Windows版がないことには

XOR Version 1.1のプレスリリースを出してしばらく経ったものの大きな反響はまだ得られていません。無理もないけど。

PDF比較アプリであるXORのターゲットは商用ドキュメンテーション分野。もっと絞るとメインは以下になろうかと。

  • 取扱説明書の制作を請け負う制作会社、もしくは個人事業主
  • 取扱説明書の制作を発注する製造業企業
  • 自社製品の取扱説明書を内製する製造業企業

この中でMacを使っていそうなのは個人事業主ぐらいかと。何しろ私が昨年まで在籍した都内の大手制作会社や以前在籍した横浜の大手制作会社もWindowsが圧倒的だったし。ましてや製造業企業ともなるとほぼ例外なくWindowsでしょう。

よってWindows版を先に出せばよかったのだけど、Mac版を先行開発した方がアプリの仕様を固めやすかったもので。Macの方がGUIがこなれている上、PDF関連のAPIも標準開発環境に含まれているし。

よって周知や売り上げの面ではもうしばらく我慢の時期が続きそうです。

PDF比較アプリ一覧

XORはPDF差異検出、PDF比較、デジタル校正支援と呼ばれる類いのアプリです。この分野はそこそこ歴史も長く、既存製品がいくつも存在しています。

XOR's App icon

そこで一覧にまとめてみました。他にもあるかもしれないので見つけたら随時追加していきます。価格は税抜きです。

Adobe Acrobat Pro DC

  • 比較方式:解析比較
  • プラットホーム:Windows/Mac
  • 価格:1,580円/月

ドキュメンテーション業界人御用達、普及率は圧倒的なので、これで事足りる方なら他のアプリは不要ですね。

Proof Checker PRO

  • 比較方式:解析比較・ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:Windows/Mac
  • 価格:100万円超・4.2万円〜/月

ドキュメンテーション業界で圧倒的な信頼を得ている最強PDF校正ソフトウェア。Acrobatよりも高い精度の比較結果を返してくれます。ただしお値段が…。

Before After CV

  • 比較方式:ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:Windows/Mac
  • 価格:86,400 88,000円

印刷会社における製版の現場で使われていると伺っています。

DiffPdf

  • 比較方式:解析比較
  • プラットホーム:Windows/Mac
  • 価格:$160(オープンソース版は無料?)

一説ではAcrobatよりも高精度とも言われるものの、私が試した限りでは違いは見受けられませんでした。逆に言えば「Acrobatは無料のReaderで事足りる。PROの各種機能は要らない」という方にはいいかもしれません。

WinMerge

  • 比較方式:テキスト抽出比較
  • プラットホーム:Windows
  • 価格:Free

いわゆるDiffですね。無料なのでテキストオンリーのPDF比較には最適でしょう。

PDF24 Tools

  • 比較方式:テキスト抽出比較
  • プラットホーム:Web
  • 価格:Free

無料のWebサービスという点が素晴らしいです。モード選択に「ビジュアル」があるものの私の環境では選べませんでした。また、比較結果を読み解くのはコツが要りそうです。

diff-pdf

  • 比較方式:ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:-
  • 価格:Free(オープンソース・ソフトウェア)

XORと同じ目的のアプリです。GPLのオープンソースなのでソフトウエア開発やコマンドラインの利用に精通している人にはいいかもしれませんが、私はセットアップの途中でギブアップしました。

Brava Desktop

  • 比較方式:ヴィジュアル比較・テキスト比較
  • プラットホーム:Windows
  • 価格:37,500円〜(画像対応版/マークアッププラス)

PDF比較アプリというより、PDFの比較もできる多機能ビューワーアプリのようです。機能構成ごとにたくさんのエディションに分かれていて価格も違います。

Antenna House リグレッションテストシステム

  • 比較方式:ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:Windows/Linux
  • 価格:要問い合わせ

PDF(出版物、画像、ビジネス文書など)を高速かつ自動で比較するシステムです。

PDF比較Finder

  • 比較方式:ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:Windows
  • 価格:198,000円〜

おそらくCADなどの図面や帳票を比較することが目的のアプリです。

BitMatch Pro

  • 比較方式:ヴィジュアル比較・テキスト比較
  • プラットホーム:Windows/Mac
  • 価格:59,000円

解りやすい機能紹介動画がWebサイトに掲載させれているので、気になる方はご覧ください。

dproofs

  • 比較方式:ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:Web
  • 価格:1,980円(スタンダードプラン)

オンラインで差分ファイルを作ってくれるサービス。変換エンジンは共有らしく、順番待ちが発生するようです。

XOR

  • 比較方式:ヴィジュアル比較
  • プラットホーム:Mac(Windows版は近日リリース) Windows/Mac
  • 価格:2,000円/月

当アプリです。現状、Mac版しかないけど 最も簡単に使えると自負しています。

この内、どれが最適かは個々の業務内容によって違うことでしょう。

競争は多いものの「絶妙感さえ醸し出せたなら」と見込んでいます。例えば「ちょっと費用はかさむけど、一番好きなアプリ」の座を射止められればと。

さしあたりXORが想定しているターゲット層は以下のニーズを持った方々です。

  • 二つのPDFの違いを100%見つけて欲しい
  • 違っている場所さえ指し示してくれれば十分。差異が正しい修正かどうかは自力で確かめるから
  • なるべく簡単な操作で使えるものが欲しい。コマンドラインはマニアックで馴染めない
  • オプション要らずで使えるものがいい。PDFの特性によって比較モードを変えるようなことはしたくない
  • ドングル要らず。待ち時間なしに自分のPCで使いたい
  • 納得感があれば有料でもいいが、大きな額は出せない
  • 職場でも自宅でも1ライセンスで使いたい
  • サブスクリプションがいい。休職やリタイヤすれば不要になるので

私もかつて取説の受託制作に従事していた際にそのように考えていました。中でも簡単操作は重要です。自身も含めて制作の現場にいるのはITに精通した人ばかりとは限らないし。

現状のXORは機能的にはオープンソースのdiff-pdfと大差ないし「ざわざ有料アプリを使う必要はない」と思われるかもしれませんが、以下の点を評価してご利用いただければ幸いです。

  • 馴染みやすいGUIが付いている
  • 将来的に便利な機能をもっと追加する予定

30日間無料で試用できるのでぜひお試しください。

Microsoft Storeもありがたい

今はまだMac版しかないXORですが、追ってWindows版もリリース予定です。その際、Mac版同様、Microsoft Storeでのサブスクリプションとなるでしょう。

Microsoft Storeのアイコン

零細アプリメーカーにとって、Mac App StoreおよびMicrosoft Storeでサブスクリプションをサポートしてくれたことは、とてもありがたいと思っています。

そうじゃなければ、とてもじゃないけどビジネスモデルを確立できず、XORをアプリ化してリリースしようと思わなかったでしょう。

Windows版を待てないなら

近年、商用ドキュメンテーション業界で使われているMacとWindowsのどちらが多いかはわかりません。なんとなく小さい制作会社や個人ではMacが多く、中規模以上の企業はWindowsといった感じではないかと思うけど、どうでしょうか。

さて、Windows版のXORのリリースにはまだしばらく時間がかかります。Macの場合とは違ってMicrosoftが提供する開発環境にはPDFハンドリング用APIが揃っていないのでMac版よりも開発が難航するかもしれません。

よって、XORの価値を認めていただけるならWindows版のリリースを待たず、中古か整備済み製品のMac miniあたりを導入することをお勧めします。

Mac mini 2018
キーボードは付属しないのでMac用を調達した方がいいでしょう

XORはサブスクリプションで提供されるのでひとまずMac版を導入し、Windows版がリリースされたらMac版を解約してWindows版に乗り換えるのがいいかと。

しかもMacにWindowsをインストールすればWindows機として使うこともできます。これほどスタイリッシュでコンパクトなWindows PCなんて他にありませんよね?

なぜMac版のみ?

XORは現状Mac版のみです。Windows版は後日のリリースとなります。

macOS Mojave
macOS Mojave

前世紀、DTPといえばMacの独壇場だったけど、2000年前後のAppleの破綻危機や2003年にAdoboe Creative Suite(Windows版あり)の発売を受けて、Windows派の制作者が増ええました。Macとは違い国産メーカーのPCも選べたし(お得意様の系列会社から仕入れたりもできた)、本体だけなら割安なWindowsの方が日本企業には導入しやすかったのでしょう。

私に言わせれば商用ドキュメントのWindows制作なんてクレイジーな選択で、Macの方が生産性がはるかに高いと思うのだけど、その話はまた別の機会に。

実際、私が昨年まで勤めていた都内の大手制作会社や、その前にいた横浜の大手にしてもスタッフ全員への割り当てはWindows PCで、別途共有のMacが数台あるだけといった感じでした。

よって、XORの開発者を探している段階ではWindows版→Mac版という順番でリリースするつもりだったものの、委託の合意に至った開発者がWindowsよりもMac & iOS向けの開発に慣れていたので考え直しました。新たなアプリの開発では途中で予定外の仕様変更が発生しがちなことを踏まえると、慣れたMac開発で仕様を固めてからWindowsに移植するのが賢明だろうと。

加えて、Macの開発環境にはPDFを扱うためのAPI群が揃っているけどWindowsにはそれがないのでサードパーティ製の有償PDFライブラリを導入する必要が出てきます。もし何らかの理由でXORのリリースが叶わなかった場合、ライブラリの導入費用は無駄になってしまいます。

そのような背景から、Mac版→Windows版でリリースすることになりました。Windows版をお望みの方々、もうしばらくお待ちください。