Macの方がいいところ

DTPがMacの独壇場だったのはひと昔以上前のこと。今日ではWindows制作もかなり増えたのではないかと。

でも、いくつかの点から私はまだドキュメントの類はMacで制作する方が有利だと思っています。その一つがmacOS標準のプレビュー機能の存在です。

DTPやWebサイトの制作では大量の画像類を配置しますよね。どのファイルがどんな画像かを素早く把握できるかで制作効率が大きく変わってきます。でも、いちいち中身がわかるファイル名をつけていくわけにもいかないし、表現力に限界もあります。

Macの場合、デスクトップやフォルダ内で画像ファイルのアイコンを選んでキーボードのスペースバーを押すと内容が拡大表示されます。.jpeg、.png、.gifはもちろん .ai(Illustrator)や.psd(Photoshop)のネイティブファイルであっても即座に確認できます。

Finderの画像ファイルのプレビュー表示
リストのファイルを選んでスペースバーを押した状態

あるいは、フォルダ内でプレビューを表示させることもできます。

フォルダ内の画像ファイルのプレビュー表示
フォルダ内で選択ファイルのプレビューを表示させることも可

Windowsでもサードパーティ制の機能拡張類をインストールすれば似た環境を作れるかもしれないけど、おそらくMacほどエレガントには機能しないのではないかと。

それにIT企業ならともかく、ドキュメント制作企業ではIT技術に詳しくない人が多く、OSを拡張して使おうという発想すら浮かばずに不効率な制作が続けられているケースもあるはずです。

よって選択の余地があるならば、ドキュメント制作にはMacをお勧めします。

Mac制作が絶対的に優位な点

かつてDTPといえばMacの独壇場だったけど、15年くらい前にWindows版のAdobe Creative Suiteが登場したことでWindows制作派も増えたかと。

でもドキュメント制作にはいまだにMacの方が断然適していると思います。その理由の一つが「スピーチ」の存在です。テキストを選択してマウスの右クリックで表示されるメニューから呼び出すと、選択中のテキストを読み上げてくれるOSの標準機能です。iOSにも搭載されているのでiPhoneやiPadでも利用できます。

macOSのスピーチ機能

もちろん固有名詞を始め、読み間違いは多いのだけど、それでも「てにをは」や、誤字脱字のチェックには多大な効果を発揮します。

例えば文中に「たけのこご飯」が「たけこのご飯」と書かれていても目視だとスルーしがちだけど、読み上げさせて耳で聞けば簡単に間違いを発見できます。

他にも、コピペでテキストを編集すると「をを、」や「はは、」が紛れ込んだりしがちですよね。これも読み上げさせればあっさり発見できます。ひょっとしてWindowsでもサードパーティ製の何かをインストールすれば同様のことができるようになるかもしれないけど、Windowsは万事がそんな感じ。ちょっと気の利いたことをやるにはカスタマイズが必要なのですよね。ITに疎い人には難しいかもしれません。

ちなみに「スピーチ」は何もしなくても最初から使えるようになっています。読み上げ速度は設定で変更できるけど。

よって、文章を書く機会が多い人なら、この「スピーチ」機能のためだけだとしてもMacを選ぶべきでしょう。

テクニカルコミュニケーションシンポジウム2019

正直なところXORの販促活動には苦労しています。何しろ私の得意分野ではないので。よくある話ですよね。職人タイプの人は営業が苦手という。でも、私が制作者だったからこそ、XORのアイディアを思いついたのだけど。

で、一応、関連がありそうなWebサイトに手当たり次第にコンタクトを取って試用をお願いしているものの、反応は

よって一発でニュースリリースできるドキュメンテーションの業界団体みたいなものがあればいいのだけど、毎年2月にPAGE展を開催しているJAGAT(公益社団法人日本印刷技術協会)は、私のような個人は相手にしてくれないようで。

もう一つ、取扱説明書などの分野でお馴染みのTC協会(一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会)は個別の製品の宣伝活動には与しない方針とのこと。

JAGAT(一般財団法人テクニカルコミュニケータ協会)のロゴ

それでも8月27日(火)と28日(水)にはテクニカルコミュニケーションシンポジウム2019というイベントがあるので、そこでは何らかの活動ができるかな。8月末ならWindows版もリリース済みなはず。これ、申し込んでみようかと思います。受け付けてもらえるかは解らないけど。

でも、4ヶ月も先だし、もう少し早く満足に売り上がる体制を作りたいところです。

Windows版を待てないなら

近年、商用ドキュメンテーション業界で使われているMacとWindowsのどちらが多いかはわかりません。なんとなく小さい制作会社や個人ではMacが多く、中規模以上の企業はWindowsといった感じではないかと思うけど、どうでしょうか。

さて、Windows版のXORのリリースにはまだしばらく時間がかかります。Macの場合とは違ってMicrosoftが提供する開発環境にはPDFハンドリング用APIが揃っていないのでMac版よりも開発が難航するかもしれません。

よって、XORの価値を認めていただけるならWindows版のリリースを待たず、中古か整備済み製品のMac miniあたりを導入することをお勧めします。

Mac mini 2018
キーボードは付属しないのでMac用を調達した方がいいでしょう

XORはサブスクリプションで提供されるのでひとまずMac版を導入し、Windows版がリリースされたらMac版を解約してWindows版に乗り換えるのがいいかと。

しかもMacにWindowsをインストールすればWindows機として使うこともできます。これほどスタイリッシュでコンパクトなWindows PCなんて他にありませんよね?

なぜMac版のみ?

XORは現状Mac版のみです。Windows版は後日のリリースとなります。

macOS Mojave
macOS Mojave

前世紀、DTPといえばMacの独壇場だったけど、2000年前後のAppleの破綻危機や2003年にAdoboe Creative Suite(Windows版あり)の発売を受けて、Windows派の制作者が増ええました。Macとは違い国産メーカーのPCも選べたし(お得意様の系列会社から仕入れたりもできた)、本体だけなら割安なWindowsの方が日本企業には導入しやすかったのでしょう。

私に言わせれば商用ドキュメントのWindows制作なんてクレイジーな選択で、Macの方が生産性がはるかに高いと思うのだけど、その話はまた別の機会に。

実際、私が昨年まで勤めていた都内の大手制作会社や、その前にいた横浜の大手にしてもスタッフ全員への割り当てはWindows PCで、別途共有のMacが数台あるだけといった感じでした。

よって、XORの開発者を探している段階ではWindows版→Mac版という順番でリリースするつもりだったものの、委託の合意に至った開発者がWindowsよりもMac & iOS向けの開発に慣れていたので考え直しました。新たなアプリの開発では途中で予定外の仕様変更が発生しがちなことを踏まえると、慣れたMac開発で仕様を固めてからWindowsに移植するのが賢明だろうと。

加えて、Macの開発環境にはPDFを扱うためのAPI群が揃っているけどWindowsにはそれがないのでサードパーティ製の有償PDFライブラリを導入する必要が出てきます。もし何らかの理由でXORのリリースが叶わなかった場合、ライブラリの導入費用は無駄になってしまいます。

そのような背景から、Mac版→Windows版でリリースすることになりました。Windows版をお望みの方々、もうしばらくお待ちください。