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「どこも余計に変えてない」は
「どこを変えたか」よりも優秀
印刷物制作を発注するクライアントの立場で考えれば、修正を依頼した箇所以外は変えてほしくないものです。さもないと校正の作業量が増えてしまいます。
そこで校正提出の際に「今回の修正で変更した箇所」を示す注釈をつけたPDFを添付している制作者は多いでしょう。
でも、それよりも「修正依頼があった箇所以外、どこも余計に変えてない」の方がもっと有効です。
このページではその理由を解説します。
01. 「どこも余計に変えてない」と「どこを変えたか」の違い
「どこを変えたか」は、それ以外の箇所は変えていないのだから、「修正指示があった箇所以外、どこも余計に変えてない」の役割を果たせそうに思えますが、実はそうではありません。
なぜなら「どこを変えたか」が指し示すのはあくまでも制作者が把握している変更箇所のみだから。無意識に変えてしまってたり、レイアウトの都合上、要素を一時的に移動させて修正した後に戻し忘れた場合などは漏れているかもしれません。ご存知の通り、DTPでは意図せぬ変更が紛れ込んで誰にも気付かれないことが時々起こります。
よって、クライアントにしてみれば「どこを変えたか」には全幅の信用がおけません。
02. 「どこも余計に変えてない」なら見落としても大丈夫
例えばこちらのPDFのペアがあったとします(クリックで拡大表示)。左が修正前、右が修正後のページです。

変更箇所は二つ。
- ページ右上の「エスカ(Esca)」という文字
- ページ下半分のテキストの最後の3行
でも、もし制作者が「エスカ(Esca)」の存在を見落としたら、「どこを変えたか」のPDFはこうなります。

四角形がついてないため、クライアントに提出した際に「エスカ(Esca)」の変更は存在しなかったことになってしまいます。その変更が不適切なものであれば重大な申請漏れです。
対して、XORで修正前と後のPDFを読み込んで「透かし表示の書き出し」で書き出せばこの通り。

赤い囲みは同じでも、ページ右上に「エスカ(Esca)」という青い文字が見て取れます。制作者が気づけば提出前に直せるし、万が一そのまま提出してしまってもクライアント側で気づいてもらえるでしょう。
そう、「透かし表示の書き出し」なら制作者の先入観や見落としに影響されることがなく、「どこも余計に変えてない」という資料になるわけです。
先日リリースしたXOR for Mac Version 1.5は、わずかな操作だけで「どこも余計に変えてない」というPDFを書き出せます。