illustrator差分 マルチPDF 2 1

Youtubeで『illustrator差分 マルチPDF 2 1』なる動画を見つけました。Adobe Illustratorを用いて二つのPDFの差分を見つけるテクニックの紹介です。

世の中には賢い人もいるものですね。私もPhotoshopを使ってPDFの差分を見つける方法は15年ぐらい前に考案したけど、Illustratorでやろうとは思いもしませんでした。確かにIllustratorならテキストや絵図(ビットマップ以外)をベクターデータのまま比較できていいですよね。

ただし動画を見る限り操作は煩雑に思えます。私のPhotoshopを用いた方法もそうでした。手間隙が多いとヒューマンエラーが出やすくなるので実用的でなかったりします。

よって現存するPDF比較ツールの中で、おそらく最も簡単に使えるであろうXOR for Mac/Windowsの存在意義があろうかと思っています。

XOR for Mac Version2.0のアイコン

XOR

リアルタイムPDF比較ビューワ

  • Download_on_the_Mac_App_Store_Badge_ja
  • Microsoft Store Badge

2,000円(税込 ※)/月
(サブスクリプション)

※ 日本における価格には      
10%の消費税が含まれています

ぱたぱたReader

Youtubeで『PDF比較ツール「ぱたぱたReader」』という動画を見つけました。Windows版のみのフリーウエアだそうです。Vecterから入手できます

見てわかる通り、XORと同じく「修正の前と後のPDFの違いを把握するお手頃なツールが欲しい」という潜在的なニーズに応えるものです。いいですね。ドキュメント制作者の中にはまだまだ紙の校正紙で校正を行っている人も多いし、個人の制作者は高価なPDF比較ツール(アプリ)の導入も難しいから。

ぱたぱたReaderもXORで言うところの「透かし表示」と「アオリ表示」に相当する比較結果を出してくれます。その上、XORにはない自動比較も搭載していて、全ページの差分箇所をバッチ処理で探してくれるようです。気になる方は試してみるといいでしょう。何しろ無料なので。

ちなみにXORはPDF比較だけてでなく、その後の校正提出までを視野に入れています。

TIPS 07:品質証明を必ず提出すべし

確かにPDFの差分比較は重要だけど、それは校正作業の一部。プロの制作者はクライアントに成果物を提出してこそ代金をいただけるわけです。しかも通常、数往復の校正を経てようやく完成となります。ならば校正提出の行程もカバーするアプリの方がいいはず。

そうしてクライアントからの信頼を高め、維持するのが継続的な依頼をもらうための最大のコツなので、そために月額2,000円を払い続ける価値はあります。

XOR for Mac Version2.0のアイコン

XOR

リアルタイムPDF比較ビューワ

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2,000円(税込 ※)/月
(サブスクリプション)

※ 日本における価格には      
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XOR for Windows Version 1.3をリリース

XOR for Windows Version 1.3をリリースしました。このバージョンの追加機能は「コントラスト調整」です。

XOR for Windows Version 1.3のコントラスト調整

よりくっきりした画像合成による比較ができるようになりました。

使い方は例によって超簡単。というか何もしなくてもOK。比較する二つのPDFを選ぶダイアログにコントラスト切り替えスイッチがあります。

PDF選択ダイアログ

デフォルト状態は「高」なので、そのまま「OK」ボタンをクリックすれば、透かし表示の際にくっきりと表示されます。

もし従来のように、薄い色合いがよければスイッチをクリックして「低」に切り替えてください。

PDF比較アプリ一覧 2021

2年前に書いたPDF比較アプリ一覧というエントリに今でもアクセスがあるのですが、この2年間で私の知見も違ってきたためここに書き直します。

なお、他社製品を試す時間も余力もないので、多くは私の過去の知識、もしくはWebサイトを拝見した上での印象です。よって製品探しの参考資料程度に捉えていただければいいかと思います。

ということで改めて私が知るPDF比較アプリをまとめてみました。

おすすめ5選

まず、活用イメージが容易に想像でき、実用性が見込めるのが以下の5製品です。

Adobe Acrobat Pro DC

提供: Adobe
価格: 1,738円/月(サブスクリプション)
対応OS: Mac/Windows
比較方式: 解析比較
USBドングル: なし
DTP原稿作成機能: なし(手作業で可)
品質証明作成機能: なし(手作業で可)

ドキュメンテーション業界人御用達。普及率は圧倒的なので、これで事足りる方なら他のアプリは不要ですね。

ただし、PDF比較の機能は動作が重く、比較結果を解読するのも少々厄介な印象があります。使い勝手もバージョンアップのたびに変わりがちです。

また、PDFを解析して比較する方式のため、アルゴリズムが想定しない変更箇所は見逃します。

Proof Checker PRO

提供: 株式会社Too 大阪支社
価格: 100万円超
対応OS: Mac/Windows
比較方式: 解析比較/ヴィジュアル比較
USBドングル: あり
DTP原稿作成:
品質証明作成:

ドキュメンテーション業界で圧倒的な信頼を得ている最強PDF校正ソフトウェア。Acrobatよりも高い精度の比較結果を返してくれる印象です。ただし、お値段が。個人の制作者には全く手が出ません。

また、コピープロテクトがあり専用のUSBドングルを装着したPCでしか起動できないため、一度に一人ずつしか使えません。USBドングルはテレワーク用に誰かが持ち帰ることもできないでしょう

なお、以前のバージョンではPDFを解析して比較する方式だけでしたが、現在のバージョンではPDFページを画像としても比較できます。

BitMatch Premium

提供: エコーインテック株式会社
価格: 86,900円(税込)/1ライセンス
対応OS: Mac/Windows
比較方式: ヴィジュアル比較/テキスト比較
USBドングル: あり
DTP原稿作成: あり(次行程への申し送りPDFを作成可能)
品質証明作成:

解りやすい機能紹介動画がWebサイトに掲載させれているので、気になる方はご覧ください。

ページまたぎのテキスト比較やdiffによるテキスト比較もできるようです。

新バージョンでは次の行程への申し送り付きPDFを描き出せるようになっています。

なお、コピープロテクトがあり専用のUSBドングルを装着したPCでしか起動できないため、一度に一人ずつしか使えません。USBドングルはテレワーク用に誰かが持ち帰ることもできないでしょう

ただし、私がかつて在籍した制作会社では導入しておらず馴染みがないので、多くを語ることは差し控えます。

Before After CV

提供: 株式会社 シーティーイー
価格: 個人版 88,000円(税込)/サーバー版 407,000円(税込)
対応OS: Mac/Windows
比較方式: ヴィジュアル比較
USBドングル:
DTP原稿作成:
品質証明作成:

印刷会社における製版の現場で使われていると伺っています。

誰でもダウンロードできる製品マニュアルを読む限りではコピープロテクトのUSBドングルは採用してなさそうですが、個人版のライセンスが特定のPCに固定されるのか、それともシリアル番号を知る特定の個人に紐付けられるのかは解りませんでした。もし後者なら自宅のPCにもインストールしてテレワーク時も使えて便利そうです。

なお、私が在籍した制作会社では導入しておらず馴染みがないので、多くを語ることは差し控えます。

XOR for Mac/Windows

提供: FROGFISH
価格: 2,000円(税込)/月(サブスクリプション)
対応OS: Mac/Windows
比較方式: ヴィジュアル比較
USBドングル: なし
DTP原稿作成: あり
品質証明作成: あり
XOR for Mac Version2.0のアイコン

XOR

リアルタイムPDF比較ビューワ

2,000円(税込)/月
(サブスクリプション)

  • Download_on_the_Mac_App_Store_Badge_ja
  • Microsoft Store Badge

当方が提供する製品。5製品の中では最も安価なアプリです。

「高度だけど使いこなすのが大変なアプリではなく、必要十分ながら単純明快の方を目指す」という思想から搭載機能を必要最小限に絞り込んでおり、難しい設定項目もないので誰でもすぐに使いこなせるでしょう。

最新バージョン(Mac版)では、クライアントに提出する品質証明(修正を依頼された箇所以外どこも変えてないと証明するPDF)を書き出せます。同じ機能を持つWindows版も追ってリリース予定です。

なお、コピープロテクトのUSBドングルはなく、同じアカウントなら会社でも自宅でもお使いいただけます。

月額2,000円のサブスクなので、制作スタッフ全員分を導入すれば、誰もがいつでも存分にPDFを比較でき、品質確保と時短によるコストカットに繋がります。解約や再契約も自由です。

これらの内、どれが最適かは個々の業務内容、対象の制作物、予算、スタッフ構成、テレワークの有無などによって違ってくるはずですが、もし意中の製品がまだないなら取りあえずXORをお試しいただきたく思います。その上で、XORに満足できなければ他の製品を検討するといいでしょう。

XORには1ヶ月の無料試用期間があり、期間終了後も2,000円/月のサブスクリプションでお使いいただけるため、最適な製品を探す上でコスト的に有利です。

その他

上記5製品の他にも多くの製品があるものの、私の経験と知識に照らし合わせた限りでは活用イメージが湧かないので、下記の通り簡単な紹介にとどめます。

DiffPdf

価格: $160(オープンソース版は無料?)
対応OS: Mac/Windows
比較方式: 解析比較

一説ではAcrobatよりも高精度とも言われるものの、私が試した限りでは違いは見受けられませんでした。逆に言えば「Acrobatは無料のReaderで事足りる。PROの各種機能は要らない」という方にはいいかもしれません。

WinMerge

価格: Free
対応OS: Windows
比較方式: テキスト抽出比較

いわゆるDiffですね。無料なのでテキストオンリーのPDF比較には最適でしょう。

PDF24 Tools

価格: Free
OS: -(Webサービス)
比較方式: テキスト抽出比較

無料のWebサービスという点が素晴らしいです。モード選択に「ビジュアル」があるものの私の環境では選べませんでした。また、比較結果を読み解くのはコツが要りそうです。

diff-pdf

価格: Free
OS: -
比較方式: ヴィジュアル比較

XORと同じ目的のアプリです。GPLのオープンソースなのでソフトウエア開発やコマンドラインの利用に精通している人にはいいかもしれませんが、私はセットアップの途中でギブアップしました。

Brava Desktop

価格: 37,500円〜(画像対応版/マークアッププラス)
OS: Windows
比較方式: ヴィジュアル比較・テキスト比較

Webページを眺めた感じではCAD向けの製品という印象です。機能構成ごとにたくさんのエディションに分かれていて価格も違います。

Antenna House リグレッションテストシステム

価格: 要問い合わせ
OS: Windows/Linux
比較方式: ヴィジュアル比較

PDF(出版物、画像、ビジネス文書など)を高速かつ自動で比較するシステムです。

PDF比較Finder

価格: 198,000円〜
OS: Windows
比較方式: ヴィジュアル比較

おそらくCADなどの図面や帳票を比較することが目的のアプリです。

dproofs

価格: 1,980円(スタンダードプラン)
OS: -(Webサービス)
比較方式: ヴィジュアル比較

PDFを比較して差分を表すファイルを作ってくれるWebサービス。変換エンジンは共有らしく利用者が多ければ順番待ちが発生するようです。

拡大してください

前日、XORのユーザ様から「XORでは平方メートルと立方メートルが見分けづらい」というお問い合わせをいただきました。XORは二つのPDFをヴィジュアル的に比較するため文字コードによる違いを判別できません。

そこでこのようなデータを用意して検証することに。左が㎡(平方メートル)と㎥(立方メートル)、右がその反対の並びです。

文字検証サンプル

この二つのPDFをXORで比較すると確かに見分けづらいですね。私の環境で等倍で判読できるのは13pt以上でした。しかも、そこに違いがあると判った上での検証なので通常の校正では見逃したかもしれません。

そもそも㎡や㎥の右肩の「2」や「3」は「m」の1/3弱のサイズ。文字サイズが10ptならは2.9pt相当です(ヒラギノ角ゴシックW3の場合)。3ptかそこらの文字は画面上ではなかなか見分けられないですよね。2と3は上半分の形状も似ているし。

とはいえ一般的な印刷物では11pt前後の文字を使うことが多いので、どうにかしたいところです。

差し当たり、細部まで確認したいときは拡大表示をお使いいただきたいと思います。XORのウインドウの左上にボタン類が並んでいます。左から3番目、+マークの虫眼鏡が拡大ボタンです。押すたびにページの表示倍率が上がります。

XORのボタン類

ただし、小さな文字を拡大しても細部はビットマップが潰れるので、先のバージョンアップでは解像度を上げるなど何らかの対応をしたいと思います。