テレワーク制作における品質確保

新型コロナウイルス拡大を受けた緊急事態宣言が1ヶ月程度延長されるとのこと。しかも再延長される可能性も捨てきれません。

よって連休明けにはいよいよ重い腰を上げてテレワークに臨まざるを得ない印刷会社、制作会社も多いかと。

もちろん課題はたくさんあります。機密情報の扱いを始め、PCやインターネット回線の整備、勤怠管理など。校正紙の扱い(印刷、受け渡し、保管、廃棄)も悩ましいところです。

そして大きな懸念の一つが品質面。会社にいるときのように、自身が手掛けた制作物の校正を手が空いた同僚に頼むことが難しいので。

そこで有効な対策はXOR(Mac版・Windows版)のようなPDF比較アプリの活用です。

XORのアオリ表示
XORのアオリ表示を使えば新旧PDFの差分箇所を簡単に洗い出せます。

例えばDTPオペレータは自身の制作結果に対するチェックが甘くなりがちですが、XORを使って新旧PDFの差分を洗い出せば客観的な視点が得られ、無用な変更の類があっても気付きやすくなります。

その結果、校正用PDFを編集者に提出した後、赤入れされた再修正原稿が戻され、再度作業するような出戻りを減らせます。

もちろん編集者側もXORを使えば校正作業が捗り、品質確保に有効です。

XORはサブスクリプション提供なので、とりあえずテレワークの期間だけでも、制作者全員が個別に導入することをお勧めします。

アオリねぇ

正直なところ私は最近までアオリの実用性をあまり信じていませんでした。

例えば物理的なアオリ、つまり比較したい二枚の校正紙をぴったり重ね、上の一枚だけを素早くめくったり戻したりして残像で差異を見つける手法は昔から行われてきたけど、あれは面倒かつ不効率です。ページが多ければ作業の手間隙が多くなるのはもちろん、A4サイズでもページ全体を見比べるのは難しいので、差がありそうな箇所を予測しながらでないと肝心なところを見落としがちになります。

それに、PCの画面上でそれを再現した場合、「変わっていない」という確認には有効でも、変わった箇所がたくさん見つかろうものなら対処に困ります。画面で確認しているのにプリントアウトした校正紙に逐一赤入れしたくはないですよね。

そういった理由からXORにアオリ機能を搭載するつもりはありませんでした。

でも、よくよく考えてみたらXORにはマーキングの機能が備わっているので、アオリで見つけた差異に囲みを付けたり、差がなかった箇所をマスクできます。

XORのアオリ表示中のマーキング
見つけた差異にマーキングできればアオリは素晴らしく実用的です

そう、「アオリだけなら今ひとつでも、マーキング機能とセットだったらアオリ表示は有用なはず」ということに遅ればせながら気づいたので、新たに搭載することにしました。

アオリ上でもマーキングできます

XORではPDFのページを重ねて比較し、見つけた変更箇所には手動で囲みのマーキングを、あるいは変更がない箇所にマスクを付けられます。

そしてこの囲みとマスクはアオリ表示でも使えます。

XORのアオリ表示中のマーキング

もちろんこの囲みはPDFに書き出した際にも反映されます。

アオリ表示を追加!

ついに緊急事態宣言が発令されました。改めて在宅勤務が推奨され外出自粛が強く求められます。ならば印刷業界でもテレワークが普及するのでしょうか。スーパーのチラシの類は自粛が求められているらしいけど。「食品などの買い占めを促さないように」と。

さて、このたびXOR for Windows Version 1.2をリリースしました。新機能は「アオリ表示」です。

使い方は例によってシンプル。アプリを起動して比較したい二つのPDFを指定し、両ページが並んで表示されたらスペースキーを二回押下です。するとこの通り、違いの箇所が瞬くように表示されます。

XORのアオリ表示

まあ、他社製のPDF比較アプリをお使いの方にはお馴染みの機能かもしれません。そう、アオリは特に革新的ではないものの、それはXOR自体がそうだから。XORの基本コンセプトは「最小限の機能だけを少コストで提供する」というもの。今回はその最小限の基準を少しだけ上げた感じですね。

なお、Mac版に関しては近日中に同じ機能を搭載予定です。今しばらくお待ちください。

重ねた状態で書き出せる?

先日、XORに対して「両PDFのページを重ねた状態でプリントアウトやPDF書き出しできるか?」というお問い合わせをいただきました。ありがとうございます。

でも、答えは残念ながら「No」。プリントアウト/PDF書き出しでは両ページが並んだ状態になります。

ただし、マーキングの機能があり、両ページを重ねて表示させた際に見つかった差分(色付き箇所)に赤い囲み線をつけたり、差異が見つからなかった箇所を白い四角形でマスクできます。

Result of comparison by xor
囲みを付けてPDFに書き出した例(クリックで拡大)

実はページを重ねた状態のプリントアウト/PDF書き出しも設計段階では検討したのですが、最終的に現在の仕様に落ち着きました。というのも、重ねた状態のページをプリントアウト/PDF化してから差異を探すより、重ねて表示した状態で差異にマーキングする方が多少効率的に思えたからです。

いや、でもプリントアウトしてのペン入れはともかく、PDFに書き出せばAcrobat Readerのアノテーション機能を使ってコメントを付与できるか。そうすれば、そのまま再修正用のDTP原稿として使えますね。だったら重ねた状態のPDF書き出し機能は有意義かも。

とはいえXORのコンセプトは「最小限の機能を少ないコストで提供」であり、開発の予算も限られていました。

でも、XORの契約数が増えればもちろん追加開発できるし、欲しい機能のアイディアもたくさんあるので、どうかご協力をよろしくお願いします。