日本は消滅する

Twitterを買収したイーロン・マスク氏が「日本はいずれ存在しなくなる(Japan will eventually cease to exist)」と発言しました。

もっとも隣国の活動家の妄言のようなものではなく、少子化の行方を言ったもの。「そうなれば世界にとって大きな損失(This would be a great loss for the world)」とも言い添えています。

日本地図

そう、少子化は日本の最大課題の一つです。このままだと80年後の総人口は本当に 6,000万人規模にまで減ってしまうかもしれません。それに伴い国力は当然落ちていきます。

ならば、これまでの少子化対策は効果がなかったのだから、もっと大胆な対策が必要なのは明らかです。

マスク氏はオプティマスというヒト型ロボットを提唱しているようだけど、それって労働力不足への対策であって少子化対策ではないのですよね。

そこで私の提言は二つ。

1. 東京一極集中の解消

例えば「子供が生まれたら一人につき1,000万円支給しよう」なんて案がありますよね。私もその方向性には賛成だけど、まあ難しいかと。予算面以外にも制度設計では散々揉めそうだから。

それにもしそれが実現しても、東京では出生数が増えた分だけ待機児童も増えかねません。「1,000万円あげるから、両親のどちらかは数年間、仕事につかず子育てに専念してください」ってのはどうなんだか。

そう、東京の問題は土地の制約で保育施設をなかなか建てられないこと。あるいは経営が成り立ちにくいこと。でも、保育施設は街々に点在しないと意味がないわけです。

これは介護にも言えて、東京では団塊の世代全員が後期高齢者となる3年後あたりから大量の介護難民が出ることが予想されています。ならばこの先の東京は後期高齢者支援に予算や人員の多くを取られ、子育て支援にはどれほども取り組めないかもしれません。

そもそも出生率が低く子育てに最も適さない東京に人口を集めれば少子化が進むのは当然の話。少子化を本当に減速させたければ、まずは東京一極集中を緩和しないことには解決につながりません。

2. 派遣労働者向けの賃上げ

もう一つの問題は人々の賃金が上がらず経済的な余裕が失われていること。そのため出産、子育てを諦めざるをえないと。しかも最近では円安と戦争の影響で輸入物価が上がる傾向にあります。

賃金が上がらない理由は「派遣社員の使い勝手が良すぎること」です。なにしろ企業は正社員を派遣社員に置き換えれば簡単に人件費を減らせます。非正規だから単純労働しかさせられないということもなく、今ではマネージャクラスも派遣社員なんて職場もあるくらいだし。

よって正社員が転職したくとも同業他社が中途採用より派遣の活用を望むなら長年培ったスキルや経験値も買い叩かれてしまうので、多くは不満があっても会社にしがみつきます。これでは賃金が上がろうはずがありません。それどころか企業は安値競争を戦うために人件費をさらに切り詰める悪循環です。

解決策は、「派遣社員向けの最低賃金を設けて高めに設定する」です。「派遣は雇用の調整弁にも使われるけど賃金は割高」とすると。そうして人件費の高騰を商品やサービスに転化するのが当然という流れを作ります。

もちろん物価は上がるけど消費が活性化して景気が良くなり、賃金がそれ以上に伸びるからOK。年金生活者に対しては何らかの支援策を打ち出せばいいわけです。

円安を止めろと言われても

円安が進んでいます。今週は対米ドルで126円をつけたし、日米の金利差が開くことを考えれば、もっと進みそうな気もします。

円安傾向も以前なら輸出に有利と歓迎されたけど、もはや株式市場も好意的には反応しません。エネルギーやら輸入物価が上がれば我々の懐は苦しくなるばかりです。

そこで、「金融緩和をやめて円安政策を破棄しろ」なんて言う人もいるけど、それができれば苦労しません。現状でテーパリングなんて匂わせようものならパニックを引き起こしかねません。

結局のところ日本経済の弱さを克服してデフレに終止符を打たない限り、どうにもならないわけです。その鍵は「派遣労働者向けの最低賃金を設けて高めに設定する」だと思います。

「派遣社員なんて全労働者の2.5%しかいないから、その所得を増やしても全体経済には大して影響ない」と言う人がいるけど、それは木を見て森を見ない短絡的な判断。その2.5%が低賃金であるがために60%に及ぶ正社員の賃金まで抑制されているのだから。

そのメカニズムについて詳しくはこちらの動画でご確認ください。

トータル17分40秒間、1.5倍速で再生すれば12分弱です。

マイナンバーカードの受け取りを却下された話

マイナンバーカードを作ることにしました。あると確定申告やパスポートの更新時に便利なので。

そこで1月に申請し、3週間ぐらいして封筒に入ったマイナンバーカード交付通知書が届いたので区役所に持って行っってカードを受け取ろうとしたら拒否されました。「まずは受け取りの予約をしてくれ」だと。

マイナンバーカード交付通知書
マイナンバーカード交付通知書。どこにも受け取りを予約しろと書かれていないかと…

葉書サイズのマイナンバーカード交付通知書にはそんなことは書いてないのだけど、同封のチラシに案内があるとのこと。そんな大事なことは別紙にするなよな。まったくもう、お役所仕事なんだから。

まあ、受け取り場所には「川崎市マイナンバーカードセンター」と「麻生区役所区民課」の二カ所が書かれていたので、事前に不思議に思ったのは確かです。でも、巨大人口を抱える川崎市ともなるとICカードの発行機器が区役所にも設置されていて、その場でブランクのカードに顔写真などを印刷し、ICチップに情報を書き込んでくれるのかと。でも、何のことはない、あらかじめどちらかに転送してもらって、それを受け取るって寸法か。何だか残念です。

日本経済大反攻作戦

動画『日経済大反攻作戦』を公開しました。

内容は、日本では30年間も所得が上がらなかってことへの打開策の提案。今の経済状況と、個人事業主の立場から雇う側と雇われる側の双方を俯瞰して見て導き出した結論です。

しかも消費減税や財政出動といった政治的にハードルが高い手段ではありません。

トータル17分40秒間、1.5倍速で再生すれば12分弱です。ぜひ一度ご視聴下さい。

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成長が先か分配が先か

日本の給料水準が安すぎることはもはや共通認識になりました。そのため総選挙を前にして「成長が先だ」「分配が先だ」と与野党で言い合っています。

ちなみに成長と分配なら断然分配が先です。いや、もちろん成長が先に来るのが理想だけど、政策主導で実現できるならとっくにやっているわけです。今から何かに取り掛かっても結果が見えるまで何年もかかるし、上手くいくかも分かりません。その点、分配なら国会で決めればすぐに実行できます。ただし、一律10万円とかの分配が経済成長の呼び水になり得るかというとそれもまた疑問だけど

よって、今必要なのは成長でも分配でもなく、経済成長の阻害要因の除去、平たく言うなら改革でしょう。

渋沢栄一肖像の一万円札

日本人の給料がなぜ上がらないかというと、その理由の一つは「社員がなかなか辞めないから」です。そのため会社は賃上げする必要がありません。実際、離職率の高い国ほど賃金が上がりやすいと聞きます。

そして、辞めない、辞められない理由の一つは非正規労働者の賃金が安いからです。「再就職が難航して派遣で働けば年収が大幅に下がりかねない」と思えば待遇が悪かろうとも正社員が会社にしがみつくのは当然です。住宅ローンがあったり子育て中なら言わずもがな。

よって政治的に解決を目指すなら、派遣労働者向けの最低賃金制度を作って高めに設定するのが早道でしょう。具体的には東京・神奈川あたりの最低時給を2,000円ぐらいにします。もちろん交通費抜きで。年収だと380万円ぐらいだからワーキングプアとは言えない水準になります。派遣会社やそのクライアントは人件費が上がる分をサービスや商品に転嫁すればいいし、それが本来のあるべき姿です。

そうして不遇の正社員が辞めやすくなれば、企業は人材確保のために賃上げせざるを得なくります。

なお、安倍元総理がやったような経済界への賃上げ要請なんかは無意味です。同じく「非正規から正規雇用に」なんて目標設定も機能しないでしょう。どちらも率先して取り組んだ企業ほど人件費が増えて競争で不利になるのだから。

賃上げ企業に税制優遇をという案もダメ。納税していない企業には恩恵がないから。

また、いくつかの野党が「最低賃金を1,500円に」と訴えているものの、これもまたうまくいかないかと。派遣とは違ってパート・アルバイトの活用で成り立っている業種、業態は、最賃が一律で上がってしまうと立ち行かなくなりそうだから。