テレワーク制作の鍵はモニタのサイズ

今は印刷物の制作者(主に編集者やDTPオペレータ)もテレワークに臨まざるをえない状況だと思います。日本では強制的なロックダウンや個人の行動監視ができないためなかなか感染拡大を防ぎきれず、外出自粛・通勤回避の要請期間は長引くかもしれません。

テレワーク制作の場合、校正紙をなかなかプリントアウトできなのが辛いけど、そこはPDF比較アプリを使うなどして校正作業を画面上で完結させるのがいいでしょう。XOR(Mac版Windows版)はその用途に最適なアプリです。サブスクリプション提供(月額2,000円。初月無料)なので期間限定で導入できます。

XORのアオリ表示中のマーキングアオリ比較が追加され、2つのPDF間の差異を探しやすくなりました。見つかった箇所には赤線の囲みでマーキングできます

App icon of the XOR

XOR

リアルタイムPDF比較ビューワ

2,000円(税込)/月
(サブスクリプション)

  • Download_on_the_Mac_App_Store_Badge_ja
  • Microsoft Store Badge

なお、テレワーク制作のもう一つの鍵はモニタのサイズで、なるべく広い方が有利。最小でも24インチ以上、できれば32インチぐらいの外付けモニタを使いたいものです。A4を見開きで表示しても余裕なぐらいだと校正は捗ります。解像度は32インチまでならWQHD(2,560×1,440)かフルHD(1920×1080)がいいかと。4K解像度だと文字が小さすぎて実用的ではないと思うので。何ならテレビでもOKです。

変わってないところを探すべし

おかげさまでXORに対する引き合い、お問い合わせが少しずつですが増えてきています。ありがとうございます。このまま勢いに乗れれば新機能の搭載時期も近づきます。

さて、PDF比較(検版)アプリは「変わった箇所を探すために使うもの」と思われがちですが、XORの最も効果的な使い方は「無用な変更が生じていないかの確認」です。

もちろん「変わったところを探す」と「変わっていないところを探す」は同じ作業の裏表なのだけど、どちらに主眼を置くかによって得られる成果、そして最適なアプリは違ってきます。

DTPではときおり無用な修正が紛れ込みます。それ自体は避けられないので確実に見つけて対処するしかありません。もちろん頻繁ではないもののベテラン制作者は過去に何度も痛い目に遭っているため、変更が起きていないはずの箇所も広範囲に確認する癖がついているはずです。でも、長い時間をかけても何も見つからない場合も多く、しかもそれは無用な変更が無かったことを意味しません。散々時間を費やした上に見逃すこともあり得ます。

そこでXORを使って「変わっていないはずのページや箇所が無変化だった」と確信できれば疑心暗鬼のストレスから解放されるし、それらを確認対象から除外することで工数削減、コストカットできる制作現場があるはずです。実際、私の前職の取扱説明書制作がそうでした。そう、私には「XORみたいなアプリを使えていれば、あの時の手痛い見逃しは避けられたはずだよなぁ」と思い当たる節がいくつかあって

シンプルな機能しか持たないXORですが、二つのPDFで対になるページを画像化して比較するため、変わっていないことを確かめるには十分です。そして最も手頃に導入できるアプリだと思います。

XORによって削れるコストは「無用な変更を探す」という作業

XORの最も効果的な使い方

page2020で弊社ブースに立ち寄っていただけた方の関心事は、もちろんXORの特長でした。3フロアに渡る会場のどこかで他社さんもPDF比較の製品を展示していたかと思うので、きっと違いを知りたかったことでしょう。

XORの特徴は「シンプルなPDF比較アプリを導入しやすい価格でご提供」です。月額2,000円のサブスクリプションはさすがに最安ではないかと。

そしてXORの最も効果的な使い方は以下になります。

変わっていては拙い箇所に無用な変更が生じていないかを確認する

私は長年に渡って取説の制作に携わりました。取説は改版があるものだし、個別の制作においても初校→再校→三校といった具合に段階を踏んで制作される過程で無用な変更が生じることがあります。これが修正もれならDTP原稿の修正指示と対になっているので比較的簡単に見つかるものの、無用な変更は誰も意図していないため、DTP原稿と付き合わせても見つかりません。

よって見逃して痛い目に遭った後は疑心暗鬼になるし、どれだけ入念に確認しても何も見つからず徒労に終わることもあり得ます。

そこで毎回の校正の冒頭にXORで変更されていないページ、箇所を洗い出して確認対象から取り除けば、「どこかに紛れ込んでいる無用な変更を探す」という作業を省け、時間短縮、コストカットに繋がります。

XORによって削れるコストは「無用な変更を探す」という作業

なぜXORを開発しようと思ったのか?

本日からpage2020がスタート。期待通りにPDF比較アプリ『XOR』が注目を集められているかは、これを書いている時点では解りません。

page2020

さて、これを機に初めてこのblogを訪れる人が増えると踏んで、私がPDF比較アプリ『XOR』を開発しようと思ったきっかけを改めて書きます。

私は2018年まで都内のドキュメント制作会社で取扱説明書の制作に携わっていました。その会社では有名なPDF比較アプリ(デジタル校正ツール)を導入済みだったものの、USBポートにドングルを刺したPCでしか起動できないため、時折順番待ちが発生していました。

そこで待っている時間を有効活用すべく別の案件に取り掛かったら、いざ自分に順番が回ってきたときに手が離せないなんてことも。あるいは、自分が他者を待たせる立場になるのもプレッシャーです。PDF比較アプリでの検証が終わってドングルを明け渡した後に、またチェックしたい箇所が見つかった場合も「返してくれ」とは言えないし

それに、ドングルをシェアするタイプのアプリだと立場によって使いづらい空気感が醸成されたりもします。部署内の重鎮的な編集者は遠慮なく使うけど、年数が浅い人や非正規雇用のスタッフ、DTPオペレータの面々などは使わないのが当たり前のような。もちろん誰も使用を禁止されていないのだけど、何となく遠慮してしまいがちになったりして。

よって私が得た確信は「高性能なアプリを全員でシェアするよりも、機能はシンプルでもいいからアプリを全員がいつでも使えた方が効率的なはず」でした。

ただし、その条件に合うアプリが見当たらなかったので自分で作ろうと考えました。

つまり、XORは私が印刷物(とりわけ取扱説明書)の制作に従事した経験をもとに開発したアプリです。

Adobe CCアプリを日本語化するには

只今page2020への出展準備中です。具体的にはブースに貼るポスターと配布チラシ類の紙面を試行錯誤しています。

そんな中、Adobe Creative Cloudのアップデートを見つけたので適用したら、アプリが英語版として起動しました。InDesign、Illustrator、Photoshop共々です。

まあ、長年使ってきたのでUIの表記が英語でも大抵の機能は使えてしまうのだけど、InDesignの場合、トンボの形状が変わってしまうのですよね。

US仕様のトンボ
US仕様のトンボ
日本仕様のトンボ
日本仕様のトンボ

US仕様のトンボでも内側の面積は同じはずだけど、印刷をお願いする際に印刷会社のスタッフが戸惑うかもしれないので、日本語版で改めて印刷用PDFを出力し直した方が無難です。

そこで調べて解った言語モードの直し方は以下の通り。

  1. Adobe Creative Cloudアプリを起動
  2. ウインドウ上部の歯車アイコンをクリック
  3. 「アプリ」セクション内の「初期設定のインストール言語」で「日本語」を選択
Adobe Creative Cloudアプリの設定画面
初期設定のインストール言語として「日本語」を選び直す必要があります

ただし、これだけではアプリを再起動しても日本語化されず、そのアプリをアンインストールしてから再インストールする必要があります。

ということはAdobe CCアプリはOSの言語設定によって表示言語が切り替わるのではなく、各言語版をインストールする必要があるのですね。前時代的な仕様だけど、メニュー項目以外にも上記のトンボのように各言語ごとのカスタマイズが必要だからそうなっているのだと推測します。