Foundation & Essence – ページ 4 – XOR for Mac & Windows:リアルタイムPDF比較ビューワ

アオリねぇ

正直なところ私は最近までアオリの実用性をあまり信じていませんでした。

例えば物理的なアオリ、つまり比較したい二枚の校正紙をぴったり重ね、上の一枚だけを素早くめくったり戻したりして残像で差異を見つける手法は昔から行われてきたけど、あれは面倒かつ不効率です。ページが多ければ作業の手間隙が多くなるのはもちろん、A4サイズでもページ全体を見比べるのは難しいので、差がありそうな箇所を予測しながらでないと肝心なところを見落としがちになります。

それに、PCの画面上でそれを再現した場合、「変わっていない」という確認には有効でも、変わった箇所がたくさん見つかろうものなら対処に困ります。画面で確認しているのにプリントアウトした校正紙に逐一赤入れしたくはないですよね。

そういった理由からXORにアオリ機能を搭載するつもりはありませんでした。

でも、よくよく考えてみたらXORにはマーキングの機能が備わっているので、アオリで見つけた差異に囲みを付けたり、差がなかった箇所をマスクできます。

XORのアオリ表示中のマーキング
見つけた差異にマーキングできればアオリは素晴らしく実用的です

そう、「アオリだけなら今ひとつでも、マーキング機能とセットだったらアオリ表示は有用なはず」ということに遅ればせながら気づいたので、新たに搭載することにしました。

アオリ搭載XOR for Mac

Windows版に続きMac版にもアオリ機能を搭載してリリースしました。既にダウンロード可能になっています。

XORのアオリ表示

使い方はもちろんWindows版と同じ。アプリを起動して比較するPDFのペアを表示させたらスペースキー2回押下です。見つけた際には赤い四角形の囲みをつけられます。

アオリを搭載したきっかけ

XOR for Windows Version 1.2には「アオリ機能」を追加しました。

XORのアオリ表示中のマーキング
アオリ表示の例。差異が瞬くように表示されます。見つけた差異には赤い囲みをつけられます。

実は最近までアオリ機能をXORに搭載する予定はなかったのだけど、とあるきっかけで心変わりしました。

というのも先日、某制作会社の方にXORを紹介した際に私が「比較的小規模なドキュメント向き」と表現するつもりで「想定ターゲットは例えばカードや帳票、ハガキ」と言い間違ってしまって。

それを聞いた先方が「それくらいのもので無用な変更がないかの確認なら、比較するPDFのペアをAcrobatでタブ表示して、タブをポチポチ切り替えればいいのでは?」と。確かにそうですよね。

実際、私も単一ページものは、Macのファインダー上のプレビュー表示で確認していたから。該当PDFのアイコンを左右に並べて片方を選択状態にしたらスペースキーでPDFのプレビューを表示。そこから左右矢印キーで選択のPDFを素早く切り替えればアオリ表示を再現できます。

ただし、Acrobatによる疑似的なアオリは操作が意外と面倒だったりするのですよね。タブ切り替えは素早くやらないとアオリにならないけど、タブ上のクリック箇所を間違うとPDFが閉じられたりして。

ファインダーのアオリにしても、比較できるのは単一ページのみ。2ページ目以降を比べたければ各ページを個別のPDFとして書き出しておく必要があります。

よって、無償もしくは安価な別の代替手段が既にあったとしても、その面倒さを省き、もっと効率的な手段を提供できるなら有償アプリの意義があるだろうと。

よって、この会話をもってアオリの有効性を再認識したのでアオリ機能の搭載を決めました。

なお、アオリ機能を搭載したMac版は近日中にリリース予定です。

アオリの効用

XOR for Windows Version 1.2には「アオリ表示」が追加されました。

アオリ表示の有り難い点の一つは「人間の補正能力を活用できる」です。例えば以下の二つのPDFページがあったとします(画像クリックで拡大表示)。

サンプルページ1

サンプルページ2

これをXORの従来の「透かし表示」で比較するとこの通り。

XORの透かし表示

細字のテキスト全体が青か赤、つまり差分として表示されています。でも、単に前の行との距離が変わっただけかもしれないけど、読み合わせたり別途diffにかけるのは面倒です。

そんな場合にアオリ表示をさせるとこの通り。

XORの「アオリ表示」

人間の視覚処理には手ぶれ補正の機能があるので、少々の移動なら無かったかのように認識できます。よってこの例では細字テキストのほぼ全体は変わっておらず、4行目だけが変更されていると解ります。

透かしとアオリ

XOR for Windows Version 1.2には「アオリ表示」という比較方式が追加されました。

例えば、以下の二つの画像PDFがあり、違いの有無を知りたいとしましよう。

フチ無し

フチあり

この二つを従来のXORで比較するとこうなります。

比較結果

全体がグレー、つまり一見すると同じですね。よく見ると色が変わっている箇所があるものの人の目には判別しづらいかと。

これをアオリ表示させるとこうなります。

XORのアオリ表示

概ね同じだけど、一箇所違うところが見つかるはずです。少なくとも従来の色処理による比較よりは見つけやすくなったかと。

アオリ表示が要るわけ

XORではPDFを画像として比較し、変化がない箇所はグレー、変化した箇所は赤や青で表示されます。この色処理はアルゴリズムによって行われるため微細な違いはデータ上では差異が発生していても、人の目には認識しづらいという難点がありました。

それを補う手段として採用したのがアオリです。これまでの比較よりも微細な違いを探しやすいかと。

XORのアオリ表示

そしてアオリは差異の自動検出アルゴリズムを盛り込むよりもはるかに安価に実現できる方法でもありました。

アオリ表示の操作手順

現在ダウンロード可能なXOR for Windows(Version 1.2)には「アオリ表示」の機能が搭載されています。

アオリ表示のための操作手順は以下の通りです。

手順:

アプリを起動して比較したい二つのPDFを選んでください。両PDFが左右に並んで表示されます。

XORの「並列表示」
初期状態は並列表示。両PDFが左右に並んで表示されます。

スペースキーを押すと両ページが重なって表示されます。

XORの「透かし表示」
「透かし表示」です。色処理され、差異があれば赤または青で表示されます。

更にスペースキーを押すとアオリ表示になります。

XORの「アオリ表示」
アオリ表示。差異があれば瞬くように表示されます。

そこから更にスペースキーを押すと並列表示に戻ります。つまり以下のトグルです。

並列表示 → 透かし表示 → アオリ表示 → 並列表示…

ちなみに並列表示の状態でスペースキーを素早く2回押せば、いきなりアオリ表示に切り替わります。

アオリ上でもマーキングできます

XORではPDFのページを重ねて比較し、見つけた変更箇所には手動で囲みのマーキングを、あるいは変更がない箇所にマスクを付けられます。

そしてこの囲みとマスクはアオリ表示でも使えます。

XORのアオリ表示中のマーキング

もちろんこの囲みはPDFに書き出した際にも反映されます。

アオリ表示を追加!

ついに緊急事態宣言が発令されました。改めて在宅勤務が推奨され外出自粛が強く求められます。ならば印刷業界でもテレワークが普及するのでしょうか。スーパーのチラシの類は自粛が求められているらしいけど。「食品などの買い占めを促さないように」と。

さて、このたびXOR for Windows Version 1.2をリリースしました。新機能は「アオリ表示」です。

使い方は例によってシンプル。アプリを起動して比較したい二つのPDFを指定し、両ページが並んで表示されたらスペースキーを二回押下です。するとこの通り、違いの箇所が瞬くように表示されます。

XORのアオリ表示

まあ、他社製のPDF比較アプリをお使いの方にはお馴染みの機能かもしれません。そう、アオリは特に革新的ではないものの、それはXOR自体がそうだから。XORの基本コンセプトは「最小限の機能だけを少コストで提供する」というもの。今回はその最小限の基準を少しだけ上げた感じですね。

なお、Mac版に関しては近日中に同じ機能を搭載予定です。今しばらくお待ちください。

印刷ジャーナルで紹介していただきました

印刷業界雑誌の印刷ジャーナルのWebサイト(PJ web News)にてXORを紹介していただきました

印刷ジャーナル(PJ web news)のXORの記事

印刷ジャーナル様、ありがとうございました。

この情報によりXORの認知度が高まるとともに、制作における品質管理やコストカットに苦慮されている方々、もっと安価に導入できる校正支援ツールを探しておられる方々などに良きソリューションとして提供できれば幸いです。