進歩的な保守政党が必要

東京都における新型コロナウイルスの新規感染者数が2ヶ月ぶりに4桁に乗りました。感染者の数はともかく重症患者向け病床の使用率が一定以上になれば五輪も危うくなりかねません。「医療リソースを五輪に割いている場合ではない」と。そして菅政権は吹っ飛ぶでしょうね。

とは言え総選挙の顔をすげ替えようにもポスト菅の有力候補が見当たらず、自民党に替われそうな野党もありません。立憲民主党なんてかつての社会党路線を目指しているように見えるし。

というわけで今必要なのは「進歩的な保守政党」だと思います。進歩的(Progressive)と保守的(Conservative)は反対語で矛盾してるけど、言わんとするところは「これまでの国家観は引き継ぐものの、時代にそぐわない部分は未来志向でどんどん変えていく」という感じです。何なら進歩的を「未来志向(Future Reflections)」と置き換えてもいいでしょう。

国会議事堂

ならば自民党が割れて「ガチの保守派」とは袂を分けた勢力に野党から思想の近い人物が合流して新党を成すのがいいのだけど、どうでしょう。あるいは小池都知事の出番かな。

そこで私が考える進歩的な保守政党のマニュフェストを挙げてみます。

憲法:

改正を目指す。

政治:

世襲を容認しない。任期定年制で党内の新陳代謝を促す。

具体的には以下。

  • 国会議員経験のある近親者と同じ選挙区での立候補は禁止
  • 衆議院・参議委員の任期通算が30年を超えたら立候補禁止

経済政策および労働法:

コストカット指向からの脱却を目指す。

具体的には最低賃金制度をフルタイムワーカーとパートタイムワーカーの二階建てとし、先ずはフルタイムワーカーの最賃を大きく引き上げる。デフレスパイラルの原因の一つは、派遣社員の使い勝手が良すぎる(低賃金で使い捨てできる)ためなので、派遣社員・契約社員の見込み年収が上がれば、働き方の選択肢が増えて雇用の流動生が高まり、労働市場での好循環が見込める。

なお、交通費込み時給表記による求人は禁止する。

感染症対策:

科学的エビデンス重視。根拠が弱い緊急事態宣言、一律の営業規制は行わない。

例えば、感染対策が十分なら飲食店にも営業を認める。

東京一極集中是正:

推進。ただし目的は地方創生ではなく以下。

  • 東京の延命。東京は、長年の一極集中によってまもなく地方以上に深刻な超高齢化社会となるため人口の分散が必要
  • 少子化対策。子育てに向かず出生率が最も低い東京への人口集中は是正しなければならない

皇位継承:

女系天皇も含めて議論を深める。ただし、制度を変える場合は悠仁様の次の代からとする。

愛子さまに「先々、天皇になっていただくかもしれないので…」という微妙なお立場を無期限に強いるのは酷な話なので。

選択的夫婦別姓:

肯定。実現を目指す。

同性婚:

肯定。実現を目指す。

外交:

人権侵害避難決議に積極的に賛成する。

外国人労働者&移民の受け入れと教育:

特定の職種に従事できる人材を積極的に受け入れる。

手始めはESL教師。ほぼすべての小中高等学校に日本語を母国語としない人材を赴任させる。それを踏まえて、更なる外国人労働者や移民の受け入れの可否を検討し、受け入れを拡大するなら体制を整える。

普天間返還・辺野古基地建設:

辺野古の新基地建設は中止。普天間の基地機能は他の在沖米軍基地内に並存してもらう方向で折衝する。

たばこ税:

一箱1,000円程度まで段階的に上げる。

大麻:

引き続き解禁しない。

選択制夫婦別性について

先日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断しました。

でも、私は選択制夫婦別性に賛成です。そうしても何ら問題はなかろうと。

夫婦別姓

中には「別姓だと家族の一体感が失われる」なんてアホなことを言う人もいるけど、そんなもの妄想です。苗字が同じでも関係が崩壊した家族は多いし、国際結婚の場合をはじめ苗字が違っていても円満な家族も大勢います。

そして、むしろ夫婦同姓のためにレア苗字まで無くなりかねないのは文化的な損失です。

ちなみにフィクションの世界だと、名探偵コナンに登場する赤井秀一、羽田秀吉、世良真純の三兄弟が別姓ですね。かなり特殊な家族だけど。

差し当たり「妻の苗字を選ぶ自由もあるのだから男女差別ではない」という意見に対しては、良いアイディアがあります。だったら婚姻届を出す際に、どちらの姓を名乗るべきかをくじ引きで決めることにしようじゃないかと。

いや、チンチロの方がいいかな。二人で分担できるから。そして二つのサイコロを振って出た目が丁(偶数)なら夫の、半(奇数)なら妻の苗字を名乗らなければならいと。

サイコロ
出目が丁なら夫の姓に決定

結果、どっちを名乗ることになっても恨みっこなしの一発勝負。これなら姓を選択できなくてもフェアです。

基山町のワクチン接種予約は順調

新型コロナウイルスに対するワクチン接種の予約に関して各地でトラブルが発生している中、昨日「佐賀県の基山町ではLINEによる予約受付がとても順調」とテレビの番組で伝えられていました。

それを見て「ああ、頑張っている自治体もあるんだな」と思う人も多そうだけど、実はそんなにたいそうな話でもありません。何しろ基山町の人口は17,500人くらい。そもそも母数が小さいのでパンクすることもないと。人口58万人規模の八王子市などとは比べものになりません。

基山町のLINEアカウント

いやまあ基山町は佐賀県でも最東端、博多から電車で25分の場所。久留米からも10分ちょっとなので、完全に福岡のベッドタウン。しかも企業の本社(例えばサンポー)や工場もいくつかあって(コカコーラ、伊藤ハムウエスト、東洋水産など)、地方の一つの町としては幾らか余裕がある方かも。

有名人もそこそこ輩出しています。漫画『キングダム』の作者である原泰久氏、どぶろっくのお二人、広島カープの長野久義選手など。

とはいえそんな基山町とて未だ駅前にコンビニもなく(基幹道路沿いにはある)、人口も微妙に減り続けているようなのだけど。

まあ、この先、東京が超高齢化に見舞われて(※)閉塞感が漂い始め、相対的に福岡が人を集めるようになれば、基山町も人口面で盛り返すかもしれません。

※ 団塊の世代の1/4が東京県在住なので、今後は後期高齢者の急増が確実。当然、行政は高齢化シフトで財政も厳しくなり、都市の活気は次第に薄れていく。医療や保育の機会は行き渡らず、介護は絶望的ともなれば、地方の都市に目を向ける企業や個人は増えるはず。

ちなみに私も基山町には馴染みがあって、花粉症の季節には佐賀製薬(やはり基山町にある)の目薬を愛用しています。

竹中平蔵氏が行った労働規制緩和は正しかった?

2021年3月21日(日)放送の『そこまで言って委員会NP』は竹中平蔵氏の特集。最初のコーナーのテーマは「竹中平蔵氏が行った労働規制緩和は正しかった?」でした。

竹中平蔵氏が行った労働規制緩和は正しかった?

2004年から製造業への派遣労働が解禁され、非正規雇用が増加し、時には派遣切りがなされ、法人・富裕層への減税により貧富の格差が拡大したという前提です。

これらに対するパネリストの意見は賛成反対両方に割れていたけど、まあどちらの言い分にも理があります。でも、一つ絶対的に正しいと思ったのが八代弁護士のこちらの見解。

「非正規」とは、まるで正しいものに辿り着けなかった人の呼称。そして、正規社員の存在が労働市場の流動化を妨げ、国際市場での競争力の低下を招いた

まったくもってその通り。こんなことを続けていたら日本はひたすら没落していくばかりです。何しろ非正規労働者がワーキングプアになりがちなだけでなく、正規社員も賃金が上がらないので、デフレはエンドレス化し、少子化もいっそう進んでしまいます。

ならばどうあるべきかまでは番組では語られていなかったけど、私は単順に非正規の待遇を上げる法改正をするべきだと思います。

具体的な案は以下。

  • 派遣・契約社員の最低賃金はパート・アルバイトの2倍以上
  • 賃金に交通費を含んではならない

まず、フルタイムで働く派遣・契約社員の処遇は時間限定労働のパート・アルバイトとは位置付けを変えます。そしてパート・アルバイトの最賃が1,000円の都市だと派遣・契約の時給は2,000円以上。年収384万円(8時間x20日x12ヶ月x2,000円)ならまあまあの水準だと思います。派遣の立場になってもその額が得られるなら、嫌な会社にしがみつく必要もなくなり、労働市場の流動化も生まれます。

竹中氏はかつて「もはや首を切れない人は雇えない」と言って炎上したけど、「首を切れる代わりに労働対価は相応に高額」であれば妥当です。

派遣社員に依存した企業は大変かもしれないけど、コスト増は商品やサービスに正しく転嫁するのが当然だし、派遣、契約、そして正規社員の所得や消費余力が上がってデフレの巻き戻しが始まるのだから、それで淘汰されるなら仕方ありません。

TRUMP NEVER MAKE AMERICA GREAT AGAIN

アメリカ大統領選挙の開票が大詰め。現時点で伝えられるところでは選挙人の獲得数がバイデン264対トランプ214。あと6人でバイデン勝利です。

アメリカ大統領選挙2020

でも、このまますんなりと決着がつくかは怪しいところ。やはり法廷闘争という第二ステージに突入するのかもしれません。

それだけでなく選挙結果に納得しない武装勢力同士の衝突すら危惧されています。4年前、総得票数では優っていたヒラリー・クリントン氏が敗退した際にもなかったことです。そう、その点からも私はトランプ大統領が再選されない方が望ましいと思います。米国にとっても世界にとっても。

トランプ大統領を「他国と戦争をしなかった」と評価する人もいるけど、代わり(?)に国内で分断と対立を煽ってきました。その手法は禁じ手そのもので、多大な副作用を伴います。トランプ大統領のスローガンは「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」だけど、実際にはGREATどころかWORSEN(悪化)、UNSTABLE(不安定)、CHAOTIC(混沌、無秩序)に。もちろん対立の根っこは昔からあったのだけど、オバマ政権の頃はポリティカル・コレクトネスという知恵であまり表面化させずに折り合ってきたわけです。

ポリコレとは、言うなれば「マスク着用義務化」のようなもの。そりゃ窮屈だし息苦しいけど(マスクだけに)、「他者への気遣いの証」という意味合いから、コロナ禍が収束するまでは皆が甘受した方が社会がうまく機能するわけです。

米国のコロナ関連死者数は22万人超。トランプの言動が数を増やしてしまった点は否定できないでしょう。しかも米国のコロナ感染拡大は今またピークを迎えていて、一般国民は当然ながら大統領のようにスペシャルな治療は受けられません。

今回、移民が多いフロリダでもトランプが勝ったということは、トランプ政権下では肩身が狭い移民も経済優先を望んだのだろうけど、それでコロナが再拡大すれば、また経済活動どころではなくなるわけです。フロリダには高齢者も多いのだし。他の州でもそうですよね。

もちろんバイデンの大統領としての手腕や一期4年間をまっとうできるかは解らないし、ましてや米国民再統合のシンボルになんてなれっこないけど、少なくとも分断をエスカレートさせることはないはずです。ここはトランプではない彼が勝たないと、アメリカという国はもっとおかしくなっていくでしょう。

とはいえ米国の大統領選挙制度には不確定要素も多く、誰にも先が読めません。もし1月までもつれようものなら、まさかまさかでナンシー・ペロシ下院議長が大統領代理に就任する可能性もあるらしいし。

さて、どうなることか…。