VoiceOver

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このWebページではiPhone/iPadに備わっているアクセシビリティ機能の「VoiceOver(ボイスオーバー)」を紹介します。VoiceOverはiPhone、iPad、MacなどのApple製品を画面を見ずに操作するための補助機能です。

iPhoneやiPadではほとんどの操作をタッチスクリーンで行うため特に全盲のような視覚障がい者には不向きに思われがちですが、VoiceOverをオンにすれば指で触れた箇所に何が表示されているかが読み上げられるため、聴覚を頼りに操作できます。

なお、VoiceOverの利用中はタップやスワイプ、ピンチといった通常の操作はできません。代わりに「ジェスチャ」と呼ばれる独特の操作方法が必要になります。

  • VoiceOverによって操作できるのは、VoiceOverに対応したアプリのみです。iOS/iPadOSおよびApple製のすべてのアプリはVoiceOverに対応していますが、サードパーティ製アプリの場合、VoiceOver対応が不十分なもの、あるいはまったく対応していないものもあります。それらのアプリもVoiceOver下で起動できますが、ジェスチャへの反応が不十分、もしくは無反応になります。
  • このページは主にこれからVoiceOverについて学んでみたいという人、例えば視覚に障がいをお持ちのお子さんと一緒にVoiceOverを習得したいご家族や教職員のご利用を想定しています。よってVoiceOverの知識をすでにお持ちで、より詳しい内容をお求めの方や、すべてをテキストで説明して欲しい方は品川博之さん著:『見えなくても使えるiPhone – VoiceOverでの操作解説(iOS 12編)』(テキストファイルのzip)を参照するといいでしょう。VoiceOverを利用してiPhoneの各機能を使う方法が実践的な文体で書かれています。
  • このページがVoiceOverの全容を網羅していないことをご了承ください。これはVoiceOverがとても壮大な機能であるためです。
この手引きはiOS 13に基づいて書いています。異なるバージョンやiPad OSでは細かいところが違っているかもしれません。

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1. VoiceOverの基本

VoiceOverにおける操作の基本は、「触れた要素を読み上げさせて選び、ダブルタップで確定」です。画面の要素に触れるごとにその内容や役割が読み上げられ、常に最後に触れた要素が選択対象になるので、目当ての要素が見つかればダブルタップで確定させます。その要素がテキストなら読み上げられ、ボタンなら押されたことになります。

なお、ダブルタップするのは画面上のどこでも構いません。選択した要素から離れたところをダブルタップしても有効です。

また、iPhoneは通常なら指一本、もしくは二本で操作(ズームイン/アウトの場合)しますが、VoiceOverにおける操作には三本や四本の指を同時に使うものもあります。

こう言うと習得が難しそうに思われるかもしれませんが、必ずしもすべての操作方法をあらかじめ覚えておく必要はありません。例えば入力テキストのフィールドが選択された際には、入力済みテキストに続けて「編集モードを開始するにはダブルタップしたあと、押さえたままにします」といった具合に読み上げられるからです。まずは主な操作方法を把握するといいでしょう。

なお、通常操作時とVoiceOver利用時ではUI要素の認識が異なる場合があります。例えば下記の画面の「VoiceOver」や「ズーム」はページ切り替えを伴うリスト項目ですが、VoiceOverではそれぞれを一つのボタンとして読み上げます。

  • iPhoneの設定:アクセシビリティの画面
    VoiceOver利用時は「VoiceOver」「ズーム」「拡大鏡」がそれぞれ個別のボタンとして読み上げられます。

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2. VoiceOverをオン/オフにする

iOSの設定アプリ
「設定」アプリで「アクセシビリティ」>「VoiceOver」と選択してから、設定をオンまたはオフにします。

  • iPhoneの設定:VoiceOverの設定ボタン
    オンにするとカーソル(選択対象を示す黒い縁)が現れます。

ただし、オフにするにはVoiceOverの流儀に則った操作が必要です。

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3. VoiceOverにおける主な操作(ジェスチャ)

VoiceOver利用時に最も基本的な操作を説明します。

ここに挙げているもの以外にも様々なジェスチャが用意されているので、下記もご参照ください。

1)目当ての要素を探す(指一本でタッチ/タップ)

指一本で画面のどこかをタッチ(触れる)かタップすると、その位置にある要素の名称や内容が読み上げられ、選択状態になります。

  • 指一本で画面にタッチ(触れたまま)で要素を読み上げさせる
    指一本で画面にタッチ(触れたまま)で要素を読み上げさせる
  • 指一本で画面をタップして要素を読み上げさせる
    指一本で画面をタップして要素を読み上げさせる

例えば、選択対象が「戻る」と書かれたボタンなら「戻るボタン」と読み上げられます。「アクセシビリティ」と書かれた見出しのテキストであれば「アクセシビリティ 見出し」といった具合に、ラベルと機能が続けて読み上げられます。

文字列を読み上げた後にUIの説明がなければ単なるテキスト要素です。

なお、タップした位置に何もない場合はそれを知らせる音が鳴ります。

VoiceOverを必要とする方が指一本のタップだけで目当ての要素を探り当てるのは難しいでしょう。そこで下記の「指一本で触れたまま好きな方向にスライド」または「前後の要素を選択」の方法もお試しください。

2)目当ての要素を探す(指一本でタッチしたまま好きな方向にスライド)

画面を見ずに指一本でタップして目当ての要素を探し当てるのは困難です。そこで、指一本で画面のどこかをタッチしたまま指を離さずに好きな方向にスライドさせてみてください。指に触れた要素が次々と読み上げられ、最後に触れた要素が選択状態になります。

  • 指一本で画面に触れたまま好きな方向に移動して、触れた要素を次々と読み上げさせる
    指一本で画面に触れたまま好きな方向にスライドして、触れた要素を次々と読み上げさせる
指一本で触れたまま好きな方向にsして要素を探す方法は便利ですが、指の軌道によっては重要な要素の存在に気づかない可能性もあります。そこで「前後の要素を選択」の方法もお試しください。

3)目当ての要素を探す(前後の要素を選択)

VoiceOver対応のアプリでは画面上の一連の要素が順序よく定義されています。

そのため指一本で左方向に画面をスワイプすると選択対象が次の要素に移り、右方向にスワイプすると選択対象が一つ前の要素に移ります。画面のどこをスワイプしても構いません。

  • 指一本で右にスワイプして次の要素を選択
    指一本で右にスワイプして次の要素を選択
  • 指一本で左にスワイプして前の項目を選択
    指一本で左にスワイプして前の項目を選択

なお、画面内の最後の要素を選択した状態で左にスワイプした場合と、最初の要素を選択した状態で右にスワイプした場合は、それ以上移動できないことを知らせる音が鳴ります。

4)実行(アクティベート)

目立ての要素が見つかったら画面のどこかをダブルタップして実行します。要素がボタンなら押され、テキストなら読み上げられます。

  • 指一本でダブルタップ
    指一本でダブルタップして実行(アクティベート)
要素がたくさん並んでいてスクロールが必要なのに指三本の上スワイプが効かない場合は、ナビゲーションバー内の要素が選択中かもしれません。ナビゲーションバーの要素はメインエリアとは独立したグループに属するので、スクロールの操作対象とは見なされません。よって指一本で右にスワイプして、メインエリア内の要素を選択対象にしてから指三本の上スワイプをお試しください。

5)要素を探して実行(スプリットタップ)

「スプリットタップ」と呼ばれるテクニックを使うと、「要素を探す」「実行する」という二段階のジェスチャをまとめて実行できます。目当ての要素を見つけたら、その指を画面から離さずに別の指で画面のどこかをタップしてください。

  • 指一本で触れたまま別の指でタップ
    指を見つけた要素に触れたまま別の指でタップすると、その要素を実行

操作イラストでは両手の人差し指を使っていますが、片手の人差し指と中指か親指のコンビネーションの方がやりやすいでしょう。

6)縦スクロール

例えば、iPhoneやiPadの「設定」アプリを開くと各種の設定項目が上下にたくさん並んでいて画面内にに収まっていません。 通常であれば上下のスワイプで直感的にスクロールできますが、 VoiceOverでは上下のスワイプが効きません。

VoiceOverで上下にスクロールするには指三本で上下にスワイプします。

  • 指三本で上にスワイプで下にスクロール(下の方に隠れている要素を表示する)
    指三本で上にスワイプで下にスクロール(下の方に隠れている要素を表示する)
  • 指三本で下にスワイプで上スクロール(上の方に隠れている要素を表示する)
    指三本で下にスワイプで上スクロール(上の方に隠れている要素を表示する)
要素がたくさん並んでいてスクロールが必要なのに指三本の上スワイプが効かない場合は、ナビゲーションバー内の要素が選択中かもしれません。ナビゲーションバーの要素はメインエリアとは独立したグループに属するので、スクロールの操作対象とは見なされません。よって指一本で右にスワイプして、メインエリア内の要素を選択対象にしてから指三本の上スワイプをお試しください。

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4. ジェスチャの練習

VoiceOverにはジェスチャを練習するための機能が用意されています。

ジェスチャの練習では、画面に対してどんな触れ方をすれば、どのような操作を実行できるかを教えてくれます。例えば、指三本で画面をトリプルタップすると「スクリーンカーテンを切り替え」と読み上げられます。残念ながら「スクリーンカーテンを切り替えるには?」といった具合に目的から操作方法を逆引きで調べることはできません。また、すべてのジェスチャを練習できるわけではありません。

VoiceOverをオンにすると設定画面に「VoiceOverの操作練習」というボタンが現れます。

  • iPhoneの設定:VoiceOverの操作練習
    「VoiceOverの操作練習」はVoiceOverがオンの時だけ現れます。

1本指の右スワイプで「VoiceOverの操作練習」を選択して画面をダブルタップすると操作練習の画面に切り替わります。

  • iPhoneの設定:VoiceOverの操作練習画面
    この画面でVoiceOverの操作方法を繰り返し練習できます。

指一本で右に2回スワイプして「ここではVoiceOverの操作、コマンドおよび入力を選択します」と読み上げられれば操作練習の準備完了です。

指1本〜4本を使ってタップ、ダブルタップ、スワイプなどを試してみてください。それがどの様な操作になるのかをテキストで表示しつつ、読み上げてくれます。

例えば指一本でタップした際は「タッチ、項目を読み上げ」と読み上げられます。

操作の練習を終わるには画面右上の隅にある「完了」ボタンを探し当ててダブルタップしてください。

VoiceOverの操作練習中は左右のスワイプで「完了」ボタンにたどり着けません。スワイプしても練習として認識されます。画面を見ずに「完了」ボタンを探すのは難しいかもしれませんが、1本指で画面に触れたまま上方向にスライドすると「完了」ボタンが見つけやすくなります。「VoiceOverの操作練習」という見出しが見つかれば指を触れたまま右にスライドするか、指を離してから右にスワイプすると「完了」ボタンが見つかります。

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5. 覗き見防止(スクリーンカーテン)

VoiceOverを使いこなせるようになったら画面表示は不要かもしれません。スクリーンカーテンを使えばVoiceOverの利用中に画面表示を消して他人の覗き見を防ぐとともに、バッテリーの消費も減らせます。

スクリーンカーテンをオンにすると画面は真っ黒になるものの、VoiceOverの操作や読み上げは引き続きお使いいただけます。

スクリーンカーテンをオンにするには、指三本で三回タップ(ズーム機能がオフの場合)、もしくは指三本で四回タップ(ズーム機能がオンの場合)します。

  • 指三本でトリプルタップしてスクリーンカーテンをオン(ズーム機能オフの場合)
    ズーム機能オフの場合、指三本でトリプルタップしてスクリーンカーテンをオン
  • 指三本でトリプルタップしてスクリーンカーテンをオン(ズーム機能オフの場合)
    ズーム機能オンの場合、指三本でトリプルタップしてスクリーンカーテンをオン

スクリーンカーテンをオフにする方法もオンの時と同じです。

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6. 各種設定

1)読み上げ速度

読み上げの速度を調整できます。

  • iPhoneの設定:読み上げ速度の調整スライダ
    カメのボタンのタップで最低速度、ウサギのボタンのタップで最高速度になります。

2)読み上げ

読み上げの声を選択できます。

読みかた

特定の文字列の読みかたを登録できます。

ピッチ

読み上げ音声のピッチを変更できます。

  • iPhoneの設定:ピッチ
    スライダを右に移動させるほど声が高くなります。
現在、「ピッチ変更を使用」の設定は機能していないようです。オフにしても変更したピッチが適用されます。
言語を検出

日本語のテキスト内に外国語が含まれる場合に、その言語用の音声で読み上げるかどうかを設定できます。

  • iPhoneの設定:言語を検出
    オンにすると、文中の外国語をその言語用の声で読み上げます。
ローターで選択可能な言語

ローターで選択可能な言語および声を追加できます。

  • iPhoneの設定:ローターで選択可能な言語
    言語と声は追加できます。

3)詳細度

調査中

進捗インジケーター

4)点字

調査中

進捗インジケーター

5)オーディオ

サウンドと触覚

VOiceOverの利用中の各操作ごとに規定の音を鳴らすかどうかを設定できます。

また、一部の操作ではiPhoneを振動させるかどうかを設定できます。

iPadに触覚の設定はありません。
オーディオダッキング

オーディをダッキングは音楽やPodcastを再生中に有効な設定です。
オーディをダッキングをオンにすると、VoiceOverで何かを読み上げている間だけ音楽やPodcastの音量が自動的に小さくなります。

  • iPhoneの設定:VoiceOverのオーディオダッキング
    オーディオダッキングは、VoiceOverの読み上げ中だけ音楽やPodcastの音量を小さくする機能です。
通話でスピーカーを自動選択

調査中

進捗インジケーター

HDMIへ送信

調査中
進捗インジケーター

6)コマンド

VoiceOverを通じて行う各操作とジェスチャの組み合わせを変更できます。

例えば、「エスケープ」の操作は指二本によるスクラブですが、指二本で四回タップを追加すれば、どちらの操作でもエスケープを実行できます。

操作とジェスチャの組み合わせはリセットできるので、あれこれ試してみるといいでしょう。

7)アクティビティ

読み上げの速度、声、音量、読みかたの特徴などの設定の組み合わせ(アクティビティ)に名前をつけて登録できます。

例えば、普段は早口の男性の声で読み上げさせていても、特定のWebページでは女性の声に切り替えてゆっくりと読み上げさせるといった使い方が考えられます。

登録済みのアクティビティはローター項目の「アクション」を選んだときに上下スワイプで呼び出して適用できます。

8)ローター

ローターに表示させる項目を選択できます。

  • iPhoneの設定:ローター
    チェックした項目がローターに表示されます。

補足:

ローターとは、VoiceOverの読み上げを細かく調整するためのメニューです。指一本で下スワイプ/上スワイプしたときの動作を変更できます。

ローターの表示例

指二本で画面のどこかに触れながら時計回り、または反時計回りになぞるとローターが表示され、設定値を変更できます。

9)ローターアクション

ホーム画面のAppを編集をオンにすると、ホーム画面でローター項目の「アクション」を選んだときに、上下のスワイプで「編集モード」と読み上げられ、指一本で画面のどこかをダブルタップすると編集モードを開始されます。

  • iPhoneの設定:VoiceOverのローターアクション(ホーム画面のAppを編集)
    オンにすると、ホーム画面でローター項目の「アクション」を通じて編集モードを開始し、アプリの移動や削除ができます。

10)入力

調査中

進捗インジケーター

11)常に通知を読み上げる

「常に通知を読み上げる」をオンの場合、新着メッセージなどの通知を受信した際に表示される内容を自動的に読み上げます。
「常に通知を読み上げる」がオフの場合、通知を受信しても読み上げません。

12)イメージをナビゲート

SafariでWebページをブラウズする際の画像について読み上げるかどうかを設定できます。

  • 常にする:常に画像を説明します。
  • 識別付き:画像に代替テキストが付与されていなければスキップします。
  • しない:常に画像をスキップします。
  • 手元の環境では「常にする」と「識別付き」とで同じ動作になります。iOS 13.6では、どちらの場合も代替テキストが付与されていれば代替テキストを、代替テキストが付与されていなければ画像のファイル名を読み上げます。先々、OSのアップデートによって修正されるかもしれません。
  • iPhoneでは画像の内容も識別して説明の最後に読み上げてくれます。ただし、画像識別は完璧ではないので間違った説明がされることもあります。

13)大きいカーソルを使用

カーソルの線の太さを切り替えられます。

  • iPhoneの設定:大きいカーソルを使用-オフ
    大きいカーソルを使用がオフの状態
  • iPhoneの設定:大きいカーソルを使用-オン
    大きいカーソルを使用がオンの状態

14)キャプションパネル

キャプションパネルをオンにすると、VoiceOverを通じて操作するごとに、VoceOverが何を読み上げているかを画面の最下部にテキストとしても表示します。

  • iPhoneの設定:キャプションパネル-オン
    VoceOverが何を読み上げているかをテキストでも表示します。

15)ダブルタップのタイムアウト

ダブルタップとしてみなされる時間を調整できます(0.2〜0.5秒)。

  • iPhoneの設定:ダブルタップのタイムアウト
    値を大きくすると、ややゆっくり2回タップしてもダブルタップとみなされます。

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