庭内でお手伝いに積極的な子供は社会に出ても成功しやすい」という話を聞いたことがあります。そういう心がけが身についた人は他者からの信頼を得やすいからだと。同意。

食器を洗うお母さんと、お手伝いをしている女の子のイラスト

さて、DTPのようなドキュメンテーション業務を生業とするフリーランスの個人も多いかと。その際、新旧PDFを比較し、修正原稿と見比べて品質を高める工程は欠かせないものの、その分野の最高峰ツールProof Checker PROは1ライセンスが100万円を超えるため手が届きません。

そこでXORを導入してはいかがでしょうか?

機能面ではProof Checker PROには大きく見劣りするものの、二つのPDF間で差異を探す用途には十分に使えます。しかもXORは月々2,000円のサブスクリプションで不要になれば解約でき、30日の無料試用期間もあります。

XORの特徴の一つは複雑な設定いらずなところ。二つのPDFを読み込んだらスペースバーを押すだけです。見つけた差異には長方形の囲みを付与できます。つまり小学生のお子さんでも可能な作業です。

よってご家庭をお持ちであれば、例えばパパ・ママがDTPでPDFを制作したら、お子さんにXORで新旧のPDFを比較させて差異の箇所に囲みをつけてもらいましょう。そうして一通り囲みを付け終えたらPDFに書き出し、それを本職のパパ・ママがDTP原稿と照らし合わせて、各箇所の変更が正しいかどうかを判断するわけです。

お子さんの性格にもよるだろうけど、家業を助けることに意義を見出しつつ、ゲーム感覚で熱心にやってくれるかもしれません。お子さんを戦力にし、かつ労働の意義や意欲を根付かせるとともに、家族の団結をも得られるのではないでしょうか。