なぜXORでコストカットできるの?

XORを使うとなぜドキュメント制作のコストカットに繋がるのか疑問に思われている人も少なからずいると思うので、論理的に説明します。

通常、DTPでPDFが出来上がったら指示原稿と照らし合わせて確認することになります。その際、原稿の修正指示の箇所だけを確認すればいいわけではなく、どこかに悪影響が出ていないかも確かめなければなりません。

例えば単純なテキストの置き換えであっても修正前後で文字数が違えば周辺の要素の位置や大きさの調整がなされたかもしれません。Webとは違ってPDF制作ではページのサイズが決まっているためです。

もっと細かいことを言うと、IllustratorやInDesignで作業中に無意識に⌘+V(WindowsならCtrl+V)のキー操作をして、どこかに無用なテキストボックスが配置されるようなケースも考えららます。しかも作業者は意図していないので気づかないという。

よって「修正指示以外の余計な修正を見つけられるか」が品質確保の鍵とも言えます。とはいえ、なんの手がかりもなく漠然と見渡すのは大変です。熟練した編集者や校正者なら勘を働かせてそれらを的確に見つけられるかもしれないけど、経験が浅い人などには難しいかと。

そこでXORが効果を発揮します。指示原稿と照らし合わせる前にXORを使ってすべての変更箇所を特定しておけば、そこを手がかりにして確認するだけで良くなります。逆に、修正されていないページを洗い出してそれ以外を確認するというアプローチもありです。

そうしてドキュメント全体を見渡すのではなく、変更箇所だけを確認対象にすることで所要時間を短縮できるので、コストカットに繋がります。

XOR利用の手順

XORの一般的な利用手順は以下の通りです。第二校、もしくは第二版以降のPDFを作成した時を想定しています。

  1. 修正前後の二つのPDFを選んで並べて表示させる
  2. スペースバーを押して対になるページを重ねて表示させる
  3. 全ページのすべての変更箇所に囲みを付ける
  4. PDFに書き出す
  5. 書き出したPDFをAcrobatやプレビューで表示させ、修正原稿と照らし合わせる

その上で、以下の検証作業を行います。

  • 要修正箇所が赤く囲まれていなければ修正もれ
  • 要修正箇所以外が赤く囲まれていたら要確認(修正ミスまたは担当の裁量で修正ななされた)
  • 要修正箇所が赤く囲まれていれば修正内容が正しいかを検証

この手順を経ることで、例えば経験が浅いスタッフでもPDFの比較作業を短時間かつ高い精度でできるようになります。

マスキング機能の説明

先日リリースしたXOR Version 1.1では「マスク」の機能が追加されました。ページを重ねて表示した状態で差異のない箇所目隠しできます。

操作方法は以下の通り。

  1. 両ページを重ねた状態にする
  2. 覆い隠したい箇所の左上から右下までドラッグして範囲を選択
  3. 選択範囲内を右クリックしてメニューから「マスクを作成」を選ぶ

マスクは囲みと同様、並べて表示に戻しても引き継がれるし、プリントアウトやPDFに書き出した時にも反映されます。

マスク機能はこちらの動画の2:06あたりで紹介しているので、よかったらご覧ください。

囲み機能の説明

先日リリースしたXOR Version 1.1では「囲み」の機能が追加されました。ページを重ねて表示した状態で差異のある箇所に長方形の囲みをつけられます。

そう、XORでは二つのPDFの違いを100%検出するものの、変更箇所が多ければいちいち覚えておくのは大変なので、印をつけられるようにしたわけです。

操作方法は以下の通り。

  1. 両ページを重ねた状態にする
  2. 見つけた変更箇所の左上から右下までドラッグして範囲を選択
  3. 選択範囲内を右クリックしてメニューから「囲みを作成」を選ぶ

ちなみにこの囲みは並べて表示に戻しても引き継がれるし、プリントアウトやPDFに書き出した時にも反映されます。

囲み機能はこちらの動画の1:36あたりで紹介しているので、よかったらご覧ください。

DiffPDFを試してみました(4)

DiffPDFにはMac版もあるので使ってみました。$160のWindows版と違って無償で公開されていますね。古いアルゴリズのものなのかな。

で、例のテストデータをAppearanceモードで比較したらこの通り。

DiffPDF for Mac result : Appearance

ほとんどのテキストが消えてしまっています。日本語がダメなのかとも思ったけど、写真下の撮影情報は「Nikon D7000」「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」「ISO100 f11 1/125」といった英数字のみです。それでいて「Mandarin fish」は表示されているのだからよく解りません

CharactersモードやWordsモードも同様でした。

まあ、データとの相性なのだろうけど、私としてはちょっと安心しました。有償ではあるけどMacユーザにとってXORの方が有望といえるだろうから。