Twitterを買収したイーロン・マスク氏が「日本はいずれ存在しなくなる(Japan will eventually cease to exist)」と発言しました。
At risk of stating the obvious, unless something changes to cause the birth rate to exceed the death rate, Japan will eventually cease to exist. This would be a great loss for the world.
— Elon Musk (@elonmusk) May 7, 2022
もっとも隣国の活動家の妄言のようなものではなく、少子化の行方を言ったもの。「そうなれば世界にとって大きな損失(This would be a great loss for the world)」とも言い添えています。
そう、少子化は日本の最大課題の一つです。このままだと80年後の総人口は本当に 6,000万人規模にまで減ってしまうかもしれません。それに伴い国力は当然落ちていきます。
ならば、これまでの少子化対策は効果がなかったのだから、もっと大胆な対策が必要なのは明らかです。
マスク氏はオプティマスというヒト型ロボットを提唱しているようだけど、それって労働力不足への対策であって少子化対策ではないのですよね。
そこで私の提言は二つ。
1. 東京一極集中の解消
例えば「子供が生まれたら一人につき1,000万円支給しよう」なんて案がありますよね。私もその方向性には賛成だけど、まあ難しいかと。予算面以外にも制度設計では散々揉めそうだから。
それにもしそれが実現しても、東京では出生数が増えた分だけ待機児童も増えかねません。「1,000万円あげるから、両親のどちらかは数年間、仕事につかず子育てに専念してください」ってのはどうなんだか。
そう、東京の問題は土地の制約で保育施設をなかなか建てられないこと。あるいは経営が成り立ちにくいこと。でも、保育施設は街々に点在しないと意味がないわけです。
これは介護にも言えて、東京では団塊の世代全員が後期高齢者となる3年後あたりから大量の介護難民が出ることが予想されています。ならばこの先の東京は後期高齢者支援に予算や人員の多くを取られ、子育て支援にはどれほども取り組めないかもしれません。
そもそも出生率が低く子育てに最も適さない東京に人口を集めれば少子化が進むのは当然の話。少子化を本当に減速させたければ、まずは東京一極集中を緩和しないことには解決につながりません。
2. 派遣労働者向けの賃上げ
もう一つの問題は人々の賃金が上がらず経済的な余裕が失われていること。そのため出産、子育てを諦めざるをえないと。しかも最近では円安と戦争の影響で輸入物価が上がる傾向にあります。
賃金が上がらない理由は「派遣社員の使い勝手が良すぎること」です。なにしろ企業は正社員を派遣社員に置き換えれば簡単に人件費を減らせます。非正規だから単純労働しかさせられないということもなく、今ではマネージャクラスも派遣社員なんて職場もあるくらいだし。
よって正社員が転職したくとも同業他社が中途採用より派遣の活用を望むなら長年培ったスキルや経験値も買い叩かれてしまうので、多くは不満があっても会社にしがみつきます。これでは賃金が上がろうはずがありません。それどころか企業は安値競争を戦うために人件費をさらに切り詰める悪循環です。
解決策は、「派遣社員向けの最低賃金を設けて高めに設定する」です。「派遣は雇用の調整弁にも使われるけど賃金は割高」とすると。そうして人件費の高騰を商品やサービスに転化するのが当然という流れを作ります。
もちろん物価は上がるけど消費が活性化して景気が良くなり、賃金がそれ以上に伸びるからOK。年金生活者に対しては何らかの支援策を打ち出せばいいわけです。