迫る“介護崩壊” 新型コロナで揺れる老後

昨日のNHKスペシャルは『パンデミック 激動の世界 (10)「迫る“介護崩壊” 新型コロナで揺れる老後」』でした。

パンデミック 激動の世界 (10)「迫る“介護崩壊” 新型コロナで揺れる老後」

内容は実に考えさせられることばかり。

まずは人材不足。新しい介護様式が求められるコロナ禍での介護が大変なのはもちろん、そもそもエッセンシャルワーカーである個々のヘルパーの使命感に頼りながらギリギリ成り立っている状況は変わっていません。求人倍率は実に15.16倍もあり、なんと80代の現役ヘルパーも珍しくないそうで。自身よりも歳下の人を介護するケースも多いでしょうね。

そして財政問題。民間の介護施設は経営状況が厳しい上、コロナ禍に見舞われた昨年は倒産や休廃業が続出。他方で鎌倉市の認知症対応施設では150万円の小規模事業者持続化補助金の申請が不採択になった例が紹介されていました。

その上、2025年には介護人材が38万人も不足するとのこと。なるほど、この年には心当たりがあります。団塊の世代の全員が後期高齢者になる頃合いです。

ちなみに番組では語られなかったけど、介護問題がこれから最も深刻になるのは東京です。何しろ団塊の世代の1/4は東京圏在住。つまるところ一極集中とは「後期高齢者予備軍を東京にかき集めた」ということ。毎年、地方から東京に流入してくる若者の数よりも新たに75歳に達する東京都民の数の方が遥かに多いのだから、東京が地方から遅れて地方よりもはるかに大きな高齢化の波に見舞われるのは既定路線です。手をこまねいていれば介護離職者、介護機会待機者、そして介護放置される人が激増します。

とは言えこの国のこと、経済一辺倒で都心の再開発などには熱心な反面、社会保障に関しては自己責任の風潮も色濃いので、残念ながらその時にならないと政治も市民社会も重い腰を上げようとはしないのでしょう。そして手遅れになるという。