XORのメインターゲット

XOR for WindowsをMicrosoft Storeでリリースしました。

XORのメインターゲット、想定するユーザー層は例えば以下の通りです。

  • 取扱説明書の制作会社及び協力会社のスタッフ
  • 制作会社に発注するメーカーの取説担当者

というのも私の前職がその関連だったから。

ドキュメント制作では高い品質が求められます。にも関わらず、制作業務はマンパワーへの依存度が高く、業務の効率化が進んでいませんでした。繁忙期は人員を増やし、閑散期には減らすといった具合です。「正社員は切れない」なんてのは中小企業には当てはまりません。でも、業務をもっと効率的にすれば、そいういう力づくの罪作りな経営状況を幾分改善できるはずです。

よってXORは私が取説製作者だった頃に欲しいと思ったツールを具現化したものです。

とはいえ、もちろん他の現場で使っていただくのも大歓迎。印刷会社でも手頃な新旧PDF比較ツールはきっと有益なはずです。CADの図面を見比べる用途にも使えるかもしれません。

XORが目指すところ

日本では製造物に何かと高い品質が求められます。もちろんドキュメントも例外ではなく、例えば取扱説明書の類ではちょっとした誤字脱字にも神経質な傾向があります。よって制作においてはPDF比較アプリを活用して完成度を高めたいところです。

日本のドキュメント制作業界で最高の信頼を勝ち得ているアプリはおそらくProof Checker Proでしょう。多彩な比較方式を有し、高い比較精度を実現しています。ただし、1ライセンスが100万円を超えるハイエンドアプリなので小規模の制作会社や個人では導入できません。

他の有力手段としてはAdobe Acrobat ProのPDF比較機能があるものの、PDFを解析して付き合わせる方式のため、データの状態によってはどうしても差異の誤検出や検出漏れが起こります。

他にもPDF比較アプリは多数存在しているようですが、これといって定番化したものはなさそうです。少なくとも私がかつて勤めていた横浜と都内の大手制作会社では上記2製品以外を使っているという話は聞かれませんでした。

とはいえPDF比較アプリの需要はあるはずです。日本では製造業が盛んなのだから取説の制作需要一つをとっても今後も脈々と続けられていくのだから。

よってXORの目指すところは「Proof Checker ProやAdobe Acrobat Proに続く第三の定番アプリの座を狙う」または「Proof Checker ProやAdobe Acrobat Proと併用してもらう」です。

PDF比較アプリの必要性

XORのWindows版をリリースしたので改めて書いていきます。

XORはPDF比較アプリです。修正の前と後のPDFの差を100%の精度で見つけます。

今日、商用ドキュメントの多くがPDFとして制作されており、目ぼしい各段階で「正しく修正されたか」や「余計な変更がされていないか」を確認する必要があります。DTPではまったく意図しない変更も稀に起こるので「大した修正ではなかったから大丈夫だろう」とタカをくくっていると痛い目に遭いかねません。

とはいえ目視確認では時間がかかるし、一見同じに見えるPDFの差を探す作業には高い集中力が要求されるので何らかのツールに頼りたいところです。

PDFには四半世紀あまりの歴史があり、新旧のPDFを比較するアプリは多数存在しているので、各々が好きなものを導入すればいいのですが、私見ではXORが最も手頃かつ簡単に使えて比較精度も高いアプリになっていると自負しています。

Windows版のXORにも1ヶ月間の無料使用期間があるので、ぜひお試しください。

需要不足

XORに対する反響は、まだ見込んでいたほど得られていません。最大の理由は「Windows版が未リリースだから」でしょうね。メインターゲット層に訴求できていないと。おそらく大きめの制作会社でWindows版が普及し始めたら、そこと付き合いのある他社や下請け制作者がMac版を求めるようになるという順番、流れができてくるのではないかと。

でも、もう一つ以下の懸念があります。

そもそも需要がない

というのも「PDFの仕上がりを検証するのにアプリなんて不要」「有料アプリの導入コストが惜しい」という制作者も少なくないのかもしれないなと。

確かにPDF比較アプリがなくても校正の作業はできます。基本的には修正指示原稿の通りに修正されているかを確認すればいいのだから。特に熟練の編集者などは自分の校正能力に自信を持っていて、やり方を変えたくないかもしれません。でも、その域に達していない私などは、より良いツールが欲しかったのですよね。

ならば、XORを普及させるためには有用性を説き続ける必要がありましょう。昔からの比喩の通り、裸足の民族を前にした靴屋が「靴を履く習慣が無い」と諦めればチャンスを逃すけど「靴をまだ履いていない人たちがこんなにいる」と捉えれば需要を掘り起こせるかもしれないわけです。

靴のセールスマン

XORの導入によって得られるのは品質確保だけでなく、時短によるコストカットです。ベテラン編集者ともなると、校正において修正指示の箇所以外にも広範囲を確認しているはずです。DTPを経たPDFには時として余計な変更がなされていることがあるので。XORで新旧のPDFを比較すれば、そのような作業を省略できます。入念に見渡してどこかに紛れ込んでいるかもしれない余計な変更を探さずとも簡単に洗い出せるからです。結果、作業時間が短縮できればコストカットに繋がります。